[P-MT-04-1] 人工骨頭置換術を施行した患者における運動及び呼吸機能と血液・生化学所見の関連性
Keywords:人工骨頭置換術, タンパク異化作用亢進, 呼吸機能
【目的】
人工骨頭置換術後は早期に歩行練習が開始されるが,息切れが運動の制限を来たす事を時折経験する。手段を問わず歩行が自立していたにも関わらず急激に動くのが辛いという訴えに疑問を感じている。術後に発生する炎症を背景としたタンパク異化作用亢進などによる骨格筋の萎縮やタンパク由来の赤血球やヘモグロビンの減少も報告されている事から,活動制限に対して呼吸機能や血液・生化学所見も関連付けて考える必要があるものと考えられる。
【対象】
平成28年4月1日~平成28年9月30日までに大腿骨頸部骨折を呈し人工骨頭置換術を施行した患者11名(男性:3名,女性:8名)平均年齢79.18±2.74歳,平均身長155.3±2.81cm,平均体重48.74±3.14Kgで術前ADLは手段を問わず自立していた者とした。術後2週間までのクリティカルパスが順調に経過している事を統制条件とし,除外対象として術前・術後の輸血,呼吸器疾患の既往,指示理解が得られにくい者は除外した。尚,対象者全員に本研究の趣旨を文書で説明し,同意を得た後に測定を実施した。
【方法】
測定項目は運動機能として6MD,6MD後のBorgスケール,SpO2,膝伸展筋力/wtを求めた。個人特性としてはBMI,呼吸機能ではVC,%VC,TV,ERV,IRV,FVC,FVC1%PEFを測定した。血液・生化学検査ではTP,Alb,Hb,RBC,WBC,CRPを参考値とした。タンパク異化作用亢進による身体機能は栄養状態により左右されることから,TPの基準値を満たしている群(以下,高栄養群)と不足している群(以下,低栄養群)の2群に分類しそれぞれの項目間で比較検討を実施した。
【結果】
以下,高栄養群,低栄養群の順に記載する。TPは7.18±0.39,5.98±0.16であり高栄養群が高値を示した。Albは3.78±0.34,3.15±0.33であり,高栄養群が高値を示した。CRPでは0.24±0.07,0.94±0.41であり高栄養群が低値を示した。RBCは368.50±27.89,303.50±44.23であり高栄養群が高値を示した。WBCは5900±1116.54,5150±1082.13であり高栄養群が高値を示した,Hbは11.60±1.06,9.70±1.16であり高栄養群が高値を示した。6MDは186.65±145.16,166.76±83.52であり高栄養群が高値を示した。SpO2では97.0±0.82,98.33±1.51であり高栄養群が低値を示した。Borgスケールは13.0±2.83,14.33±3.27であり高栄養群が低値を示した。それ以外の項目について有意差は見られなかった。
【考察】
結果より,低栄養群は炎症反応が強くタンパク異化作用が亢進しておりタンパク由来のRBC,Hbが燃焼された事が示された。酸素運搬を行う為にRBC,Hbは重要な役割を担うが,低値を示すことから酸素運搬能は低下し運動の耐性が制限されている事が推察される。息切れを背景とした連続歩行距離の短縮や呼吸苦の増大につながるものと考える。術後の生体反応としての治癒でタンパクが使用されるため低栄養では全身状態の詳細な評価に基づく介入が必要である。
人工骨頭置換術後は早期に歩行練習が開始されるが,息切れが運動の制限を来たす事を時折経験する。手段を問わず歩行が自立していたにも関わらず急激に動くのが辛いという訴えに疑問を感じている。術後に発生する炎症を背景としたタンパク異化作用亢進などによる骨格筋の萎縮やタンパク由来の赤血球やヘモグロビンの減少も報告されている事から,活動制限に対して呼吸機能や血液・生化学所見も関連付けて考える必要があるものと考えられる。
【対象】
平成28年4月1日~平成28年9月30日までに大腿骨頸部骨折を呈し人工骨頭置換術を施行した患者11名(男性:3名,女性:8名)平均年齢79.18±2.74歳,平均身長155.3±2.81cm,平均体重48.74±3.14Kgで術前ADLは手段を問わず自立していた者とした。術後2週間までのクリティカルパスが順調に経過している事を統制条件とし,除外対象として術前・術後の輸血,呼吸器疾患の既往,指示理解が得られにくい者は除外した。尚,対象者全員に本研究の趣旨を文書で説明し,同意を得た後に測定を実施した。
【方法】
測定項目は運動機能として6MD,6MD後のBorgスケール,SpO2,膝伸展筋力/wtを求めた。個人特性としてはBMI,呼吸機能ではVC,%VC,TV,ERV,IRV,FVC,FVC1%PEFを測定した。血液・生化学検査ではTP,Alb,Hb,RBC,WBC,CRPを参考値とした。タンパク異化作用亢進による身体機能は栄養状態により左右されることから,TPの基準値を満たしている群(以下,高栄養群)と不足している群(以下,低栄養群)の2群に分類しそれぞれの項目間で比較検討を実施した。
【結果】
以下,高栄養群,低栄養群の順に記載する。TPは7.18±0.39,5.98±0.16であり高栄養群が高値を示した。Albは3.78±0.34,3.15±0.33であり,高栄養群が高値を示した。CRPでは0.24±0.07,0.94±0.41であり高栄養群が低値を示した。RBCは368.50±27.89,303.50±44.23であり高栄養群が高値を示した。WBCは5900±1116.54,5150±1082.13であり高栄養群が高値を示した,Hbは11.60±1.06,9.70±1.16であり高栄養群が高値を示した。6MDは186.65±145.16,166.76±83.52であり高栄養群が高値を示した。SpO2では97.0±0.82,98.33±1.51であり高栄養群が低値を示した。Borgスケールは13.0±2.83,14.33±3.27であり高栄養群が低値を示した。それ以外の項目について有意差は見られなかった。
【考察】
結果より,低栄養群は炎症反応が強くタンパク異化作用が亢進しておりタンパク由来のRBC,Hbが燃焼された事が示された。酸素運搬を行う為にRBC,Hbは重要な役割を担うが,低値を示すことから酸素運搬能は低下し運動の耐性が制限されている事が推察される。息切れを背景とした連続歩行距離の短縮や呼吸苦の増大につながるものと考える。術後の生体反応としての治癒でタンパクが使用されるため低栄養では全身状態の詳細な評価に基づく介入が必要である。