[P-MT-06-4] 腰部脊柱管狭窄症術前患者のQOLと運動機能の関連
~歩行距離と体幹伸展筋力はJOABPEQ得点と関連がある~
Keywords:腰部脊柱管狭窄症, QOL, 運動機能
【はじめに,目的】
腰部脊柱管狭窄症(Lumber spiral canal stenosis:以下LSS)は,間欠性跛行を特徴とし,QOLが阻害される。患者立脚型QOL評価に用いられる日本整形外科学会腰痛評価質問票(Japanese Orthopaedic Association JOA Back Pain Evaluation Questionnaire:以下JOABPEQ)は,腰痛による生活能力障害の評価(Roland-Morris Disability Questionnarie日本語版:以下RDQ)やSF36などのQOL評価表と相関が高いが,運動機能との関連を示す報告は少ない。今回の目的は,術前のLSS患者QOLに関連する運動機能を明らかにするために,術前のJOABPEQ各項目の得点と運動機能との関連を調査した。
【方法】
本研究は手術予定のLSS患者60例(男性35例,女性25例,平均年齢69.0±10.9歳)を対象とした。運動機能項目は,体幹・四肢筋肉量,筋力(体幹屈曲筋力,体幹伸展筋力),柔軟性(FFD,SLR),6分間歩行距離(以下6MD)とした。体幹・四肢筋肉量の測定には体成分分析装置In Body(In Body JAPAN)を使用した。筋力測定には,徒手筋力計mobie(酒井医療)を使用した。JOABPEQにおける5項目の得点と運動機能項目それぞれとの相関をみた。統計処理には,ピアソンの相関係数もしくはスピアマンの順位相関係数を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
JOABPEQの各項目の平均点は,腰椎機能障害60.6±29.1,歩行機能障害37.1±29.4,社会生活障害42.2±22.8,心理的障害50.8±16.6,疼痛関連障害48.8±36.9であった。身体機能項目の各平均点は,体幹筋肉量19.6±6.0kg,四肢筋肉量17.4±5.2kg,体幹屈曲力15.6kg,体幹伸展筋力20.4kg,FFD 45.69±140cm,SLR 71.5±13.6°,6MD 259.83±148.6mであった。腰椎機能障害と相関がみられた運動機能項目は体幹筋肉量(r=0.3),四肢筋肉量(r=0.3),体幹伸展筋力(r=0.4),6MD(r=0.5)であった。歩行機能障害と相関がみられた項目は6MD(r=0.5),社会生活障害と相関がみられた項目も6MD(r=0.3)であった。心理的障害と相関がみられた項目は体幹伸展筋力(r=0.4)であった。疼痛関連障害と相関がみられた項目はSLR(r=0.4)であった。
【結論】
JOABPEQ各項目の得点と相関を示した運動機能項目は6MD,次いで体幹伸展筋力であった。術前のLSS患者のQOLに歩行距離や体幹筋力などの運動機能が関連していることが示唆された結果であった。術前や術後に歩行距離の拡大や体幹伸展筋力の向上を目指したリハビリテーション介入は我々理学療法士が寄与できる可能性があると考える。
腰部脊柱管狭窄症(Lumber spiral canal stenosis:以下LSS)は,間欠性跛行を特徴とし,QOLが阻害される。患者立脚型QOL評価に用いられる日本整形外科学会腰痛評価質問票(Japanese Orthopaedic Association JOA Back Pain Evaluation Questionnaire:以下JOABPEQ)は,腰痛による生活能力障害の評価(Roland-Morris Disability Questionnarie日本語版:以下RDQ)やSF36などのQOL評価表と相関が高いが,運動機能との関連を示す報告は少ない。今回の目的は,術前のLSS患者QOLに関連する運動機能を明らかにするために,術前のJOABPEQ各項目の得点と運動機能との関連を調査した。
【方法】
本研究は手術予定のLSS患者60例(男性35例,女性25例,平均年齢69.0±10.9歳)を対象とした。運動機能項目は,体幹・四肢筋肉量,筋力(体幹屈曲筋力,体幹伸展筋力),柔軟性(FFD,SLR),6分間歩行距離(以下6MD)とした。体幹・四肢筋肉量の測定には体成分分析装置In Body(In Body JAPAN)を使用した。筋力測定には,徒手筋力計mobie(酒井医療)を使用した。JOABPEQにおける5項目の得点と運動機能項目それぞれとの相関をみた。統計処理には,ピアソンの相関係数もしくはスピアマンの順位相関係数を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
JOABPEQの各項目の平均点は,腰椎機能障害60.6±29.1,歩行機能障害37.1±29.4,社会生活障害42.2±22.8,心理的障害50.8±16.6,疼痛関連障害48.8±36.9であった。身体機能項目の各平均点は,体幹筋肉量19.6±6.0kg,四肢筋肉量17.4±5.2kg,体幹屈曲力15.6kg,体幹伸展筋力20.4kg,FFD 45.69±140cm,SLR 71.5±13.6°,6MD 259.83±148.6mであった。腰椎機能障害と相関がみられた運動機能項目は体幹筋肉量(r=0.3),四肢筋肉量(r=0.3),体幹伸展筋力(r=0.4),6MD(r=0.5)であった。歩行機能障害と相関がみられた項目は6MD(r=0.5),社会生活障害と相関がみられた項目も6MD(r=0.3)であった。心理的障害と相関がみられた項目は体幹伸展筋力(r=0.4)であった。疼痛関連障害と相関がみられた項目はSLR(r=0.4)であった。
【結論】
JOABPEQ各項目の得点と相関を示した運動機能項目は6MD,次いで体幹伸展筋力であった。術前のLSS患者のQOLに歩行距離や体幹筋力などの運動機能が関連していることが示唆された結果であった。術前や術後に歩行距離の拡大や体幹伸展筋力の向上を目指したリハビリテーション介入は我々理学療法士が寄与できる可能性があると考える。