[P-NV-03-1] 急性期脳卒中患者に対する発症48時間以内の初回起立は安全かつ転帰時mRSを改善させる
Keywords:早期離床, 起立負荷, 短期治療成績
【目的】Bernhardt(2015)は急性期脳卒中に対する早期離床について,開始時期や離床内容の共通理解が不十分であると指摘した。本邦においても離床内容は座位,立位,歩行等施設によって異なり,定義が不明確である。当院リハビリテーション(リハ)部では,急性期脳卒中患者に対する理学療法の最優先課題は起立負荷であるという共通認識のもと,2015年8月より発症48時間以内の起立を早期離床と定義しリハを実施している。今回,当院急性期脳卒中患者の2015年8月以降における短期成績について,後方視的検討を行ったので報告する。
【方法】対象は2014年8月から2016年7月までに入院した急性期脳卒中患者286名とした。くも膜下出血,テント下病変,集中治療例,発症前mRS4-5,手術例に該当する111名は除外した。早期離床群(2015年8月~2016年7月)と対照群(2014年8月~2015年7月)の2群に分け診療録より後方視的検討を行った。早期離床群はバイタルサインで開始基準を満たさない者,再発リスクの高い者は除外し,脳卒中発症48時間以内に初回起立を開始した。リハは早期離床群,対照群ともに装具を使用した歩行練習やADL練習を中心に転帰時まで実施した。診療録からの抽出項目は,性別,年齢,病型(出血,梗塞),病巣部位,危険因子(高血圧症,糖尿病,高脂血症,心房細動)の有無,入院時NIHSS,発症から初回起立開始までの時間,発症から14日間のPT,OT総実施時間,発症から2ヶ月以内の長期臥床に関連する合併症の有無,発症から2ヶ月以内の神経学的所見増悪の有無,リハ中の神経学的所見増悪の有無,転帰時mRSとした。統計解析はStudent'sのT検定,Mann-WhitneyのU検定,χ2乗検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】早期離床群80名,対照群95名であった。性別,年齢,病型,病巣部位,危険因子の有無,入院時NIHSSに有意差は認めなかった。発症から初回起立開始までの時間は早期離床群で有意に低値であり(p<0.01),発症から14日間のPT,OT総実施時間は早期離床群で有意に高値であった(p<0.05)。発症から2ヶ月以内の長期臥床に関連する合併症の有無は,早期離床群で有意に少なかった(p<0.05)。発症から2ヶ月以内の神経学的所見増悪の有無に有意差は認めなかった。両群ともにリハ中の神経学的所見増悪例はなかった。転帰時mRSは早期離床群で有意に低値であった(p<0.05)。
【結論】急性期脳卒中患者に対し発症48時間以内の起立は安全であり,短期治療成績においては長期臥床に関連する合併症を軽減し,転帰時mRSを改善させることが判明した。従って,急性期脳卒中患者に対するリハ開始は起立であることを推奨する。
【方法】対象は2014年8月から2016年7月までに入院した急性期脳卒中患者286名とした。くも膜下出血,テント下病変,集中治療例,発症前mRS4-5,手術例に該当する111名は除外した。早期離床群(2015年8月~2016年7月)と対照群(2014年8月~2015年7月)の2群に分け診療録より後方視的検討を行った。早期離床群はバイタルサインで開始基準を満たさない者,再発リスクの高い者は除外し,脳卒中発症48時間以内に初回起立を開始した。リハは早期離床群,対照群ともに装具を使用した歩行練習やADL練習を中心に転帰時まで実施した。診療録からの抽出項目は,性別,年齢,病型(出血,梗塞),病巣部位,危険因子(高血圧症,糖尿病,高脂血症,心房細動)の有無,入院時NIHSS,発症から初回起立開始までの時間,発症から14日間のPT,OT総実施時間,発症から2ヶ月以内の長期臥床に関連する合併症の有無,発症から2ヶ月以内の神経学的所見増悪の有無,リハ中の神経学的所見増悪の有無,転帰時mRSとした。統計解析はStudent'sのT検定,Mann-WhitneyのU検定,χ2乗検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】早期離床群80名,対照群95名であった。性別,年齢,病型,病巣部位,危険因子の有無,入院時NIHSSに有意差は認めなかった。発症から初回起立開始までの時間は早期離床群で有意に低値であり(p<0.01),発症から14日間のPT,OT総実施時間は早期離床群で有意に高値であった(p<0.05)。発症から2ヶ月以内の長期臥床に関連する合併症の有無は,早期離床群で有意に少なかった(p<0.05)。発症から2ヶ月以内の神経学的所見増悪の有無に有意差は認めなかった。両群ともにリハ中の神経学的所見増悪例はなかった。転帰時mRSは早期離床群で有意に低値であった(p<0.05)。
【結論】急性期脳卒中患者に対し発症48時間以内の起立は安全であり,短期治療成績においては長期臥床に関連する合併症を軽減し,転帰時mRSを改善させることが判明した。従って,急性期脳卒中患者に対するリハ開始は起立であることを推奨する。