The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-05] ポスター(運動器)P05

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-05-4] アテトーゼ型脳性麻痺患者に合併した頸髄症性脊髄症に対する術後運動療法に栄養管理を組み合わせた成果

増田 智子1, 高橋 浩平1, 内田 学2, 田村 哲郎3 (1.田村外科病院リハビリテーション科, 2.東京医療学院大学保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻, 3.田村外科病院)

Keywords:頸椎症性脊髄症, アテトーゼ型脳性麻痺, 栄養管理

【はじめに,目的】

アテトーゼ型脳性麻痺(以下,ACP)では二次障害として頸椎症性脊髄症を伴うことが多い。頸椎症性脊髄症の合併により,脊髄障害や筋力低下,筋萎縮などの神経根・前根障害が生じ,そのため日常生活動作(以下,ADL)が低下することがある。

近年,リハビリテーション(以下,リハ)栄養の有用性が報告されており,特に運動と分岐鎖アミノ酸(以下,BCAA)摂取との併用は,筋量,筋力,身体機能の改善に有効であることが示されている。しかし,頸椎症性脊髄症を伴うACPに対するリハ栄養の報告はない。

今回,ACPで頸椎症性脊髄症を合併し,重度の四肢麻痺,感覚障害,廃用症候群によりADLが著しく低下,体重,筋量も減少した症例に対し,運動療法後にBCAA含有の栄養補助食品を摂取したことで,体重,筋量,身体機能,ADLの改善など良好な成果が得られたので報告する。




【方法】

症例はACPの60歳代後半の男性。元々屋外歩行が自立していたが,2014年12月頃から四肢麻痺,感覚障害が出現し,徐々にADLが低下した。2016年2月に食事動作やトイレ動作が困難となり,3月に自宅ベッドからの転落を機に,さらに四肢麻痺,感覚障害が増悪し,ADLが全介助となった。MRI検査によりクリッペル-フェイル症候群と頸椎症性脊髄症と診断された。6月2日にC1椎弓切除及びC2椎弓形成術を施行した。6月16日に当院に転院し,理学療法を開始した。ADLは徐々に改善したが,体重減少や筋萎縮がみられた。そのため7月29日より体重,筋量,筋力の改善を目的にBCAA含有の栄養補助食品を追加した。栄養補助食品は運動療法直後に摂取した。それに伴い,運動負荷量を漸増した。




【結果】

以下,転院時(6月16日),BCAA摂取開始前(7月28日),退院時(9月26日)の順で各検査結果を示す。体重は38.4kg,36.0kg,40.1kg,握力は3.1kg,5.5kg,9.1kg,膝伸展筋力は0.11kgf/kg,0.12kgf/kg,0.37kgf/kg,大腿周径は,31.6cm,30.9cm,32.3cm,下腿最大周径は26.0cm,25.1cm,27.1cm,Barthel Indexは0点,30点,70点であった。




【結論】

ACPに頸椎症性脊髄症を合併した症例で手術により麻痺の改善は認めたが,体重減少や筋萎縮などの廃用症候群が生じた。運動療法後にBCAA含有の栄養補助食品を追加したことにより,運動療法の漸増負荷量調整に繋がり,その結果,体重,筋量,筋力,身体機能が向上し,ADLがより改善した。