[P-MT-46-5] Rotator cuff tendinopathy患者における棘上筋腱厚の経時的変化
Keywords:Rotator cuff tendinopathy, 棘上筋腱, 超音波画像診断装置
【はじめに】
近年,肩峰下インピンジメント症候群患者の腱板には変性が生じていることが報告され,外因的な棘上筋腱の圧迫や内因的要因,腱への過少負荷や過負荷などに起因する病理的な腱の変性(Rotator cuff tendinopathy:腱症)と考えられている。我々の先行研究において,肩峰下インピンジメント兆候を有する肩関節痛患者の患側の棘上筋腱厚は,健側および無症候群と比較して有意に増加していた。しかし,棘上筋腱の組織的変化と肩痛との関係性は明らかでない。よって今後の調査を前に症例集積研究として,患側の棘上筋腱厚が健側と比較して増加していた症例の棘上筋腱厚と疼痛による上肢障害度を縦断的に観察し,その関係性を検討したので報告する。
【方法】
肩関節痛を主訴に当院を受診した患者のうち,肩峰下インピンジメント兆候としてHawkins-Kennedy test,棘下筋抵抗テスト,Painful arc signのうち2つ以上が陽性であり,超音波画像診断にて腱板断裂の所見が無く,棘上筋長軸像において健側と比較して患側棘上筋腱厚が大きかった3症例を対象とした。なお,超音波画像診断装置による棘上筋腱厚の測定方法は,我々の先行研究にて検者内信頼性が確認されたThamらの方法に則った。調査項目は初回と症状改善時における棘上筋腱厚の患健差およびDASH機能スコア,運動習慣,発症から受診までの疼痛期間,治療期間とした。治療は個々の評価結果をもとに,日常生活およびスポーツ活動時の棘上筋腱への負荷調整,肩関節機能への介入,棘上筋遠心性収縮エクササイズを行った。
【結果】
以下に各症例についての要約を述べる。
症例1(43歳女性,主婦)発症から1週間で受診。運動習慣はテニス,治療期間は1ヶ月(合計6回)であった。DASH機能スコアは初回30点,最終0点,棘上筋腱厚差は初回+0.9mm,最終±0mmであった。
症例2(28歳男性,事務職)発症から3ヶ月で受診。運動習慣は野球。治療期間は3ヶ月(合計6回)であった。DASH機能スコアは初回11.7点,最終4点,棘上筋腱厚差は初回+1.3mm,最終+0.8mmであった。
症例3(46歳男性,事務職)発症から6ヶ月で受診。運動習慣は無し。1ヶ月(合計5回)時点で中間評価を実施し,DASH機能スコアは初回25点,中間13.3点,棘上筋腱厚差は初回+1.1mm,中間+0.2mmであった。
【結論】
Cookらは,腱への過度な負荷により生じる反応性の変化(Reactive tendinopathy)は,負荷を調整することで正常な腱の状態へ回復する可逆的変化であると述べている。今回の症例はいずれも疼痛改善時に棘上筋腱厚の患健差が減少していた。よって反応性の棘上筋腱厚の増加が疼痛と関係していたと推察される。発表では症例を更に集積し,棘上筋腱厚の経時的変化について統計学的検討を加えて報告する。本結果を踏まえ,今後はRotator cuff tendinopathy患者の棘上筋腱病変と肩機能障害との関連,理学療法介入効果を検証していく。
近年,肩峰下インピンジメント症候群患者の腱板には変性が生じていることが報告され,外因的な棘上筋腱の圧迫や内因的要因,腱への過少負荷や過負荷などに起因する病理的な腱の変性(Rotator cuff tendinopathy:腱症)と考えられている。我々の先行研究において,肩峰下インピンジメント兆候を有する肩関節痛患者の患側の棘上筋腱厚は,健側および無症候群と比較して有意に増加していた。しかし,棘上筋腱の組織的変化と肩痛との関係性は明らかでない。よって今後の調査を前に症例集積研究として,患側の棘上筋腱厚が健側と比較して増加していた症例の棘上筋腱厚と疼痛による上肢障害度を縦断的に観察し,その関係性を検討したので報告する。
【方法】
肩関節痛を主訴に当院を受診した患者のうち,肩峰下インピンジメント兆候としてHawkins-Kennedy test,棘下筋抵抗テスト,Painful arc signのうち2つ以上が陽性であり,超音波画像診断にて腱板断裂の所見が無く,棘上筋長軸像において健側と比較して患側棘上筋腱厚が大きかった3症例を対象とした。なお,超音波画像診断装置による棘上筋腱厚の測定方法は,我々の先行研究にて検者内信頼性が確認されたThamらの方法に則った。調査項目は初回と症状改善時における棘上筋腱厚の患健差およびDASH機能スコア,運動習慣,発症から受診までの疼痛期間,治療期間とした。治療は個々の評価結果をもとに,日常生活およびスポーツ活動時の棘上筋腱への負荷調整,肩関節機能への介入,棘上筋遠心性収縮エクササイズを行った。
【結果】
以下に各症例についての要約を述べる。
症例1(43歳女性,主婦)発症から1週間で受診。運動習慣はテニス,治療期間は1ヶ月(合計6回)であった。DASH機能スコアは初回30点,最終0点,棘上筋腱厚差は初回+0.9mm,最終±0mmであった。
症例2(28歳男性,事務職)発症から3ヶ月で受診。運動習慣は野球。治療期間は3ヶ月(合計6回)であった。DASH機能スコアは初回11.7点,最終4点,棘上筋腱厚差は初回+1.3mm,最終+0.8mmであった。
症例3(46歳男性,事務職)発症から6ヶ月で受診。運動習慣は無し。1ヶ月(合計5回)時点で中間評価を実施し,DASH機能スコアは初回25点,中間13.3点,棘上筋腱厚差は初回+1.1mm,中間+0.2mmであった。
【結論】
Cookらは,腱への過度な負荷により生じる反応性の変化(Reactive tendinopathy)は,負荷を調整することで正常な腱の状態へ回復する可逆的変化であると述べている。今回の症例はいずれも疼痛改善時に棘上筋腱厚の患健差が減少していた。よって反応性の棘上筋腱厚の増加が疼痛と関係していたと推察される。発表では症例を更に集積し,棘上筋腱厚の経時的変化について統計学的検討を加えて報告する。本結果を踏まえ,今後はRotator cuff tendinopathy患者の棘上筋腱病変と肩機能障害との関連,理学療法介入効果を検証していく。