[P-MT-08-2] 生物学的製剤使用中の関節リウマチ患者の無力感に関する予備的研究
―疼痛症状,機能障害,精神心理的問題の関係性に関する検討―
Keywords:関節リウマチ, 生物学的製剤, 無力感
【はじめに】
生物学的製剤(以下Bio)の登場により,関節リウマチ(以下RA)は臨床的寛解が望めるようになった。しかしBio使用中の約25%の患者は強い痛みを訴え,破局的思考が影響しているとの報告もある。特に無力感(learned helplessness:以下LH)はRA患者の悲観的,受動的行動,抑うつを惹起する要因であり疾患活動性の状態を問わず高いとされる。今回,Bio使用中のRA患者の疼痛症状,機能障害,精神心理的問題について無力感の状態による比較検討を行うとともに,それらの関係性について検討したので若干の知見を交えて報告する。
【方法】
対象は,研究の趣旨を説明し同意を得られたBio使用中の女性RA患者14名(平均年齢59.71±4.61歳,平均罹病期間14.5±2.83年)とし,LHが高値を示した群を高LH群と低値を示した群を低LH群に分類した。評価項目は,疾患活動性をsimplified disease activity index(SDAI),疼痛強度をvisual analogue scale(VAS),機能障害をpain disability assessement scale(PDAS)とhealth assessment questionnaire(HAQ)とロコモ25,精神心理状態をpain catastrophizing scale(PCS:反芻,無力感,拡大視)とhospital anxiety and depression scale(HADS:抑うつ,不安)とtampa scale forkinesiophobia(TSK),その他評価としてpain self efficacy questionnnaire(PSEQ),general self-efficacy scale(GSES),euroqol 5 dimntion(EQ5D)とし比較検討した。さらに各項目間の関係について調べた。統計学的解析は,群間比較にMann-WhitneyのU検定,各項目間の相関関係検討にSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準を5%未満とした。
【結果】
両群ともにSDAI,VASに差はなく,HAQにも差を認めなかったが,PDAS,ロコモ25は低LH群が有意に低値を示した。精神心理状態は反芻,無力感,不安,TSKが高LH群で有意に高値を示したが,PSEQ,GSES,EQ5Dでは差がなかった。各項目の相関関係については,無力感はSDAIとの相関は低く,VAS,HAQ,PDAS,ロコモ25とは中等度の相関を示した。また反芻,拡大視とは高い相関を示し,不安,抑うつ,TSKとも中等度の相関を示した。
【考察】
RA患者の無力感は,在宅生活に支障をきたさない程度の機能障害であっても,疾患活動性や疼痛強度よりも影響を受ける可能性が示唆された。
生物学的製剤(以下Bio)の登場により,関節リウマチ(以下RA)は臨床的寛解が望めるようになった。しかしBio使用中の約25%の患者は強い痛みを訴え,破局的思考が影響しているとの報告もある。特に無力感(learned helplessness:以下LH)はRA患者の悲観的,受動的行動,抑うつを惹起する要因であり疾患活動性の状態を問わず高いとされる。今回,Bio使用中のRA患者の疼痛症状,機能障害,精神心理的問題について無力感の状態による比較検討を行うとともに,それらの関係性について検討したので若干の知見を交えて報告する。
【方法】
対象は,研究の趣旨を説明し同意を得られたBio使用中の女性RA患者14名(平均年齢59.71±4.61歳,平均罹病期間14.5±2.83年)とし,LHが高値を示した群を高LH群と低値を示した群を低LH群に分類した。評価項目は,疾患活動性をsimplified disease activity index(SDAI),疼痛強度をvisual analogue scale(VAS),機能障害をpain disability assessement scale(PDAS)とhealth assessment questionnaire(HAQ)とロコモ25,精神心理状態をpain catastrophizing scale(PCS:反芻,無力感,拡大視)とhospital anxiety and depression scale(HADS:抑うつ,不安)とtampa scale forkinesiophobia(TSK),その他評価としてpain self efficacy questionnnaire(PSEQ),general self-efficacy scale(GSES),euroqol 5 dimntion(EQ5D)とし比較検討した。さらに各項目間の関係について調べた。統計学的解析は,群間比較にMann-WhitneyのU検定,各項目間の相関関係検討にSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準を5%未満とした。
【結果】
両群ともにSDAI,VASに差はなく,HAQにも差を認めなかったが,PDAS,ロコモ25は低LH群が有意に低値を示した。精神心理状態は反芻,無力感,不安,TSKが高LH群で有意に高値を示したが,PSEQ,GSES,EQ5Dでは差がなかった。各項目の相関関係については,無力感はSDAIとの相関は低く,VAS,HAQ,PDAS,ロコモ25とは中等度の相関を示した。また反芻,拡大視とは高い相関を示し,不安,抑うつ,TSKとも中等度の相関を示した。
【考察】
RA患者の無力感は,在宅生活に支障をきたさない程度の機能障害であっても,疾患活動性や疼痛強度よりも影響を受ける可能性が示唆された。