[P-MT-52-1] 回復期運動器疾患患者が自覚する日常生活動作能力の改善度合
Keywords:FIM, 回復期, 患者が自覚する改善度合
【はじめに,目的】
回復期運動器疾患患者に対する理学療法により,日常生活動作能力の改善が見込めるが,患者自身が自覚する日常生活能力の改善度合は明らかとはなっていない。それらを明らかにすることは,理学療法効果について,統計学的解析結果のみでなく,患者立脚型の視点で議論する際に不可欠となると考える。本研究は,回復期運動器疾患患者が自覚する日常生活動作能力の改善度合を調査する事を目的とする。
【方法】
対象は回復期リハビリテーション病棟に入院する運動器疾患患者とした。包含基準は診療報酬区分が運動器リハビリテーション料である者とした。除外基準は,FIM運動得点が20点以下,76点以上,認知項目得点25点未満の患者,認知症を有する患者とした。患者の日常生活動作能力はFunctional Independence Measure(FIM)を用いて評価した。FIM改善に対する主観的な変化度合を調査する外的指標には7件法のGlobal rating of change scale(GRC)(Lang, et al., 2008)を用いた。GRCの内容は,スコア3「かなり大きく日常生活が改善した」,スコア2「大きく日常生活が改善した」,スコア1「少し日常生活が改善した」,スコア0「変化なし」,スコア-1「少し日常生活が悪化した」,スコア-2「大きく日常生活が悪化した」,スコア-3「かなり大きく日常生活が悪化した」とした。GRCを用いたFIM改善に対する主観的な変化度合調査は,入院30日後に患者担当制でないケアワーカーがアンケート用紙を配布して実施した。FIM変化量は30日後の値から入院時値を差分する事で算出した。そしてHallandら(2010)の方法を参考に,スコア0をNo change群,スコア1と-1をSmall change群,スコア2と-2をLarge change群,スコア3と-3をSubstantial change群に群分けした。各群のFIM変化量の平均値を算出する際,FIM変化量がマイナスであった場合は,絶対値に変換した値を採用した。統計解析は,年齢・入院時FIM運動得点と各群のFIM変化量に対しPearsonの積率相関係数を求めた。次に,FIM変化量について,群を要因とした一元配置分散分析と多重比較検定(Tukey法)を実施した。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
入院時FIM運動得点は平均46.6点,年齢82.5歳であった。入院時FIM運動得点・年齢と各群のFIM変化量のそれぞれの間で有意な相関を認めなかった。各群のFIM変化量の平均値は,Substantial change群で31.6点,Large change群で23.2点,Small change群で11.6点,No change群で4.6点であった。一元配置分散分析では主効果を認め,多重比較検定の結果では,全ての群間において有意差を認めた。各群間の効果量(d)は(大)であった。
【結論】
本研究では,回復期運動器疾患患者が日常生活動作能力の改善を自覚するFIM運動項目の変化量を明らかにする事ができた。今後,回復期運動器疾患患者への理学療法効果を議論する場合,統計学的解析結果のみだけでなく,本研究で明らかとした患者が自覚する日常生活動作能力の改善度合を効果の目安として用いることができると考える。
回復期運動器疾患患者に対する理学療法により,日常生活動作能力の改善が見込めるが,患者自身が自覚する日常生活能力の改善度合は明らかとはなっていない。それらを明らかにすることは,理学療法効果について,統計学的解析結果のみでなく,患者立脚型の視点で議論する際に不可欠となると考える。本研究は,回復期運動器疾患患者が自覚する日常生活動作能力の改善度合を調査する事を目的とする。
【方法】
対象は回復期リハビリテーション病棟に入院する運動器疾患患者とした。包含基準は診療報酬区分が運動器リハビリテーション料である者とした。除外基準は,FIM運動得点が20点以下,76点以上,認知項目得点25点未満の患者,認知症を有する患者とした。患者の日常生活動作能力はFunctional Independence Measure(FIM)を用いて評価した。FIM改善に対する主観的な変化度合を調査する外的指標には7件法のGlobal rating of change scale(GRC)(Lang, et al., 2008)を用いた。GRCの内容は,スコア3「かなり大きく日常生活が改善した」,スコア2「大きく日常生活が改善した」,スコア1「少し日常生活が改善した」,スコア0「変化なし」,スコア-1「少し日常生活が悪化した」,スコア-2「大きく日常生活が悪化した」,スコア-3「かなり大きく日常生活が悪化した」とした。GRCを用いたFIM改善に対する主観的な変化度合調査は,入院30日後に患者担当制でないケアワーカーがアンケート用紙を配布して実施した。FIM変化量は30日後の値から入院時値を差分する事で算出した。そしてHallandら(2010)の方法を参考に,スコア0をNo change群,スコア1と-1をSmall change群,スコア2と-2をLarge change群,スコア3と-3をSubstantial change群に群分けした。各群のFIM変化量の平均値を算出する際,FIM変化量がマイナスであった場合は,絶対値に変換した値を採用した。統計解析は,年齢・入院時FIM運動得点と各群のFIM変化量に対しPearsonの積率相関係数を求めた。次に,FIM変化量について,群を要因とした一元配置分散分析と多重比較検定(Tukey法)を実施した。統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
入院時FIM運動得点は平均46.6点,年齢82.5歳であった。入院時FIM運動得点・年齢と各群のFIM変化量のそれぞれの間で有意な相関を認めなかった。各群のFIM変化量の平均値は,Substantial change群で31.6点,Large change群で23.2点,Small change群で11.6点,No change群で4.6点であった。一元配置分散分析では主効果を認め,多重比較検定の結果では,全ての群間において有意差を認めた。各群間の効果量(d)は(大)であった。
【結論】
本研究では,回復期運動器疾患患者が日常生活動作能力の改善を自覚するFIM運動項目の変化量を明らかにする事ができた。今後,回復期運動器疾患患者への理学療法効果を議論する場合,統計学的解析結果のみだけでなく,本研究で明らかとした患者が自覚する日常生活動作能力の改善度合を効果の目安として用いることができると考える。