[P-MT-08-4] 閉経後女性における橈骨遠位端骨折の有無と身体機能・運動機能の関連性
Keywords:橈骨遠位端骨折, 閉経後女性, 骨格筋量指数
【はじめに,目的】
橈骨遠位端骨折の原因は,骨粗鬆症の有無が大きく関連しており,それらの予防策として骨密度を改善させる介入研究が行われている(Hakestad, et al., 2015)。また骨粗鬆症はサルコペニアとの関連が報告されており(He, et al., 2015),これらを加味すると,橈骨遠位端骨折患者は骨格筋量指数(Skeletal muscle mass index:SMI)が低下している事が予想される。しかし,先行研究において橈骨遠位端骨折受傷の有無とSMIの関連性を示した報告は見当たらない。したがって本研究は閉経後女性における骨折受傷の有無とSMIを含む身体機能,運動機能との関連性を調査する事を目的とした。
【方法】
対象は当院入院中の橈骨遠位端骨折術後患者11名(65.9±7.0歳:骨折群)と,地域在住女性高齢者33名(73.2±3.7歳:非骨折群)の計44名の閉経後女性である。除外基準は認知症,神経学的疾患を有する者とした。測定項目は,SMI,握力,等尺性膝関節伸展筋力,通常歩行速度の計4項目を測定した。SMIはBIA法により測定した四肢筋肉量を身長(m)の2乗で除す事で算出し,四肢筋肉量はInBody770(InBody Japan社製)にて測定した。等尺性膝関節伸展筋力はハンドヘルドダイナモメーターを使用し,アーム長,体重のバイアスを払拭するため,筋力に下腿長(m)を乗じ,それを体重にて除することで正規化(Nm/kg)した。統計学的分析は,骨折群と非骨折群の各指標の正規性をShapiro-Wilk検定により確認した後に,正規分布する変数には対応のないt検定,正規分布しない変数にはMann-Whitney検定を実施した。その後,橈骨遠位端骨折の有無との関連因子を明らかにするため,骨折の有無を従属変数,SMI,握力,等尺性膝関節伸展筋力,通常歩行速度を独立変数としたステップワイズ多重ロジスティック回帰分析を実施した。統計解析はR2.8.1を使用し,統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
骨折群/非骨折群の各指標は,年齢65.9±7.0歳/73.2±3.7歳(p<0.001),通常歩行速度1.28(0.385)m/sec/1.44(0.26)m/sec(p<0.05)で有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果,有意な変数として抽出されたものは認めなかった。
【結論】
橈骨遠位端骨折の有無に関連する身体機能,運動機能は認められなかった。先行研究では橈骨遠位端骨折者は地域在住健康高齢者と比較して大腿四頭筋筋力,動的バランス能力が低下していると報告されており(Hakestad, et al., 2014)今回はそれと相反するものとなった。また近年,橈骨遠位端骨折には前庭機能の左右差が影響していると報告されている(Ekvall, et al., 2015)。よって今後,それらを反映するアウトカムを追加し,橈骨遠位端骨折に関連する要因を継続して調査していきたい。
橈骨遠位端骨折の原因は,骨粗鬆症の有無が大きく関連しており,それらの予防策として骨密度を改善させる介入研究が行われている(Hakestad, et al., 2015)。また骨粗鬆症はサルコペニアとの関連が報告されており(He, et al., 2015),これらを加味すると,橈骨遠位端骨折患者は骨格筋量指数(Skeletal muscle mass index:SMI)が低下している事が予想される。しかし,先行研究において橈骨遠位端骨折受傷の有無とSMIの関連性を示した報告は見当たらない。したがって本研究は閉経後女性における骨折受傷の有無とSMIを含む身体機能,運動機能との関連性を調査する事を目的とした。
【方法】
対象は当院入院中の橈骨遠位端骨折術後患者11名(65.9±7.0歳:骨折群)と,地域在住女性高齢者33名(73.2±3.7歳:非骨折群)の計44名の閉経後女性である。除外基準は認知症,神経学的疾患を有する者とした。測定項目は,SMI,握力,等尺性膝関節伸展筋力,通常歩行速度の計4項目を測定した。SMIはBIA法により測定した四肢筋肉量を身長(m)の2乗で除す事で算出し,四肢筋肉量はInBody770(InBody Japan社製)にて測定した。等尺性膝関節伸展筋力はハンドヘルドダイナモメーターを使用し,アーム長,体重のバイアスを払拭するため,筋力に下腿長(m)を乗じ,それを体重にて除することで正規化(Nm/kg)した。統計学的分析は,骨折群と非骨折群の各指標の正規性をShapiro-Wilk検定により確認した後に,正規分布する変数には対応のないt検定,正規分布しない変数にはMann-Whitney検定を実施した。その後,橈骨遠位端骨折の有無との関連因子を明らかにするため,骨折の有無を従属変数,SMI,握力,等尺性膝関節伸展筋力,通常歩行速度を独立変数としたステップワイズ多重ロジスティック回帰分析を実施した。統計解析はR2.8.1を使用し,統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
骨折群/非骨折群の各指標は,年齢65.9±7.0歳/73.2±3.7歳(p<0.001),通常歩行速度1.28(0.385)m/sec/1.44(0.26)m/sec(p<0.05)で有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果,有意な変数として抽出されたものは認めなかった。
【結論】
橈骨遠位端骨折の有無に関連する身体機能,運動機能は認められなかった。先行研究では橈骨遠位端骨折者は地域在住健康高齢者と比較して大腿四頭筋筋力,動的バランス能力が低下していると報告されており(Hakestad, et al., 2014)今回はそれと相反するものとなった。また近年,橈骨遠位端骨折には前庭機能の左右差が影響していると報告されている(Ekvall, et al., 2015)。よって今後,それらを反映するアウトカムを追加し,橈骨遠位端骨折に関連する要因を継続して調査していきたい。