[P-MT-12-5] 健常者におけるExの効果と姿勢変化,時間経過に伴うDraw in時の腹斜筋・腹横筋の筋厚の変化
Keywords:腹斜筋, 腹横筋, 超音波画像装置
【はじめに,目的】
近年,医療や腰痛予防の分野で体幹筋を意識したエクササイズが注目されている。Draw inはエクササイズの導入として用いられる事が多いが,収縮の感覚を理解することが難しい場合がある。また,具体的なエクササイズ姿勢や方法のエビデンスが十分でないという指摘があり,口頭指示や簡単な説明のみでは正しく遂行できない可能性があるとされている。
そこで本研究では,Draw inのエクササイズを指導された経験の有無と肢位の違いにより,Draw in実施時に時間経過を伴う筋厚変化を示しているか確認することを目的とした。
【方法】
対象は,腰痛や整形外科的疾患・手術歴のない大学生17名とし,測定1週間前に30分間Draw in-Exを指導した対照群11名(19.4±1.3歳)とコントロール群6名(21.2±0.4歳)に分けた。測定筋は右外腹斜筋(EO),右内腹斜筋(IO),右腹横筋(TrA)とし,測定には超音波画像診断装置(Viamo SSA-640A)を使用した。測定肢位は,座位骨盤中間位・後傾位の2姿勢で行った。骨盤傾斜角度は上前腸骨棘と上後腸骨棘を結んだ線と平行線のなす角度を計測し,座面に対し7度を骨盤中間位,0度を骨盤後傾位とした。骨盤傾斜角度測定はデジタルゴニオ計を用いた。筋厚の測定部位は臍上端の高さにて超音波画像上の筋腱移行部より筋腹方向に15mmとした。対象者には測定時にDraw inの指示をした。骨盤中間位と後傾位それぞれの肢位における筋厚の時間変化を捉えるため,安静時筋厚と計測開始時から1min,2min,3min,4min,5minの筋厚6回を計測した。統計処理はSPSS Statistics 19を使用した。骨盤中間位と後傾位での時間経過比較には2要因分散分析を用い,対照群とコントロール群の比較には1要因分散分析と多重比較を用いた。それぞれ有意水準は5%とした。
【結果】
時間経過の比較では,対照群での骨盤中間位のIOにおいて,安静時(7.77±2.59mm)に比べ3min経過後(9.73±2.60mm)(P<0.05)と,4min経過後(9.80±2.61mm)(P<0.1)で筋厚の増加が認められた。対照群の骨盤後傾位やコントロール群の骨盤中間位と後傾位においてはすべての筋厚に有意差は認められなかった。また,骨盤の傾斜角度に関しても有意差は認められなかった。
【考察】
Draw inではTrAの筋活動や筋厚がもっとも増加すると報告されている。今回,運動開始直後からIO以外TrAだけではなく腹部筋群の筋厚増加は認められなかった。このことから,1週間前の指導だけでは効果的なDraw inがおこなえない可能性が示唆された。
本研究により,Draw in-Exの指導では,初期の指導から触診や口頭指示だけではなく,超音波診断装置など画像で筋収縮を確認し実施する必要性が高いことが明らかとなった。
近年,医療や腰痛予防の分野で体幹筋を意識したエクササイズが注目されている。Draw inはエクササイズの導入として用いられる事が多いが,収縮の感覚を理解することが難しい場合がある。また,具体的なエクササイズ姿勢や方法のエビデンスが十分でないという指摘があり,口頭指示や簡単な説明のみでは正しく遂行できない可能性があるとされている。
そこで本研究では,Draw inのエクササイズを指導された経験の有無と肢位の違いにより,Draw in実施時に時間経過を伴う筋厚変化を示しているか確認することを目的とした。
【方法】
対象は,腰痛や整形外科的疾患・手術歴のない大学生17名とし,測定1週間前に30分間Draw in-Exを指導した対照群11名(19.4±1.3歳)とコントロール群6名(21.2±0.4歳)に分けた。測定筋は右外腹斜筋(EO),右内腹斜筋(IO),右腹横筋(TrA)とし,測定には超音波画像診断装置(Viamo SSA-640A)を使用した。測定肢位は,座位骨盤中間位・後傾位の2姿勢で行った。骨盤傾斜角度は上前腸骨棘と上後腸骨棘を結んだ線と平行線のなす角度を計測し,座面に対し7度を骨盤中間位,0度を骨盤後傾位とした。骨盤傾斜角度測定はデジタルゴニオ計を用いた。筋厚の測定部位は臍上端の高さにて超音波画像上の筋腱移行部より筋腹方向に15mmとした。対象者には測定時にDraw inの指示をした。骨盤中間位と後傾位それぞれの肢位における筋厚の時間変化を捉えるため,安静時筋厚と計測開始時から1min,2min,3min,4min,5minの筋厚6回を計測した。統計処理はSPSS Statistics 19を使用した。骨盤中間位と後傾位での時間経過比較には2要因分散分析を用い,対照群とコントロール群の比較には1要因分散分析と多重比較を用いた。それぞれ有意水準は5%とした。
【結果】
時間経過の比較では,対照群での骨盤中間位のIOにおいて,安静時(7.77±2.59mm)に比べ3min経過後(9.73±2.60mm)(P<0.05)と,4min経過後(9.80±2.61mm)(P<0.1)で筋厚の増加が認められた。対照群の骨盤後傾位やコントロール群の骨盤中間位と後傾位においてはすべての筋厚に有意差は認められなかった。また,骨盤の傾斜角度に関しても有意差は認められなかった。
【考察】
Draw inではTrAの筋活動や筋厚がもっとも増加すると報告されている。今回,運動開始直後からIO以外TrAだけではなく腹部筋群の筋厚増加は認められなかった。このことから,1週間前の指導だけでは効果的なDraw inがおこなえない可能性が示唆された。
本研究により,Draw in-Exの指導では,初期の指導から触診や口頭指示だけではなく,超音波診断装置など画像で筋収縮を確認し実施する必要性が高いことが明らかとなった。