[P-MT-34-2] 変形性股関節症患者と健常人における腹部筋の筋輝度の比較
Keywords:変形性股関節症, 腹部筋, 筋輝度
【はじめに,目的】
我々は,変形性股関節症患者において健常人より腹横筋の筋活動は低下し,前額面の骨盤レントゲン画像から得られた骨盤傾斜角と大腿骨頭被覆率では腹横筋厚変化率と関連がある研究結果を得た。腹横筋の筋活動低下の原因として,姿勢や形態学的な変化のみならず筋自体の質的な変化も考えられた。近年,超音波画像を用いた筋輝度と筋力は負の相関を示すことが報告されている。そこで,本研究は筋輝度を用いて変形性股関節症患者と健常人の体幹筋の質的変化について明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は,北海道大学病院に片側変形性股関節症の診断を受け手術目的に入院し,術前理学療法を実施した患者を変形性股関節症群(19名。男2名・女19名:60.6±6.5歳)とした。また,変形性股関節症群の年齢に合わせ身体に整形疾患等の既往歴のない者を健常者群(20名。女20名:62.9±3.2歳)とした。測定項目は腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋,骨盤傾斜角とし実施日は術前理学療法開始1日目とした。
腹部筋の測定肢位は膝を立てた背臥位とし,超音波診断装置はVenue 40 Musculoskeletal(GEヘルスケア・ジャパン)を使用し画像表示モードはBモード,8MHzのプローブで撮影した。Urquhartらの測定部位を参考にして腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋の境界を描出した。測定時の運動課題は,安静呼気終末として腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋を測定した。
筋輝度は,Adobe Photoshop CC 2014(Adobe Systems Inc. San Jose, CA, USA)を使用し,超音波診断装置で得られた画像から各筋の関連領域を設定し,8-bit gray-scale analuysisのhistogram functionにおいて値を求めた。
また,当院整形外科の処方により入院時に撮影した背臥位における前額面の骨盤レントゲン画像を用い,骨盤傾斜角を土井口らの方法で算出した。この方法で得られた値は,算出値が小さいほど前傾が増強していることを示す。
変形性股関節症群と健常者群の各筋の筋輝度測定についてはMann-Whitney U検定を用い,変形性股関節症群の骨盤傾斜角と各筋の筋輝度との相関ついてはSpearmanの順位相関係数を用い統計学的処理は5%未満を有意水準とした。
【結果】
筋輝度の比較では,腹横筋は変形性股関節症群111.8±12.0pixel,健常者群89.2±7.0 pixel,内腹斜筋は変形性股関節症群91.4±14.7 pixel,健常者群107.2±14.0 pixelとなりそれぞれ2群間で有意差(p<0.05)が認められた。
変形性股関節症群の骨盤傾斜角は17.6±3.6度であり,骨盤傾斜角と腹横筋の筋輝度は中等度の負の相関(r=-0.57。p<0.01)が認められ,骨盤傾斜角と内腹斜筋の筋輝度は中等度の正の相関(r=0.48。p<0.05)が認められた。
【結論】
本研究の結果から,変形性股関節症患者の腹横筋の筋輝度高値と内腹斜筋の筋輝度低値は変形性股関節症患者の骨盤傾斜角に関連し,特に腹横筋では骨盤前傾の増強により筋収縮力が低下する可能性が示唆された。
我々は,変形性股関節症患者において健常人より腹横筋の筋活動は低下し,前額面の骨盤レントゲン画像から得られた骨盤傾斜角と大腿骨頭被覆率では腹横筋厚変化率と関連がある研究結果を得た。腹横筋の筋活動低下の原因として,姿勢や形態学的な変化のみならず筋自体の質的な変化も考えられた。近年,超音波画像を用いた筋輝度と筋力は負の相関を示すことが報告されている。そこで,本研究は筋輝度を用いて変形性股関節症患者と健常人の体幹筋の質的変化について明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象者は,北海道大学病院に片側変形性股関節症の診断を受け手術目的に入院し,術前理学療法を実施した患者を変形性股関節症群(19名。男2名・女19名:60.6±6.5歳)とした。また,変形性股関節症群の年齢に合わせ身体に整形疾患等の既往歴のない者を健常者群(20名。女20名:62.9±3.2歳)とした。測定項目は腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋,骨盤傾斜角とし実施日は術前理学療法開始1日目とした。
腹部筋の測定肢位は膝を立てた背臥位とし,超音波診断装置はVenue 40 Musculoskeletal(GEヘルスケア・ジャパン)を使用し画像表示モードはBモード,8MHzのプローブで撮影した。Urquhartらの測定部位を参考にして腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋の境界を描出した。測定時の運動課題は,安静呼気終末として腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋を測定した。
筋輝度は,Adobe Photoshop CC 2014(Adobe Systems Inc. San Jose, CA, USA)を使用し,超音波診断装置で得られた画像から各筋の関連領域を設定し,8-bit gray-scale analuysisのhistogram functionにおいて値を求めた。
また,当院整形外科の処方により入院時に撮影した背臥位における前額面の骨盤レントゲン画像を用い,骨盤傾斜角を土井口らの方法で算出した。この方法で得られた値は,算出値が小さいほど前傾が増強していることを示す。
変形性股関節症群と健常者群の各筋の筋輝度測定についてはMann-Whitney U検定を用い,変形性股関節症群の骨盤傾斜角と各筋の筋輝度との相関ついてはSpearmanの順位相関係数を用い統計学的処理は5%未満を有意水準とした。
【結果】
筋輝度の比較では,腹横筋は変形性股関節症群111.8±12.0pixel,健常者群89.2±7.0 pixel,内腹斜筋は変形性股関節症群91.4±14.7 pixel,健常者群107.2±14.0 pixelとなりそれぞれ2群間で有意差(p<0.05)が認められた。
変形性股関節症群の骨盤傾斜角は17.6±3.6度であり,骨盤傾斜角と腹横筋の筋輝度は中等度の負の相関(r=-0.57。p<0.01)が認められ,骨盤傾斜角と内腹斜筋の筋輝度は中等度の正の相関(r=0.48。p<0.05)が認められた。
【結論】
本研究の結果から,変形性股関節症患者の腹横筋の筋輝度高値と内腹斜筋の筋輝度低値は変形性股関節症患者の骨盤傾斜角に関連し,特に腹横筋では骨盤前傾の増強により筋収縮力が低下する可能性が示唆された。