The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-24] ポスター(運動器)P24

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-24-4] 脊椎圧迫骨折患者における当院の取り組み
~圧潰率の経時的変化について~

土井 知哉, 田中 久友, 大渕 康平 (西整形外科医院)

Keywords:体幹コルセット, 圧潰, クリニカルパス

【はじめに】

昨年当院では圧潰の経時的変化について研究を行った。結果は受傷から4週までは圧潰が進行しやすい傾向となった。特に前壁での圧潰が著明であったため,前屈動作を更に制限するように軟性コルセットから半硬性コルセットへ全症例変更を行った。それでも圧潰が生じる症例があったためクリニカルパス・圧迫骨折患者へのパンフレットを作成し,経過を追ったのでその結果と当院の取り組みについて報告する。



【方法】

2011年から2016年までの当院脊椎圧迫骨折入院患者182例中,新規の1椎体の骨折かつ10週の経過を評価できた84例84椎体を対象とした。その中で治療の方法①軟性コルセットを装着し痛みに応じて離床を行った64症例64椎体(男性:14例・女性50例,平均年齢80.9±10.5歳)を1群。②半硬性コルセットを装着し痛みに応じて離床を行った15症例15椎体(男性6名・女性9名,平均年齢79.6±7.4歳)を2群。③半硬性コルセットを装着,パンフレットを渡し圧潰の危険性を説明,かつクリニカルパスに沿って離床を行った7症例7椎体(男性1名・女性6名,平均年齢83.4±10.1歳)を3群として振り分け,比較検討を行った。圧潰の進行は各週のX線で前・中・後の椎体の高さを測定し進行率の経時的変化を調査した。また10週経過後の3群間の圧潰率を一元配置分散分析した。



【結果】

10週経過時点で前壁の圧潰率に関しては1群で平均26.1%,2群で6.7%,3群で1.2%であった。統計的有意性においては1群2群間,1群3群間で認めた(p<0.0001)。

中壁に関しては1群で平均24.8%,2群で9.9%,3群で2.4%であった。統計的有意性においては1群2群間,1群3群間で認めた(p=0.0006)。

後壁に関しては,1群で平均9.9%,2群で5.4%,3群で0%であった。統計的有意性においては1群3群間で認めた(p=0.009)。



【結論】

今回,当院の取り組みにより圧潰率を当初の5%(1群23.9%から3群1.2%)に抑えることができた。井上らは,ギプス固定群21.7%,コルセット固定群24.2%,全症例でも22.8%の圧潰進行であったと報告している。

当院では半硬性コルセットへ変更し,硬性コルセットと比較すると固定力は劣るが,パンフレットでの説明,クリニカルパスを作成し,医師・他職種との連携を図れたことで,圧潰を抑制できたのではないかと考えられる。また,今回の圧潰の抑制が,慢性痛の軽減,QOLの向上に繋がるよう,対象症例数及び更なる追加調査等を検討していきたい。