[P-NV-02-5] 75歳以上脳卒中片麻痺者の長下肢装具使用期間中の身体機能・歩行能力の変化と転帰について
Keywords:長下肢装具, 高齢者, 転帰
【はじめに】「脳卒中治療ガイドライン2015」では早期から装具を用いた立位歩行練習が推奨されており(グレードA),石神や原らも重度運動麻痺を呈した片麻痺者に対して長下肢装具を使用した立位歩行練習を推奨している。しかし,高齢脳卒中片麻痺者に対しての長下肢装具使用に関する報告は少ない。そこで本研究の目的は,回復期病院において75歳以上の脳卒中片麻痺者の長下肢装具使用期間中の身体機能・歩行能力の変化を明らかにし,退院時歩行能力・転帰について調査することとした。
【方法】対象は,回復期病院にて長下肢装具を処方された重度脳卒中片麻痺者62名。対象者を75歳以上23名(78.9±3.4歳)と,75歳未満39名(60.8±9.5歳)の2群に分けた。対象者の基本的属性は,年齢・性別・身長・体重・疾患名・麻痺側・発症から回復期病院入院までの日数(以下,発症後日数),入院時FIMとした。長下肢装具使用期間中の身体機能・歩行能力の変化として,入院初期と入院中期の麻痺側と非麻痺側の下肢筋力(股屈曲,膝伸展,膝屈曲,足底屈,足背屈),下肢Brunstrom Recovery Stage(以下:下肢BRS),Barthel Index(以下,BI),Functional Ambulation Category(以下,FAC)を計測した。他に,退院先(自宅・施設),退院時FIM,FIM利得,退院時FAC,在院日数を調査した。統計は,1)各群において入院初期と入院中期の下肢筋力,下肢BRS,BI,FACの比較,2)各群の入院時FIMと退院時FIMの比較,3)両群の退院先(自宅・施設),退院時FIM,FIM利得,在院日数,退院時FACについてWilcoxonの順位和検定・Mann-Whitney U検定およびχ2乗検定を用いて検討した。有意水準は5%未満とした。
【結果】両群ともに入院初期と入院中期の変化として麻痺側下肢筋力,下肢BRS,BI,FACの有意な改善を認めた(p<0.05)。75歳以上の重度脳卒中片麻痺者においても退院時FIMは入院時FIMより有意に高かった(p<0.01)。75歳以上脳卒中片麻痺者は75歳未満脳卒中片麻痺者と比較して,退院時FIM,FIM利得,退院時FACは有意に低かった(p<0.01)が,自宅復帰率と在院日数に有意差はなかった。
【結論】75歳以上の高齢重度脳卒中片麻痺者でも長下肢装具を使用した約1ヶ月後の変化として,麻痺側下肢筋力,歩行能力,ADLの改善が得られ,退院時のFIMが改善していることがわかった。また,退院時のFIMや歩行能力は低いが,転帰(自宅復帰率)では有意な差はなかったことから,移乗や起立動作の介助量が軽減され自宅復帰に繋がったと考えられる。
【方法】対象は,回復期病院にて長下肢装具を処方された重度脳卒中片麻痺者62名。対象者を75歳以上23名(78.9±3.4歳)と,75歳未満39名(60.8±9.5歳)の2群に分けた。対象者の基本的属性は,年齢・性別・身長・体重・疾患名・麻痺側・発症から回復期病院入院までの日数(以下,発症後日数),入院時FIMとした。長下肢装具使用期間中の身体機能・歩行能力の変化として,入院初期と入院中期の麻痺側と非麻痺側の下肢筋力(股屈曲,膝伸展,膝屈曲,足底屈,足背屈),下肢Brunstrom Recovery Stage(以下:下肢BRS),Barthel Index(以下,BI),Functional Ambulation Category(以下,FAC)を計測した。他に,退院先(自宅・施設),退院時FIM,FIM利得,退院時FAC,在院日数を調査した。統計は,1)各群において入院初期と入院中期の下肢筋力,下肢BRS,BI,FACの比較,2)各群の入院時FIMと退院時FIMの比較,3)両群の退院先(自宅・施設),退院時FIM,FIM利得,在院日数,退院時FACについてWilcoxonの順位和検定・Mann-Whitney U検定およびχ2乗検定を用いて検討した。有意水準は5%未満とした。
【結果】両群ともに入院初期と入院中期の変化として麻痺側下肢筋力,下肢BRS,BI,FACの有意な改善を認めた(p<0.05)。75歳以上の重度脳卒中片麻痺者においても退院時FIMは入院時FIMより有意に高かった(p<0.01)。75歳以上脳卒中片麻痺者は75歳未満脳卒中片麻痺者と比較して,退院時FIM,FIM利得,退院時FACは有意に低かった(p<0.01)が,自宅復帰率と在院日数に有意差はなかった。
【結論】75歳以上の高齢重度脳卒中片麻痺者でも長下肢装具を使用した約1ヶ月後の変化として,麻痺側下肢筋力,歩行能力,ADLの改善が得られ,退院時のFIMが改善していることがわかった。また,退院時のFIMや歩行能力は低いが,転帰(自宅復帰率)では有意な差はなかったことから,移乗や起立動作の介助量が軽減され自宅復帰に繋がったと考えられる。