The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-47] ポスター(運動器)P47

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-47-2] 大腿骨前脂肪体がオスグッド・シュラッター病における膝関節機能に与える影響

水島 健太郎, 久須美 雄矢, 水池 千尋, 三宅 崇史, 立原 久義, 山本 昌樹 (大久保病院明石スポーツ整形・関節外科センター)

Keywords:オスグッド・シュラッター病, 大腿骨前脂肪体, 膝屈曲ROM

【はじめに】

オスグッド・シュラッター病(OSD)は,大腿四頭筋の過緊張による膝蓋靭帯への牽引力が発症要因とされている。近年,大腿四頭筋の滑走に影響を与える膝関節周囲脂肪体の柔軟性低下が発症要因の一つとして注目されている。我々は,OSDでは健常者と比べて,大腿骨前脂肪体(PFP),膝蓋下脂肪体(IFP)の柔軟性が低下していることを明らかにした。OSDにおいて,PFPの柔軟性改善によって膝屈曲の関節可動域(ROM)が改善することを臨床で経験するものの,客観的に評価した報告は認められない。そこで本研究の目的は,OSDにおけるPFPの柔軟性を超音波エコー(US)にて評価し,PFPの柔軟性改善による膝屈曲ROMの変化について検討することである。



【方法】

対象は,OSD群11例20膝(男性8例,女性3例,平均年齢13.3歳)とし,PFP治療前後におけるPFP組織弾性,膝屈曲ROMを測定した。PFP組織弾性は,US(AIXPLORER,コニタミノルタ社製)のShear Wave Elastography用いて,膝伸展位(E)と膝90度屈曲位(F90)を各6回測定し,その平均値を算出した。検討項目は,PFP治療前後のPFP組織弾性および膝屈曲ROMを比較した。PFPの治療は,PFP柔軟性改善操作を5分間施行した。また,検査測定及び治療は,同一者が施行した。統計処理は対応のあるt検定,ウィルコクソン検定を用い,有意水準を5%未満とした。



【結果】

PFP組織弾性(治療前:治療後)は,Eが3.12±0.68m/s:2.40±0.39m/s,F90が2.87±0.53m/s:2.08±0.41m/sであり,EおよびF90ともにPFP治療後に有意な低下を示した(p<0.01)。膝屈曲ROM(治療前:治療後)は,140.0±4.8°:147.7±4.3°であり,治療後に有意な改善を示した(p<0.01)。



【結論】

PFPは,大腿骨と膝蓋上嚢の間に存在する脂肪組織である。PFPの機能は,大腿四頭筋の収縮効率化の補助,膝蓋大腿関節の内圧調節,膝関節屈伸運動時における膝蓋上の滑走性の維持で,膝関節の屈伸運動時に重要な役割をはたす。しかしながら我々の先行研究では,健常人と比べてOSDのPFP柔軟性が約25%減少していた。今回,OSD群に対するPFPの柔軟性改善により,膝屈曲ROMの拡大が認められた。これは我々の先行研究である,OSDに対するIFPの柔軟性改善による膝屈曲ROMの拡大と同様の結果となった。このことから,PFP柔軟性低下がOSDにおける膝屈曲ROM制限の一要因として挙げられ,PFP柔軟性の改善操作がOSDの運動療法として有効であると考えられた。