[P-MT-12-4] 腹部引き込み動作時の腹横筋と多裂筋の筋厚の関係
Keywords:多裂筋, 腹横筋, 筋厚
【はじめに,目的】
近年,超音波診断装置を用いた腹部引き込み運動時(Draw in)の腹横筋(TrA)や多裂筋(MF)の筋厚変化についての研究は数多く見受けられる。しかし,Draw inによるTrAとMFの関係性についての報告は少なく不明な点が多い。そこで本研究では,Draw inにおけるTrAとMFの筋厚の関係性と性差に関して比較検討した。
【方法】
対象は腰痛や整形外科的疾患を有さない男性11名(年齢:20.3±1.5歳,身長:168.9±2.9cm,体重:63.3±8.9kg),女性8名(年齢:20±1.1歳,身長:158.3±4.2cm,体重:53.2±4.6kg)合計19名とした。測定機器は汎用超音波画像装置(Viamo SSA-640A)を使用し左TrAと左MFの筋厚を測定した。測定肢位は股関節45度,膝関節60度屈曲位,骨盤は軽度後傾位の左側臥位とし上肢は前方に置いた安楽肢位とした。左TrAの測定部位は臍レベルの水平線と左前腋下線上の交点から前内方とし,その部位にプローブを置きTrAが最も抽出しやすい位置である臍部から外側100mmを計測した。左MFの測定部位は第5腰椎棘突起より20mm外側でプローブは脊柱と垂直に設置した。TrAとMFの測定条件は,安静呼吸とDraw inの2条件を行った。筋厚は各3回計測しその平均値を算出した。統計学的検討は,各条件におけるTrAとMFの性差による筋厚比較,各筋の安静呼吸とDraw inでの筋厚比較を2元配置分散分析と多重比較検定をおこなった。それぞれ有意水準は5%とした。
【結果】
TrAの筋厚は安静呼吸(3.4±1.85mm)に対しDraw in(5.69±4.17mm)で有意に増加した(P<0.05)。MFの筋厚は安静時呼吸(23.4±8.07mm)とDraw in(24.1±7.83mm)で有意差が認められなかった。性差による筋厚は有意差が認められなかった(男性vs女性)(TrA安静呼吸:3.9±2.17 vs 2.69±1.05mm,TrA Draw in:6.9±5.11 vs 3.9±1.28mm,MF安静呼吸:26.2±9.18 vs 19.5±4.20mm,MF Draw in:26.25±9.26 vs 21.1±4.16mm)
【結論】
TrAはDraw inや骨盤後傾位で筋厚が増加し,骨盤前傾位で減少すると報告されている。また,MFは骨盤前傾位で筋厚や筋活動が増加することが報告されている。本研究において骨盤後傾位でTrAの筋厚は増加したがMFに増加が認められなかったのは,それらの影響によるものと推察された。性差に関しては先行研究での報告は見当たらず,本研究でも明らかとはならなかった。
今後はTrA,MFの同時収縮を考慮し骨盤傾斜角度を意識したExをおこなう必要があると考える。また,測定数値の補正などを詳細にすることで性差に関しても明らかにしていく必要がある。
近年,超音波診断装置を用いた腹部引き込み運動時(Draw in)の腹横筋(TrA)や多裂筋(MF)の筋厚変化についての研究は数多く見受けられる。しかし,Draw inによるTrAとMFの関係性についての報告は少なく不明な点が多い。そこで本研究では,Draw inにおけるTrAとMFの筋厚の関係性と性差に関して比較検討した。
【方法】
対象は腰痛や整形外科的疾患を有さない男性11名(年齢:20.3±1.5歳,身長:168.9±2.9cm,体重:63.3±8.9kg),女性8名(年齢:20±1.1歳,身長:158.3±4.2cm,体重:53.2±4.6kg)合計19名とした。測定機器は汎用超音波画像装置(Viamo SSA-640A)を使用し左TrAと左MFの筋厚を測定した。測定肢位は股関節45度,膝関節60度屈曲位,骨盤は軽度後傾位の左側臥位とし上肢は前方に置いた安楽肢位とした。左TrAの測定部位は臍レベルの水平線と左前腋下線上の交点から前内方とし,その部位にプローブを置きTrAが最も抽出しやすい位置である臍部から外側100mmを計測した。左MFの測定部位は第5腰椎棘突起より20mm外側でプローブは脊柱と垂直に設置した。TrAとMFの測定条件は,安静呼吸とDraw inの2条件を行った。筋厚は各3回計測しその平均値を算出した。統計学的検討は,各条件におけるTrAとMFの性差による筋厚比較,各筋の安静呼吸とDraw inでの筋厚比較を2元配置分散分析と多重比較検定をおこなった。それぞれ有意水準は5%とした。
【結果】
TrAの筋厚は安静呼吸(3.4±1.85mm)に対しDraw in(5.69±4.17mm)で有意に増加した(P<0.05)。MFの筋厚は安静時呼吸(23.4±8.07mm)とDraw in(24.1±7.83mm)で有意差が認められなかった。性差による筋厚は有意差が認められなかった(男性vs女性)(TrA安静呼吸:3.9±2.17 vs 2.69±1.05mm,TrA Draw in:6.9±5.11 vs 3.9±1.28mm,MF安静呼吸:26.2±9.18 vs 19.5±4.20mm,MF Draw in:26.25±9.26 vs 21.1±4.16mm)
【結論】
TrAはDraw inや骨盤後傾位で筋厚が増加し,骨盤前傾位で減少すると報告されている。また,MFは骨盤前傾位で筋厚や筋活動が増加することが報告されている。本研究において骨盤後傾位でTrAの筋厚は増加したがMFに増加が認められなかったのは,それらの影響によるものと推察された。性差に関しては先行研究での報告は見当たらず,本研究でも明らかとはならなかった。
今後はTrA,MFの同時収縮を考慮し骨盤傾斜角度を意識したExをおこなう必要があると考える。また,測定数値の補正などを詳細にすることで性差に関しても明らかにしていく必要がある。