[P-MT-35-3] 人工股関節全置換術後早期における効果的な運動療法についての検討
Keywords:人工股関節全置換術, 術後, 早期理学療法
【はじめに,目的】
近年,在院日数の短縮化は加速しており,効率的なリハビリテーションを提供することが望まれている。人工股関節全置換術(以下,THA)後の効果的な運動療法を調査したシステマティックレビューでは,術後早期においてエルゴメーターエクササイズが効果的であることが紹介されているが,施設の所持数や使用時間帯などの問題がありいつも自由に行えるものとは言い難い。本研究は,簡便で自主練習にも応用できるであろう運動を選択し,その効果について2症例で比較検討したパイロットスタディである。
【方法】
症例は,症例1が50代後半,症例2は60代中盤の女性THA患者であり,術式は2例とも前外側アプローチであった。研究デザインは症例1がAB,症例2はBAデザインとし,松葉杖歩行が自立した術後7日から経過を追った。追加介入内容は,①端座位で股関節外転位からの起立,②手すり把持を許可したランジ,③サイドステップとし,股関節を広範囲に使用するよう徒手矯正や口頭指示も併せて指導した。介入は,各運動5分間とし適宜休憩を挟みながら合計20分/日実施した。標準的介入期間をA期,追加介入期間をB期とし調査期間は各5日間とした。
評価項目は術側股関節外転筋力(以下,股外転),術側膝伸展筋力(以下,膝伸展),術側荷重率(以下,荷重率),10m歩行最大速度(以下,歩行速度),歩幅とし,調査期間中の活動量を比較するため,歩数,介入単位数も調査した。筋力は筋力計を使用し,歩数はライフコーダーを用いて測定した。効果判定は,調査項目に対し中央分割法を用いて加減速線を引き,各期の勾配,水準を算出し,活動量は平均値を目視で比較した。
【結果】
評価結果を症例1は(A勾配,水準/B勾配,水準)の順に記載する。股外転は(-0.17,13.3/0.48,16.1),膝伸展は(0.09,20.6/0.03,20.4),荷重率は(-0.92,91.9/0,98.3),歩幅は(1.26,67.6/0.79,65.9),歩行速度は(-0.26,6.67/-0.18,6.36),活動量はA期歩数平均が5844歩,B期が6077歩,A期介入単位数は2.5,B期は2.8であった。
症例2は(B勾配,水準/A勾配,水準)の順に記載する。股外転は(0.95,13.5/0.68,13.1),膝伸展は(0.21,15.2/0.43,14.5),荷重率は(0,100/0,100),歩幅は(1.7,68.5/-0.79,70.2),歩行速度は(-0.12,6.26/-0.13,6.28),活動量はB期歩数平均が1496歩,A期が1884歩,B期介入単位数は2.8,A期は2.3であった。2名とも期間中に疼痛の訴えはなかった。
【結論】
活動量は2名とも各期に大きく差を認めておらず,活動量の差が今回の結果に与える影響は少ないと思われる。今回,2症例において介入期にのみ効果が示唆された評価項目は,股外転であった。今回選択した運動は術後早期であっても効率的に股関節外転筋の賦活を行うことができる運動である可能性が示唆された。
近年,在院日数の短縮化は加速しており,効率的なリハビリテーションを提供することが望まれている。人工股関節全置換術(以下,THA)後の効果的な運動療法を調査したシステマティックレビューでは,術後早期においてエルゴメーターエクササイズが効果的であることが紹介されているが,施設の所持数や使用時間帯などの問題がありいつも自由に行えるものとは言い難い。本研究は,簡便で自主練習にも応用できるであろう運動を選択し,その効果について2症例で比較検討したパイロットスタディである。
【方法】
症例は,症例1が50代後半,症例2は60代中盤の女性THA患者であり,術式は2例とも前外側アプローチであった。研究デザインは症例1がAB,症例2はBAデザインとし,松葉杖歩行が自立した術後7日から経過を追った。追加介入内容は,①端座位で股関節外転位からの起立,②手すり把持を許可したランジ,③サイドステップとし,股関節を広範囲に使用するよう徒手矯正や口頭指示も併せて指導した。介入は,各運動5分間とし適宜休憩を挟みながら合計20分/日実施した。標準的介入期間をA期,追加介入期間をB期とし調査期間は各5日間とした。
評価項目は術側股関節外転筋力(以下,股外転),術側膝伸展筋力(以下,膝伸展),術側荷重率(以下,荷重率),10m歩行最大速度(以下,歩行速度),歩幅とし,調査期間中の活動量を比較するため,歩数,介入単位数も調査した。筋力は筋力計を使用し,歩数はライフコーダーを用いて測定した。効果判定は,調査項目に対し中央分割法を用いて加減速線を引き,各期の勾配,水準を算出し,活動量は平均値を目視で比較した。
【結果】
評価結果を症例1は(A勾配,水準/B勾配,水準)の順に記載する。股外転は(-0.17,13.3/0.48,16.1),膝伸展は(0.09,20.6/0.03,20.4),荷重率は(-0.92,91.9/0,98.3),歩幅は(1.26,67.6/0.79,65.9),歩行速度は(-0.26,6.67/-0.18,6.36),活動量はA期歩数平均が5844歩,B期が6077歩,A期介入単位数は2.5,B期は2.8であった。
症例2は(B勾配,水準/A勾配,水準)の順に記載する。股外転は(0.95,13.5/0.68,13.1),膝伸展は(0.21,15.2/0.43,14.5),荷重率は(0,100/0,100),歩幅は(1.7,68.5/-0.79,70.2),歩行速度は(-0.12,6.26/-0.13,6.28),活動量はB期歩数平均が1496歩,A期が1884歩,B期介入単位数は2.8,A期は2.3であった。2名とも期間中に疼痛の訴えはなかった。
【結論】
活動量は2名とも各期に大きく差を認めておらず,活動量の差が今回の結果に与える影響は少ないと思われる。今回,2症例において介入期にのみ効果が示唆された評価項目は,股外転であった。今回選択した運動は術後早期であっても効率的に股関節外転筋の賦活を行うことができる運動である可能性が示唆された。