The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本運動器理学療法学会 » ポスター発表

[P-MT-51] ポスター(運動器)P51

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本運動器理学療法学会

[P-MT-51-1] 整形外科手術を施行した患者の自己効力感に影響を与える因子について

星田 暁, 川上 榮一, 井上 晴美, 関口 芳仁, 齊藤 裕介, 桐谷 紋加, 木村 智徳, 戸村 勇哉 (同愛記念病院)

Keywords:自己効力感, MFES, 在院日数

【はじめに,目的】

近年,高齢者の手術患者が急増している中,在院日数の短縮が求められている。臨床では身体機能が向上したにも関わらず,退院後の生活に自信が持てず入院が長期化する患者を散見する。自分がある行動をどの程度うまく実行できるかという自信の認識を自己効力感と言う。本研究は整形外科手術を施行した患者の自己効力感の経時的変化とそれに影響を与える因子を検討し知見を得たので報告する。


【方法】

対象は当院で人工膝関節全置換術(以下TKA),人工股関節全置換術(以下THA)を施行した後,理学療法処方を受けた女性患者(15名,年齢66.8±10.41歳)とした。手術前,手術後2週間,退院1~3日前に自己効力感を測定するアンケートを実施し,関連因子としてNumerical Rating Scale(以下NRS),立ち上がりテスト,片脚立位時間,Functional Reach Test,10m歩行テストを測定した。自己効力感を測定するアンケートについてはFalls Efficacy Scale(以下FES),Modified Falls Efficacy Scale(以下MFES)を用いた。各時期におけるMFESとFESの傾向を調べ,自己効力感と関連因子を比較検討した。更に退院1~3日前のMFES110点以上を自信有群(11名,67.91±10.18歳),110点未満を自信無群(4名,63.75±10.4歳)と分類し,2群間で関連因子をMan-WhitneyのU検定とFriedman testを用いて比較検討した。有意水準は5%未満とした。

【結果】

各時期の自己効力感の得点は,手術前と手術後2週間,手術前と退院1~3日前のMFESには相関がなく,手術後2週間と退院1~3日前(r=0.718)のMFESに正の相関がみられた。また手術前と退院1~3日前のFESには相関がなく,手術前と手術後2週間(r=0.738),手術後2週間と退院1~3日前(r=0.843)のFESに正の相関がみられた。自己効力感と関連因子では,立ち上がりテスト,片脚立位時間,Functional Reach Test,10m歩行テストはどの時期にも相関がみられず,術後2週間のMFESとNRS(r=-0.579),術後2週間のFESとNRS(r=-0.611)に負の相関がみられた。

2群間比較では,術後2週間のNRSに有意差があり,自信有群の方が疼痛の程度が低かった。またFriedman testにおいて,自信有群のNRSは手術前・手術後2週間・退院1~3日前に有意な差がみられた。

【結論】

結果より,手術後の自己効力感を高めるには手術後2週間以内に疼痛を軽減させることが重要であると言える。更に自己効力感の低い患者は,より早期に疼痛の原因を明らかにし,対処することで在院日数を短縮させることが示唆された。人工関節手術を施行する患者の主訴の多くが疼痛であり,その疼痛を解消あるいは軽減させることが早期退院につながると考える。