The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-45] ポスター(運動器)P45

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-45-5] 患者立脚型評価における反転型人工肩関節置換術後の結髪・結帯動作獲得状況

藤原 健太1, 貴志 真也1, 川上 基好1, 柏木 孝介1, 谷田 英明1, 中根 康博2, 原田 誠2, 村本 佳代子1 (1.医療法人スミヤ角谷整形外科病院リハビリテーション科, 2.医療法人スミヤ角谷整形外科病院関節整形外科)

Keywords:反転型人工肩関節置換術, 患者立脚型評価, 結髪・結帯動作

【はじめに,目的】

今回,反転型人工肩関節置換術(以下RSA)における患者立脚型評価Shoulder36(以下Sh36)を基に術前後の成績を比較した。その中でも,複合動作を主とする結髪・結帯動作に着目し成績を報告する。

【方法】

2016年1月~6月にRSAを施行した10例中,3か月以上経過観察可能であった8例を対象とした。男性5例,女性3例,平均年齢76.2歳で全例腱板断裂性関節症であった。関節可動域検査(以下ROM)は日本整形外科学会が定める方法に準じて行い,自動での屈曲,外転,下垂位外旋,外転90°位外旋・内旋を計測した。結髪・結帯動作の計測はC7を基準とし検査側母指との距離を測定した。表記の仕方はFinger-Flower-Distanceの計測方法に基づき,C7の基準点までいかないものをプラスとし基準点を超えるものをマイナス表記とした。その際,結帯動作は椎体表記も行った。肩関節機能評価としてSh36を実施した。Sh36の中でも結帯動作では3項目目の[患側の手でズボンの後ろポケットに手を伸ばす](以下③),18項目目の[エプロンのひもを後ろで結ぶ](以下⑱),結髪動作では8項目目の[頭の後ろで両手を組む](以下⑧),10項目目の[自分で髪をとかす](以下⑩)動作におけるスコアを抽出した。各評価は術前と術後3か月で実施した。術前と術後成績においてt検定を用い,有意水準は5%未満とした。

【結果】



患側術前/術後3か月ROMは屈曲(自動)115.7±26.2°/112.1±24.6°,外転102.1±32.8°/97.1±23.4°,外転90°位外旋51.4±14.5°/50.7±16.5°,外転90°位内旋26.4±8.7°/29.2±9.7°であった。屈曲や外転では優位に改善していた。(p<0.01)術前/術後3か月結帯動作は患側28.5±6.5cm/45.1±7.2cm,椎体表記ではTh11/L5であり,結髪動作は-6.6±4.2cm/-3.1±6.2cmであった。結帯動作では術前と比べ有意に低値を記し(p<0.01),結髪動作において有意差なしであった。Sh36の術前/術後3か月成績は,疼痛2.2±0.8/2.7±0.5,可動域2±0/3±0.6,筋力0.9±0/2.7±0.8,健康感2.3±1/3.1±0.4,日常生活2.2±0.9/3.2±0.5,スポーツ能力0.5±0.7/1.5±1.3であり,可動域,筋力,健康感,日常生活の4項目は優位に改善していた(p<0.05)。しかしSh36の結帯動作に関する③3±1.4/2.2±1.2⑱2.5±1/1.6±0.9と,結髪動作に関する⑧術前1.5±1.6/2.5±1.5,⑩2.3±1.2/2.6±0.9は有意差なしであった。

【結論】

Sh36における6項目のうち4項目は改善を記しており,患者立脚型における評価においては良好な成績であると考える。しかし,結髪や結帯動作などは改善率が乏しく複合運動における困難さを露呈している。今後,複合動作における要因を追求していき患者満足度へ反映させていく必要がある。