[P-MT-32-3] スイングストレッチが姿勢に及ぼす影響について
―腹横筋に着目して―
Keywords:スイングストレッチ, 腹横筋, 姿勢
【はじめに,目的】コアトレーニングなど様々な体幹運動が注目されている中,2015年に体幹トレーニングツールとしてスイングストレッチ(株式会社LPN製)が開発された。現在,ゴルフなど各スポーツ分野で使用されている。その効果としてインナーユニットの活性化が謳われているが,客観的な効果検証はされていない。そこで我々は,インナーユニットの1つである腹横筋の活性化に着目し,スイングストレッチを使用したトレーニングを行うことで腹横筋厚の増大が起こり,その結果,姿勢に変化が起こるのかを検証することを目的とした。
【方法】対象は健常な男性大学生38名(平均年齢21.7±0.9歳)とした。このうちコントロール群をA群(20名),トレーニング群をB群(18名)として無作為に設定した。トレーニングは日本コアコンディショニング協会が提唱している腹臥位にて四肢の運動を行うエクササイズを参考に週3回4週間継続し,研究者の管理下で実施した。森井ら(2014)の先行研究をもとに,超音波診断装置(Nemio-XG SSA-580A:東芝社製)を用いて実施初日と最終日に2群を測定した。腸骨稜と下部肋骨の中点と,前腋窩線上の交点にプローブを当て,安静時の呼気終末時の静止画像を記録し,画像分析ソフトImageJを用いて筋膜間距離を筋厚として腹横筋厚を測定した。姿勢の評価として脊柱アライメント(胸椎後弯角,腰椎前弯角,仙骨傾斜角)を測定するためにスパイナルマウス(Index有限会社製)を使用した。宝亀(2010)の先行研究をもとに楽な立位姿勢を取らせ,静止状態を維持させてスパイナルマウスを棘突起上に当て,頭側から尾側へ移動させ測定する。トレーニング終了後,各群の最終の測定値と初期の測定値の差を算出した。筋厚の信頼性は,級内相関係数(以下,ICC)を用いて検討した。統計処理は,Student's t-testを用いて行った。統計解析ソフトはIBM SPSS statics23を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】腹横筋厚測定において,ICC(1,2)は0.873から0.918であり,高い信頼性を得た。実験前後においてB群内では,腹横筋厚に有意な増加が認められた(p<0.05)。また,立位脊柱アライメントにおいて腰椎前弯角は減少し(前弯増強),仙骨傾斜角は有意な増加(仙骨前傾)を認めた(p<0.05)。胸椎後弯角の有意差は認めなかった。
【結論】スイングストレッチの形状と腹臥位によるトレーニングの特徴から,骨盤をニュートラルゾーンに保持することが可能となり,体幹の回旋を引き出すことができると考えられる。スイングストレッチ上で四肢の運動を行うことで腹横筋の活動が惹起され,腹横筋厚の増大,腰椎前弯の増強,仙骨の有意な前傾の増加を認め,姿勢に影響を及ぼすことが明らかとなった。今後の課題として,トレーニング回数による効果の違いやスイングストレッチを固定した場合でのトレーニング群との比較など,多角的な分析を行っていく必要がある。
【方法】対象は健常な男性大学生38名(平均年齢21.7±0.9歳)とした。このうちコントロール群をA群(20名),トレーニング群をB群(18名)として無作為に設定した。トレーニングは日本コアコンディショニング協会が提唱している腹臥位にて四肢の運動を行うエクササイズを参考に週3回4週間継続し,研究者の管理下で実施した。森井ら(2014)の先行研究をもとに,超音波診断装置(Nemio-XG SSA-580A:東芝社製)を用いて実施初日と最終日に2群を測定した。腸骨稜と下部肋骨の中点と,前腋窩線上の交点にプローブを当て,安静時の呼気終末時の静止画像を記録し,画像分析ソフトImageJを用いて筋膜間距離を筋厚として腹横筋厚を測定した。姿勢の評価として脊柱アライメント(胸椎後弯角,腰椎前弯角,仙骨傾斜角)を測定するためにスパイナルマウス(Index有限会社製)を使用した。宝亀(2010)の先行研究をもとに楽な立位姿勢を取らせ,静止状態を維持させてスパイナルマウスを棘突起上に当て,頭側から尾側へ移動させ測定する。トレーニング終了後,各群の最終の測定値と初期の測定値の差を算出した。筋厚の信頼性は,級内相関係数(以下,ICC)を用いて検討した。統計処理は,Student's t-testを用いて行った。統計解析ソフトはIBM SPSS statics23を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】腹横筋厚測定において,ICC(1,2)は0.873から0.918であり,高い信頼性を得た。実験前後においてB群内では,腹横筋厚に有意な増加が認められた(p<0.05)。また,立位脊柱アライメントにおいて腰椎前弯角は減少し(前弯増強),仙骨傾斜角は有意な増加(仙骨前傾)を認めた(p<0.05)。胸椎後弯角の有意差は認めなかった。
【結論】スイングストレッチの形状と腹臥位によるトレーニングの特徴から,骨盤をニュートラルゾーンに保持することが可能となり,体幹の回旋を引き出すことができると考えられる。スイングストレッチ上で四肢の運動を行うことで腹横筋の活動が惹起され,腹横筋厚の増大,腰椎前弯の増強,仙骨の有意な前傾の増加を認め,姿勢に影響を及ぼすことが明らかとなった。今後の課題として,トレーニング回数による効果の違いやスイングストレッチを固定した場合でのトレーニング群との比較など,多角的な分析を行っていく必要がある。