The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-37] ポスター(運動器)P37

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-37-5] 腰痛患者における腰部多裂筋断面積と治療期間の関係性について

野田 敏生1, 神谷 尚紀1, 光山 孝1, 古川 公宣2 (1.豊橋整形外科鷹丘クリニック, 2.星城大学リハビリテーション学部)

Keywords:腰部多裂筋断面積, 治療期間, 腰痛患者

【はじめに,目的】

Evidence-based medicine(EBM:根拠に基づく医療)が唱えられる中,腰痛患者に腰部多裂筋の機能異常がみられるという研究が報告がされている。特に慢性腰痛患者が腰部多裂筋に萎縮を生じていると報告した研究は多々みられる。しかし,腰痛症を呈した外来通院患者で腰部多裂筋断面積と治療期間の関係性を調査した報告はない。

そこで我々は,腰痛症を呈した外来通院患者に対し,腰部多裂筋横断面積と治療期間との関係性を調査した。



【方法】

対象は,当院にて平成27年6月10日から平成28年7月16日までの期間に受診し,腰痛症と診断され理学療法が開始となった患者の中で,医師の指示によりMRIを撮影した282名(平均年齢54.7±19.4歳)から,理学療法が終了となった患者(終了群)72名(平均年齢57.1±16.7歳)と理学療法が3カ月以上続いている患者(慢性群)210名(平均年齢53.9±20.2歳)である。

方法は,L4/5間の腰部多裂筋断面積を計測し,終了群と慢性群の腰部多裂筋断面積を比較するのに加え,終了群の腰部多裂筋断面積と治療期間の関係性を調査した。また,終了群を各年齢(20歳~49歳,50歳~69歳,70歳~)に群分けし,腰部多裂筋断面積と治療期間の関係性を各群で調査した。測定にはPOP-Net Viewer(イメージワン社製)を用いた。

統計学的解析にはStatView Ver.5.0 for windows(SAS Institute社製,USA)を使用し,ピアソンの相関係数を用い,有意水準は5%に設定した。



【結果】

・終了群と慢性群の腰部多裂筋断面積を比較

各群間に有意な差は認めなかった。

・終了群の腰部多裂筋断面積と治療期間の相関

腰部多裂筋断面積と治療期間に相関は認めなかった(r=-0.1)。

・各年齢群における腰部多裂筋断面積と治療期間の相関

各年齢群において,腰部多裂筋断面積と治療期間の相関は認めなかった(20歳~49歳:r=-0.2,50歳~69歳:r=0.1,70歳~:r=-0.08)。



【結論】

本研究では,各群間の腰部多裂筋断面積に差はなく,終了群の腰部多裂筋断面積と治療期間の相関が認められなかった。また,各年齢群においても相関が認められなかった事から,腰痛症を呈した外来通院患者の腰部多裂筋断面積と治療期間の関係性は低いと考えられた。研究の限界として,医師の指示によりMRIを撮影したのは理学療法開始前であるため,理学療法が腰部多裂筋断面積に与える影響を考慮する事ができなかった点が挙げられる。