[P-MT-25-5] 足関節果部骨折(AO分類B型)の機能成績
Keywords:足関節果部骨折, 骨折型, 機能成績
【はじめに,目的】
脛腓靭帯結合レベルの足関節果部骨折(AO分類B型;以下B型骨折)は,後果骨折,内果骨折合併に至るまでのグループがある。B型骨折は概ね良好な治療成績が報告されているが,その多くは画像評価や術後合併症の有無,簡易的な臨床評価のみが用いられており,患者にとって重要な機能成績に焦点を当てた報告は少ない。本研究の目的は,B型骨折の術後12週目における機能成績を明らかにすることである。
【方法】
平成27年10月から平成28年9月までに当院で手術を行ったB型骨折30例のうち,多発外傷であった1例,術後12週目の機能評価に不備があった18例を除外した11例を対象とした。平均年齢は54.8歳(23~79),男性8例,女性3例であった。分類の内約はB2:5例,B3:6例であり,術後ストレス撮影で脛腓間が安定していることを全例確認した。術後リハビリテーションは関節可動域運動を全例翌日から開始,荷重練習を平均3週目(0~6)から開始した。機能成績は術後12週目に足関節周径(以下;Figure-Eight),関節可動域(以下;ROM),日本足の外科学会足部・足関節疾患治療成績判定基準の足関節・後足部判定基準(以下;JSSF),足部足関節評価質問票(以下;SAFE-Q)を用いて評価した。
【結果】
Figure-Eightは健側-患側差1.3cm,平均ROMは背屈15.0度(健側比87%),底屈42.3度(健側比96%),JSSFは平均90.3点(痛み33.6点,機能46.6点,アライメント10点),SAFE-Qは痛み・痛み関連87.9,身体機能・日常生活の状態88.4,社会生活機能87.9,靴関連91.7,全体的健康感94.1であった。B2とB3のグループ間の比較では,Figure-Eight,背屈ROM,JSSFの機能,SAFE-Qの身体機能・日常生活の状態,社会生活機能,靴関連で有意差を認めた(p<0.05)。
【結論】
足関節果部骨折はよく遭遇する疾患であり,手術療法による解剖学的整復・固定性の獲得と理学療法による機能改善が重要とされている。その中でも脛腓靭帯結合レベルのB型骨折は,後果骨折や内果骨折の有無により脛腓間の安定性の獲得に難渋する場合もあるが,治療成績は概ね良好であり,本研究でも諸家の報告を支持する結果であった。しかし,SAFE-Qの痛み・痛み関連,身体機能・日常生活の状態の下位尺度で減点が目立つ結果から,ROM,JSSFなどの客観的評価では明らかにならない階段昇降やしゃがみ込み,外出や仕事復帰に対する主観的な問題点を見出すことができた。さらに,術後ストレス撮影で脛腓間が安定しているにも関わらず,B2からB3と軟部組織損傷が重度になるに伴い機能成績が有意に低下することから,手術療法による脛腓間の安定性の獲得に加え,リハビリテーションによる軟部組織の機能改善が機能成績に影響を与えると示唆された。
脛腓靭帯結合レベルの足関節果部骨折(AO分類B型;以下B型骨折)は,後果骨折,内果骨折合併に至るまでのグループがある。B型骨折は概ね良好な治療成績が報告されているが,その多くは画像評価や術後合併症の有無,簡易的な臨床評価のみが用いられており,患者にとって重要な機能成績に焦点を当てた報告は少ない。本研究の目的は,B型骨折の術後12週目における機能成績を明らかにすることである。
【方法】
平成27年10月から平成28年9月までに当院で手術を行ったB型骨折30例のうち,多発外傷であった1例,術後12週目の機能評価に不備があった18例を除外した11例を対象とした。平均年齢は54.8歳(23~79),男性8例,女性3例であった。分類の内約はB2:5例,B3:6例であり,術後ストレス撮影で脛腓間が安定していることを全例確認した。術後リハビリテーションは関節可動域運動を全例翌日から開始,荷重練習を平均3週目(0~6)から開始した。機能成績は術後12週目に足関節周径(以下;Figure-Eight),関節可動域(以下;ROM),日本足の外科学会足部・足関節疾患治療成績判定基準の足関節・後足部判定基準(以下;JSSF),足部足関節評価質問票(以下;SAFE-Q)を用いて評価した。
【結果】
Figure-Eightは健側-患側差1.3cm,平均ROMは背屈15.0度(健側比87%),底屈42.3度(健側比96%),JSSFは平均90.3点(痛み33.6点,機能46.6点,アライメント10点),SAFE-Qは痛み・痛み関連87.9,身体機能・日常生活の状態88.4,社会生活機能87.9,靴関連91.7,全体的健康感94.1であった。B2とB3のグループ間の比較では,Figure-Eight,背屈ROM,JSSFの機能,SAFE-Qの身体機能・日常生活の状態,社会生活機能,靴関連で有意差を認めた(p<0.05)。
【結論】
足関節果部骨折はよく遭遇する疾患であり,手術療法による解剖学的整復・固定性の獲得と理学療法による機能改善が重要とされている。その中でも脛腓靭帯結合レベルのB型骨折は,後果骨折や内果骨折の有無により脛腓間の安定性の獲得に難渋する場合もあるが,治療成績は概ね良好であり,本研究でも諸家の報告を支持する結果であった。しかし,SAFE-Qの痛み・痛み関連,身体機能・日常生活の状態の下位尺度で減点が目立つ結果から,ROM,JSSFなどの客観的評価では明らかにならない階段昇降やしゃがみ込み,外出や仕事復帰に対する主観的な問題点を見出すことができた。さらに,術後ストレス撮影で脛腓間が安定しているにも関わらず,B2からB3と軟部組織損傷が重度になるに伴い機能成績が有意に低下することから,手術療法による脛腓間の安定性の獲得に加え,リハビリテーションによる軟部組織の機能改善が機能成績に影響を与えると示唆された。