[P-MT-11-4] 最大努力下での8の字歩行テスト(F8Wmax)の妥当性
入院患者を対象とした検証
Keywords:F8Wmax, 入院患者, 妥当性
【はじめに,目的】
8の字歩行テストは,左右両回りのカーブ路を含み,椅子からの起立・着座を伴わないふつうの速さで歩くテストであるが,最大努力下で実施するように改変したFigure-of-8Walk Test max(F8Wmax)がある。F8Wmaxは,地域在住高齢者を対象とした研究において,妥当性が確認されている。しかし,身体機能が低下した入院患者を対象とした場合,F8Wmaxが歩行能力や動的バランス能力等を反映するか否かは不明である。そこで,入院患者のF8Wmaxの妥当性を検討することを目的として本研究を実施した。
【方法】
歩行可能な入院患者で,重度の認知症が認められない25名(男性8名,女性17名,年齢71.7±10.5歳)を対象とした。
測定項目は,F8Wmax(所要時間,歩数),Timed Up & Go Test,(TUG),Functional Reach Test,(FRT),Frail Chair Stand-10,(FCS-10),膝伸展筋力,開眼片脚立位時間,歩行速度),Life-Space Assessment,(LSA),握力,転倒リスク評価表(FRI),Functional Independence Measure Motor,(FIM-m)とした。
F8Wmaxの妥当性の検討は,各測定項目との関連から求めたPearsonの相関係数から検討した。統計処理には,SPSS ver.22(IBM)を用いた。
【結果】
F8Wmaxの所要時間は,TUG(r=0.94),FRT(r=-0.80),FCS-10(r=-0.80),開眼片脚立位時間(r=-0.61),歩行速度(r=0.93),LSA(r=-0.60),FRI(r=0.61)との間に有意な相関が認められた。また,F8Wmaxの所要時間はFIM-mのセルフケア合計(r=-0.41),移乗合計(r=-0.56),移動合計(r=-0.53),総合計(r=-0.51)との間に有意な相関が認められた。F8Wmaxの歩数も,相関係数は若干低くなるものの同様に有意な相関が認められた。一方,F8Wmaxの所要時間と歩数とも,握力及び膝伸展筋力との間には有意な相関は認められなかった。
【結論】
F8Wmaxは入院患者を対象としても所要時間と歩数はともに,TUG,FRT,FCS-10,開眼片脚立位時間,歩行速度との間に有意な相関が認められ,入院患者の歩行能力を評価するテストとしての妥当性が確認された。また,LSAとの相関も認められ,退院後の生活を想定する指標となりうる可能性が示された。一方,握力及び膝伸展筋力との間に相関は認められなかった。従って,F8Wmaxを筋力の評価として用いるのは適さない可能性が示唆された。また,FIM-mとの関連からF8WmaxはADLを反映する指標として有用である。
8の字歩行テストは,左右両回りのカーブ路を含み,椅子からの起立・着座を伴わないふつうの速さで歩くテストであるが,最大努力下で実施するように改変したFigure-of-8Walk Test max(F8Wmax)がある。F8Wmaxは,地域在住高齢者を対象とした研究において,妥当性が確認されている。しかし,身体機能が低下した入院患者を対象とした場合,F8Wmaxが歩行能力や動的バランス能力等を反映するか否かは不明である。そこで,入院患者のF8Wmaxの妥当性を検討することを目的として本研究を実施した。
【方法】
歩行可能な入院患者で,重度の認知症が認められない25名(男性8名,女性17名,年齢71.7±10.5歳)を対象とした。
測定項目は,F8Wmax(所要時間,歩数),Timed Up & Go Test,(TUG),Functional Reach Test,(FRT),Frail Chair Stand-10,(FCS-10),膝伸展筋力,開眼片脚立位時間,歩行速度),Life-Space Assessment,(LSA),握力,転倒リスク評価表(FRI),Functional Independence Measure Motor,(FIM-m)とした。
F8Wmaxの妥当性の検討は,各測定項目との関連から求めたPearsonの相関係数から検討した。統計処理には,SPSS ver.22(IBM)を用いた。
【結果】
F8Wmaxの所要時間は,TUG(r=0.94),FRT(r=-0.80),FCS-10(r=-0.80),開眼片脚立位時間(r=-0.61),歩行速度(r=0.93),LSA(r=-0.60),FRI(r=0.61)との間に有意な相関が認められた。また,F8Wmaxの所要時間はFIM-mのセルフケア合計(r=-0.41),移乗合計(r=-0.56),移動合計(r=-0.53),総合計(r=-0.51)との間に有意な相関が認められた。F8Wmaxの歩数も,相関係数は若干低くなるものの同様に有意な相関が認められた。一方,F8Wmaxの所要時間と歩数とも,握力及び膝伸展筋力との間には有意な相関は認められなかった。
【結論】
F8Wmaxは入院患者を対象としても所要時間と歩数はともに,TUG,FRT,FCS-10,開眼片脚立位時間,歩行速度との間に有意な相関が認められ,入院患者の歩行能力を評価するテストとしての妥当性が確認された。また,LSAとの相関も認められ,退院後の生活を想定する指標となりうる可能性が示された。一方,握力及び膝伸展筋力との間に相関は認められなかった。従って,F8Wmaxを筋力の評価として用いるのは適さない可能性が示唆された。また,FIM-mとの関連からF8WmaxはADLを反映する指標として有用である。