[P-MT-45-3] リバース型人工肩関節置換術後肩関節三次元解析によるリハビリテーション有用性の検討
Keywords:リバース型人工肩関節全置換術, リハビリテーション, 肩甲骨
【はじめに,目的】
近年,リバース型人工肩関節全置換術(以下RSA)が諸外国では盛んに行われるようになってきている。我が国においても2014年に認可された。RSA術後はリハビリテーションを行う必要が無いとの報告や三角筋の筋力強化を行うという報告もあり,RSA術後のリハビリテーションの有用性は一貫した見解は示されていない。そこで今回,RSA術後リハビリテーションの有用性を確認するためにRSA術後3ヵ月の肩甲骨動態解析を目的に,肩甲骨動態解析ソフトGANESHAを使用しRSA術後の肩甲骨を動態解析した。その結果,3群の運動パターンが確認され,RSA後のリハビリテーションの有用性が示唆されたため報告する。
【方法】
肩甲骨の動態解析には,大阪市立大学で開発された肩甲骨専用動態解析ソフトGANESHAを使用した。対象は平均78.4歳のRSA術後3ヵ月患者6人(男3名,女3名)の肩甲骨を透視下で肩関節外転時の肩関節を撮影。レントゲン写真を,GANESHAを使用し動態解析を行った。
その結果,肩甲上腕関節の運動性が低下し,肩甲胸郭関節のみで動いている群を肩甲胸郭関節群(以下ST群)。肩甲胸郭関節の運動性は低下し,肩甲上腕関節のみで動いている群を肩甲上腕関節群(以下GH群)。肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節ともに動いている群を肩甲上腕・肩甲胸郭関節群(以下GS群)の3パターンの運動様式が確認された。また,リハビリテーションの有用性を検討するため肩関節外転可動域と肩関節外転筋力を測定した。
【結果】
肩甲骨の動態解析では,GH群では肩甲胸郭関節の運動性が低下し,ST群では肩甲上腕関節の運動性が低下しており,60°の上肢挙上しか実施できなかった。GS群は肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節が共に機能し90°以上実施可能であった。また,肩関節外転ROMは,GH群は術前50°,3ヵ月で70°,GS群は術前50°,3ヵ月で70°と20°の外転角度の増加が確認されたが,ST群では術前50°,3ヵ月で60°と10°の増加しか認められなかった。筋力においては,GH群では術前0.11N/kg,3ヵ月で0.09N/kg,ST群では術前測定不可,3ヵ月で0.10N/kgとなった。GS群で術前0.11N/kg,3ヵ月で0.17N/kgと向上し,GS群が他の2群より高値を示す結果となった。
【結論】
今回GANESHAを用いることで,肩甲骨の客観的評価が可能となり,RSA後に3つの運動様式のパターンがあることがわかった。GH群,ST群のように肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節のどちらかに可動性低下がある場合,上肢挙上が困難となる。一方,GS群のように肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節が共に機能することで,良好な上肢挙上が認められた。また,肩関節外転ROMと外転筋力においてもGS群が他の2群より高値を示す結果となった。これらから肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節が機能する群が良好な上肢挙上が可能になると考える。結果から,肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節の運動性を客観的に評価できたことでリハビリテーション有用性が示唆された。今後は,効果的なリハビリテーションを実施しADLの向上へ繋げたいと考える。
近年,リバース型人工肩関節全置換術(以下RSA)が諸外国では盛んに行われるようになってきている。我が国においても2014年に認可された。RSA術後はリハビリテーションを行う必要が無いとの報告や三角筋の筋力強化を行うという報告もあり,RSA術後のリハビリテーションの有用性は一貫した見解は示されていない。そこで今回,RSA術後リハビリテーションの有用性を確認するためにRSA術後3ヵ月の肩甲骨動態解析を目的に,肩甲骨動態解析ソフトGANESHAを使用しRSA術後の肩甲骨を動態解析した。その結果,3群の運動パターンが確認され,RSA後のリハビリテーションの有用性が示唆されたため報告する。
【方法】
肩甲骨の動態解析には,大阪市立大学で開発された肩甲骨専用動態解析ソフトGANESHAを使用した。対象は平均78.4歳のRSA術後3ヵ月患者6人(男3名,女3名)の肩甲骨を透視下で肩関節外転時の肩関節を撮影。レントゲン写真を,GANESHAを使用し動態解析を行った。
その結果,肩甲上腕関節の運動性が低下し,肩甲胸郭関節のみで動いている群を肩甲胸郭関節群(以下ST群)。肩甲胸郭関節の運動性は低下し,肩甲上腕関節のみで動いている群を肩甲上腕関節群(以下GH群)。肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節ともに動いている群を肩甲上腕・肩甲胸郭関節群(以下GS群)の3パターンの運動様式が確認された。また,リハビリテーションの有用性を検討するため肩関節外転可動域と肩関節外転筋力を測定した。
【結果】
肩甲骨の動態解析では,GH群では肩甲胸郭関節の運動性が低下し,ST群では肩甲上腕関節の運動性が低下しており,60°の上肢挙上しか実施できなかった。GS群は肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節が共に機能し90°以上実施可能であった。また,肩関節外転ROMは,GH群は術前50°,3ヵ月で70°,GS群は術前50°,3ヵ月で70°と20°の外転角度の増加が確認されたが,ST群では術前50°,3ヵ月で60°と10°の増加しか認められなかった。筋力においては,GH群では術前0.11N/kg,3ヵ月で0.09N/kg,ST群では術前測定不可,3ヵ月で0.10N/kgとなった。GS群で術前0.11N/kg,3ヵ月で0.17N/kgと向上し,GS群が他の2群より高値を示す結果となった。
【結論】
今回GANESHAを用いることで,肩甲骨の客観的評価が可能となり,RSA後に3つの運動様式のパターンがあることがわかった。GH群,ST群のように肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節のどちらかに可動性低下がある場合,上肢挙上が困難となる。一方,GS群のように肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節が共に機能することで,良好な上肢挙上が認められた。また,肩関節外転ROMと外転筋力においてもGS群が他の2群より高値を示す結果となった。これらから肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節が機能する群が良好な上肢挙上が可能になると考える。結果から,肩甲上腕関節,肩甲胸郭関節の運動性を客観的に評価できたことでリハビリテーション有用性が示唆された。今後は,効果的なリハビリテーションを実施しADLの向上へ繋げたいと考える。