[P-MT-05-1] 頸椎術後理学療法で行うポールウォーキングの有効性について
Keywords:頸椎術後理学療法, ポールウォーキング, ロコモティブシンドローム
【はじめに,目的】
2009年より当院では頸椎症性脊髄症(CSM)患者に対して頸部椎弓反転式拡大形成術(RLR)を施行し,2014年から術後理学療法としてノルディックウォーキング(PW)を取り入れ軸性痛緩和やロコモ対策を行っている。
本研究ではRLR術前後におけるロコモ25値や2ステップ値,軸性痛の推移から頸椎術後PWの意義と有効性を検証した。
【方法】
対象:2015年5月から2016年5月までにRLRを施行後,徒手療法における頸部及び肩甲帯の筋力トレーニングや姿勢指導に加えて,術後翌日から術後1ヶ月時点までPWを行った群をPW実施(P)群20名とした。2016年6月から8月までPW以外の同様のプログラムを実施したPW未実施(N)群12名とし,上記2群で比較検討した。
方法:2ステップを術後2日目,術後9日目(退院時),術後1ヶ月で計測。術後より軸性痛評価(NRS)施行。ロコモ25の調査は術前,術後1ヶ月で実施した。統計的処理はP群とN群の改善率の平均値比較をWelchのt検定で行った。
【結果】
2ステップは術前,術後,退院時,術後1ヶ月の順にN群1.28,1.15,1.28,1.37であり,各期間での改善率は-9%,12%,6%であった。P群では1.29,1.13,1.35,1.45であり,各期間での改善率は-12%,34%,7%であった。術後から術後1ヶ月においてN群と比較しP群の改善率が高値となった(p<0.09)。
軸性痛評価は術後,退院時,術後1ヶ月の順にN群5.0,2.7,3.3,各期間での変化の差は-2.33,0.58,-1.75であった。P群では5.8,2.8,1.9であり,各期間での変化の差は-3.05,-0.9,-3.95であった。術後から術後1ヶ月にかけて有意な差を認めた(p<0.04)。
ロコモ25では術前,術後1ヶ月でN群24.9,16.8,改善率は24%であった。P群では21.45,11.25,改善率は37%であり,N群と比較しP群の改善率が高値となった(p<0.23)。
【結論】
PWは歩行動作に対する不安解消及び運動効果の増加が報告されている。
P群で軸性痛が術後から術後1ヶ月において有意な改善を認めたことから,通常の歩行と比較し,ポールを使用することで肩甲帯周囲筋群の手術侵襲や,肩甲帯の垂れ下がりを防ぎ,肩甲帯周囲筋へのリズミカルな収縮と弛緩の繰り返しにより,軸性痛発生部の局所循環や代謝が改善され頸部椎弓形成術後の疼痛が痛軽減されたものと推測する。
P群の術後から術後1ヶ月までの2ステップ値とロコモ25値の改善率の大きさから,PWでの上下肢の連動した動きは神経筋協調性運動となり,CSM患者の低下した筋パワー能力の改善を目的とした訓練として有効であると言える。さらにPW使用によるバランス能力や筋パワーの向上が,日常の身体的活動性の改善に寄与したと考える。よってPWは頸椎疾患も含めた脊椎疾患合併ロコモ高値患者の活動力を向上させる有効な手段である。
2009年より当院では頸椎症性脊髄症(CSM)患者に対して頸部椎弓反転式拡大形成術(RLR)を施行し,2014年から術後理学療法としてノルディックウォーキング(PW)を取り入れ軸性痛緩和やロコモ対策を行っている。
本研究ではRLR術前後におけるロコモ25値や2ステップ値,軸性痛の推移から頸椎術後PWの意義と有効性を検証した。
【方法】
対象:2015年5月から2016年5月までにRLRを施行後,徒手療法における頸部及び肩甲帯の筋力トレーニングや姿勢指導に加えて,術後翌日から術後1ヶ月時点までPWを行った群をPW実施(P)群20名とした。2016年6月から8月までPW以外の同様のプログラムを実施したPW未実施(N)群12名とし,上記2群で比較検討した。
方法:2ステップを術後2日目,術後9日目(退院時),術後1ヶ月で計測。術後より軸性痛評価(NRS)施行。ロコモ25の調査は術前,術後1ヶ月で実施した。統計的処理はP群とN群の改善率の平均値比較をWelchのt検定で行った。
【結果】
2ステップは術前,術後,退院時,術後1ヶ月の順にN群1.28,1.15,1.28,1.37であり,各期間での改善率は-9%,12%,6%であった。P群では1.29,1.13,1.35,1.45であり,各期間での改善率は-12%,34%,7%であった。術後から術後1ヶ月においてN群と比較しP群の改善率が高値となった(p<0.09)。
軸性痛評価は術後,退院時,術後1ヶ月の順にN群5.0,2.7,3.3,各期間での変化の差は-2.33,0.58,-1.75であった。P群では5.8,2.8,1.9であり,各期間での変化の差は-3.05,-0.9,-3.95であった。術後から術後1ヶ月にかけて有意な差を認めた(p<0.04)。
ロコモ25では術前,術後1ヶ月でN群24.9,16.8,改善率は24%であった。P群では21.45,11.25,改善率は37%であり,N群と比較しP群の改善率が高値となった(p<0.23)。
【結論】
PWは歩行動作に対する不安解消及び運動効果の増加が報告されている。
P群で軸性痛が術後から術後1ヶ月において有意な改善を認めたことから,通常の歩行と比較し,ポールを使用することで肩甲帯周囲筋群の手術侵襲や,肩甲帯の垂れ下がりを防ぎ,肩甲帯周囲筋へのリズミカルな収縮と弛緩の繰り返しにより,軸性痛発生部の局所循環や代謝が改善され頸部椎弓形成術後の疼痛が痛軽減されたものと推測する。
P群の術後から術後1ヶ月までの2ステップ値とロコモ25値の改善率の大きさから,PWでの上下肢の連動した動きは神経筋協調性運動となり,CSM患者の低下した筋パワー能力の改善を目的とした訓練として有効であると言える。さらにPW使用によるバランス能力や筋パワーの向上が,日常の身体的活動性の改善に寄与したと考える。よってPWは頸椎疾患も含めた脊椎疾患合併ロコモ高値患者の活動力を向上させる有効な手段である。