[P-MT-33-5] 変形性股関節症術後患者における年齢層別にみた歩行異常性と歩容満足度
Keywords:変形性股関節症, 歩容, 術後
【はじめに,目的】
変形性股関節症患者は,活動中の心理面の苦悩から活動回避や活動制限への影響があることが指摘されている。加えて,変形性股関節症術後患者において,不良姿勢の構築による悪循環は跛行の残存,難治化へ陥りやすいことが報告されている。
従って,歩行の容姿(歩容)に着目した行動心理学的側面も理学療法介入のアウトカムとして重要であると考える。特に,変形性股関節症患者の疫学的背景からは,若年で女性に多い疾患であることが知られているが,年齢層別に歩容や心理面との関連性を検証した報告はみられない。
そこで,変形性股関節症術後患者において年齢層別に歩行異常性と歩容満足度を検討することを目的とした。
【方法】
対象は,変形性股関節症術後患者15名(男性1名,女性14名,年齢46.9±15.6歳)とした。
方法は,歩行異常性評価として,歩行分析データフォーム33項目,股関節疾患由来の歩行異常性レビュー10項目,股関節疾患歩容評価の文献6項目から関節角及び傾斜角のすり合わせを行い,必要と判断された項目I:足関節角(踵接地),項目II:体幹傾斜角(立脚中期),項目III:骨盤傾斜角(立脚中期),項目IV:股関節内転角(立脚中期),項目V:股関節伸展角(踵離地)を選出した。対象者には10m歩行の歩行動画撮影を行い,選出した各項目をもとに動画より静止画を切り出し,Image-Jを用いて角度を抽出した。
次に,歩容満足度評価としては,Visual Analog Scale(VAS)にて0を「全く満足していない」,10を「とても満足している」の自己記入式のアンケートとした。なお,患者自身の心境による影響を配慮し,配布と回収をリハビリに関わりのない事務職員にて実施し,アンケートには「環境,状況,担当スタッフ等のことは考えないでください。」「結果は,担当スタッフへ知らされることはありません。」といった注意書きを行った。
統計学的解析は,SPSS Statistics 23を使用し,平均年齢47歳を基準に年齢低値群・高値群に群分けをし,各項目のImage-Jの結果と歩容満足度の結果に対し独立サンプルのT検定を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
Image-Jの結果は,年齢低値・高値群の間にて項目I(p=0.41),項目II(p=0.13),項目III(p=0.7),項目IV(p=0.91),項目V(p=0.25)と,いずれも有意差が認められなかった。歩容満足度の結果は,(年齢低値群:4.7±2.1,年齢高値群:7.2±1.9)と年齢低値群にて有意に低値であった(p=0.03)。
【結論】
歩容満足度は,歩行異常性の有無に関わらず若年層にて低い満足度を示すことが示唆された。今後,若年層の変形性股関節症を対象に心理面の縦断的研究,治療介入による可変性の検証が必要であると考える。
変形性股関節症患者は,活動中の心理面の苦悩から活動回避や活動制限への影響があることが指摘されている。加えて,変形性股関節症術後患者において,不良姿勢の構築による悪循環は跛行の残存,難治化へ陥りやすいことが報告されている。
従って,歩行の容姿(歩容)に着目した行動心理学的側面も理学療法介入のアウトカムとして重要であると考える。特に,変形性股関節症患者の疫学的背景からは,若年で女性に多い疾患であることが知られているが,年齢層別に歩容や心理面との関連性を検証した報告はみられない。
そこで,変形性股関節症術後患者において年齢層別に歩行異常性と歩容満足度を検討することを目的とした。
【方法】
対象は,変形性股関節症術後患者15名(男性1名,女性14名,年齢46.9±15.6歳)とした。
方法は,歩行異常性評価として,歩行分析データフォーム33項目,股関節疾患由来の歩行異常性レビュー10項目,股関節疾患歩容評価の文献6項目から関節角及び傾斜角のすり合わせを行い,必要と判断された項目I:足関節角(踵接地),項目II:体幹傾斜角(立脚中期),項目III:骨盤傾斜角(立脚中期),項目IV:股関節内転角(立脚中期),項目V:股関節伸展角(踵離地)を選出した。対象者には10m歩行の歩行動画撮影を行い,選出した各項目をもとに動画より静止画を切り出し,Image-Jを用いて角度を抽出した。
次に,歩容満足度評価としては,Visual Analog Scale(VAS)にて0を「全く満足していない」,10を「とても満足している」の自己記入式のアンケートとした。なお,患者自身の心境による影響を配慮し,配布と回収をリハビリに関わりのない事務職員にて実施し,アンケートには「環境,状況,担当スタッフ等のことは考えないでください。」「結果は,担当スタッフへ知らされることはありません。」といった注意書きを行った。
統計学的解析は,SPSS Statistics 23を使用し,平均年齢47歳を基準に年齢低値群・高値群に群分けをし,各項目のImage-Jの結果と歩容満足度の結果に対し独立サンプルのT検定を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。
【結果】
Image-Jの結果は,年齢低値・高値群の間にて項目I(p=0.41),項目II(p=0.13),項目III(p=0.7),項目IV(p=0.91),項目V(p=0.25)と,いずれも有意差が認められなかった。歩容満足度の結果は,(年齢低値群:4.7±2.1,年齢高値群:7.2±1.9)と年齢低値群にて有意に低値であった(p=0.03)。
【結論】
歩容満足度は,歩行異常性の有無に関わらず若年層にて低い満足度を示すことが示唆された。今後,若年層の変形性股関節症を対象に心理面の縦断的研究,治療介入による可変性の検証が必要であると考える。