[P-MT-11-5] 回復期リハビリテーション病棟における歩行獲得に影響を及ぼす因子の検討
サルコペニアおよび身体機能に着目して
Keywords:歩行, サルコペニア, 高齢者
【はじめに,目的】
本邦における高齢化は年々進行しており,自立した生活が阻害されてしまうロコモティブシンドロームが問題になっている。また,高齢者の自立した生活を妨げる,筋量の減少,身体的虚弱を示すサルコペニアという概念が注目されている。高齢者が自立した生活を続けていくためには自立した歩行が可能であることが望ましい。また生活範囲を拡大しQOLを向上させるためにも,より質の高い歩行能力が必要である。しかし,整形外科疾患においてもリハビリテーションを行っても十分な屋外歩行獲得に至る症例は多くはない。そこで,本研究の目的は入院高齢者を対象とし,自立した歩行能力獲得に影響を及ぼす身体機能的因子を明らかにするとした。
【方法】
対象は,当回復期病院に入院し運動器リハビリテーションを実施した65歳以上の女性82名とした。包含基準は,独歩またはT字杖での歩行が獲得出来た者とした。計測項目は,①BMI,②体脂肪率,③skeletal muscle mass index(SMI),④膝関節伸展筋力,⑤Berg Balance Scale(BBS),⑥Timed Up & Go Test(TUG),⑦10m歩行,⑧6分間歩行試験の8項目とし,各対象の退院日から2週間以内の計測したデータを採用した。
BMI,体脂肪率,細胞外水分率,骨格筋量指標は,体組成成分分析装置InBody720(バイオスペース社)を使用して計測した。膝関節伸展筋力(Nm/kg)は,イージーテックプラス(Easy tech社)にて等速性伸展運動(角速度90度/sec,回数5回)にて計測したものを体重で除した値を採用した。
さらに,Asian Working Group for Sarcopeniaの診断基準に準じてサルコペニア,プレサルコペニア,ロバストを判定した。統計解析は,6分間歩行試験が400m以上可能であったか否かで歩行獲得群と非歩行獲得群の2群に分け,T検定,Mann-WhitneyのU検定,χ2定検検定による単変量解析を用いて比較検討した。
【結果】
歩行獲得群は16名,非歩行獲得群は66名であった。2群(歩行獲得群vs非歩行獲得群)においてサルコペニア0例(0%)vs31例(100%),プレサルコペニア9例(30%)vs21例(70%),ロバストは7例(33%)vs14例(66%)であった(p=0.002)。さらに,BBS(p=0.001),TUG(p=0.001)においても有意差を認めた。BMI,体脂肪率,膝関節伸展筋力においては有意差を認めなかった。
【結論】
本研究結果より,サルコペニアの有無で歩行獲得に有意差を認め,BBSやTUGでも有意差を認めたことより,自立した歩行を獲得するためにはサルコペニア及びバランス能力が関与していることが示唆された。
本邦における高齢化は年々進行しており,自立した生活が阻害されてしまうロコモティブシンドロームが問題になっている。また,高齢者の自立した生活を妨げる,筋量の減少,身体的虚弱を示すサルコペニアという概念が注目されている。高齢者が自立した生活を続けていくためには自立した歩行が可能であることが望ましい。また生活範囲を拡大しQOLを向上させるためにも,より質の高い歩行能力が必要である。しかし,整形外科疾患においてもリハビリテーションを行っても十分な屋外歩行獲得に至る症例は多くはない。そこで,本研究の目的は入院高齢者を対象とし,自立した歩行能力獲得に影響を及ぼす身体機能的因子を明らかにするとした。
【方法】
対象は,当回復期病院に入院し運動器リハビリテーションを実施した65歳以上の女性82名とした。包含基準は,独歩またはT字杖での歩行が獲得出来た者とした。計測項目は,①BMI,②体脂肪率,③skeletal muscle mass index(SMI),④膝関節伸展筋力,⑤Berg Balance Scale(BBS),⑥Timed Up & Go Test(TUG),⑦10m歩行,⑧6分間歩行試験の8項目とし,各対象の退院日から2週間以内の計測したデータを採用した。
BMI,体脂肪率,細胞外水分率,骨格筋量指標は,体組成成分分析装置InBody720(バイオスペース社)を使用して計測した。膝関節伸展筋力(Nm/kg)は,イージーテックプラス(Easy tech社)にて等速性伸展運動(角速度90度/sec,回数5回)にて計測したものを体重で除した値を採用した。
さらに,Asian Working Group for Sarcopeniaの診断基準に準じてサルコペニア,プレサルコペニア,ロバストを判定した。統計解析は,6分間歩行試験が400m以上可能であったか否かで歩行獲得群と非歩行獲得群の2群に分け,T検定,Mann-WhitneyのU検定,χ2定検検定による単変量解析を用いて比較検討した。
【結果】
歩行獲得群は16名,非歩行獲得群は66名であった。2群(歩行獲得群vs非歩行獲得群)においてサルコペニア0例(0%)vs31例(100%),プレサルコペニア9例(30%)vs21例(70%),ロバストは7例(33%)vs14例(66%)であった(p=0.002)。さらに,BBS(p=0.001),TUG(p=0.001)においても有意差を認めた。BMI,体脂肪率,膝関節伸展筋力においては有意差を認めなかった。
【結論】
本研究結果より,サルコペニアの有無で歩行獲得に有意差を認め,BBSやTUGでも有意差を認めたことより,自立した歩行を獲得するためにはサルコペニア及びバランス能力が関与していることが示唆された。