[P-MT-44-2] ヒールパッドが矢状面での立位骨盤前方移動に及ぼす影響
Keywords:ヒールパッド, 骨盤前方移動距離, 足圧中心
【はじめに,目的】後足部を高くするヒールパッドは,立位矢状面での足部荷重や骨盤の動きに影響を及ぼす。臨床上,骨盤の前方移動に変化がみられるが,その変化の理由とヒールパッドの高さの影響は明らかになっていない。本研究の目的は,骨盤の前方移動する距離と足圧中心との関係,ヒールパッドの高さによって骨盤前方移動距離に及ぼす影響を明らかにすることである。
【方法】対象は,下肢と体幹に障害のない健常成人20名(男性14名,女性6名,年齢27.6±4.2歳)とした。運動課題は開眼で安静立位姿勢から踵を床面から離さず,骨盤が最大限に前方移動する動作とし,骨盤の移動距離(以下:骨盤前方移動距離)を全例右側で計測した。基準線はレーザーレベルGLL 1P(BOSCH社)を使用して,レーザーラインを垂直に設定,被験者の外果部上の垂線とし,マーキングした大転子部とレーザーラインの骨盤前方移動距離をメジャーにて測定した。1)踵からの足圧中心距離(以下:COP距離)と,骨盤前方移動距離に相関について検討した。圧力分布測定装置(アニマ社製MD-1000)上で,骨盤最大前方移動時の安定した5秒間を測定した。2)ヒールパッドなし,高さ1mm,2mm,3mmの4条件として,各条件での骨盤前方移動距離の変化について調査した。ヒールパッドは縦10cm×横10cm(素材:ポロン),両側の踵骨隆起最後部より外果前縁下端までとした。4条件の測定順序は循環法を用いた。骨盤前方移動距離を身長で,COP距離を足長でそれぞれ正規化した。3)骨盤前方移動距離が最大となった各条件の人数を求めた。統計的手法はSPSS Ver17.0を使用し,1)骨盤前方移動距離とCOP距離の関係をPearsonの相関係数にて求めた。2)ヒールパッドの高さ4条件と骨盤最大移動距離を対応のある一元配置分散分析と多重比較検定を用いて比較した。有意水準は5%とした。
【結果】骨盤前方移動時のCOP距離と骨盤前方移動距離に高い相関が認められた(r=0.81,p<0.01)。正規化した骨盤前方移動距離は,ヒールパッドなしで0.121±0.021,高さ1mmで0.120±0.021,高さ2mmで0.121±0.021,高さ3mmで0.120±0.021となり,4群間に有意差はみられなかった。最大骨盤前方移動距離の各群の人数は,ヒールパッドなしが5名,ヒールパッドの高さ1mmで4名,2mmで7名,3mmで4名であった。
【結論】骨盤前方移動距離とCOP距離には高い相関が認められたことから,骨盤前方移動距離を長くするには,COPの前方移動を必要とすることが示唆された。ヒールパッドの高さによって,骨盤前方移動距離に有意差がみられないこと,また最大骨盤前方移動距離の各群の人数にもばらつきがみられたことから,ヒールパッドが高いほど骨盤の動きを促進や制御できるわけでないと考えられる。足部からのアプローチは,個々の足部形態や身体状況に応じて適合する高さを導き出すことで,必要とする骨盤移動を操作できるのではないだろうか。
【方法】対象は,下肢と体幹に障害のない健常成人20名(男性14名,女性6名,年齢27.6±4.2歳)とした。運動課題は開眼で安静立位姿勢から踵を床面から離さず,骨盤が最大限に前方移動する動作とし,骨盤の移動距離(以下:骨盤前方移動距離)を全例右側で計測した。基準線はレーザーレベルGLL 1P(BOSCH社)を使用して,レーザーラインを垂直に設定,被験者の外果部上の垂線とし,マーキングした大転子部とレーザーラインの骨盤前方移動距離をメジャーにて測定した。1)踵からの足圧中心距離(以下:COP距離)と,骨盤前方移動距離に相関について検討した。圧力分布測定装置(アニマ社製MD-1000)上で,骨盤最大前方移動時の安定した5秒間を測定した。2)ヒールパッドなし,高さ1mm,2mm,3mmの4条件として,各条件での骨盤前方移動距離の変化について調査した。ヒールパッドは縦10cm×横10cm(素材:ポロン),両側の踵骨隆起最後部より外果前縁下端までとした。4条件の測定順序は循環法を用いた。骨盤前方移動距離を身長で,COP距離を足長でそれぞれ正規化した。3)骨盤前方移動距離が最大となった各条件の人数を求めた。統計的手法はSPSS Ver17.0を使用し,1)骨盤前方移動距離とCOP距離の関係をPearsonの相関係数にて求めた。2)ヒールパッドの高さ4条件と骨盤最大移動距離を対応のある一元配置分散分析と多重比較検定を用いて比較した。有意水準は5%とした。
【結果】骨盤前方移動時のCOP距離と骨盤前方移動距離に高い相関が認められた(r=0.81,p<0.01)。正規化した骨盤前方移動距離は,ヒールパッドなしで0.121±0.021,高さ1mmで0.120±0.021,高さ2mmで0.121±0.021,高さ3mmで0.120±0.021となり,4群間に有意差はみられなかった。最大骨盤前方移動距離の各群の人数は,ヒールパッドなしが5名,ヒールパッドの高さ1mmで4名,2mmで7名,3mmで4名であった。
【結論】骨盤前方移動距離とCOP距離には高い相関が認められたことから,骨盤前方移動距離を長くするには,COPの前方移動を必要とすることが示唆された。ヒールパッドの高さによって,骨盤前方移動距離に有意差がみられないこと,また最大骨盤前方移動距離の各群の人数にもばらつきがみられたことから,ヒールパッドが高いほど骨盤の動きを促進や制御できるわけでないと考えられる。足部からのアプローチは,個々の足部形態や身体状況に応じて適合する高さを導き出すことで,必要とする骨盤移動を操作できるのではないだろうか。