[P-NV-03-5] 急性期脳幹梗塞患者における退院先に関連する因子の検討
Keywords:脳梗塞, 転帰, 予測因子
【はじめに,目的】
脳幹梗塞は運動麻痺,運動失調,感覚障害,嚥下障害などさまざまな症状を呈することや,進行型脳梗塞が多いなどの理由から発症早期からの退院先の決定に難渋することが多い。先行研究にて急性期脳梗塞患者の退院先に関連する因子の検討の報告は散見される。しかし,急性期脳幹梗塞患者のみで退院先を検討した報告は少ない。そこで今回,急性期脳幹梗塞患者の退院先に関連する因子の検討を行ったのでここに報告する。
【方法】
平成27年4月から平成28年9月に当院に入院した脳幹梗塞22例のうち退院先が自宅12例と回復期病院8例の計20例を対象とした。評価項目は年齢,性別,同居者の有無,入院前modified Rankin Scale(mRS),入院前介護保険,病型分類,病巣,入院時National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS),神経症状増悪の有無,理学療法開始時の高次脳機能障害・感覚障害・嚥下障害・運動失調の有無,第5病日の上肢・手指・下肢Brunnstrom Recovery Stage(BRS),Trunk Control Test(TCT),Motricity Index(MI),座位機能,理学療法開始時・初回車椅子乗車時のAbility for Basic Movement ScaleII(ABMSII),初回歩行レベルを挙げた。自宅群と回復期病院群の比較にはMann-WhitneyのU検定およびカイ二乗検定を行った。なお,統計学的有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
自宅群と回復期病院群の間で有意差を認めたものは,NIHSS,神経症状増悪の有無,高次脳機能障害の有無,嚥下障害の有無,上肢・手指・下肢BRS,TCT,MI,座位機能,理学療法開始時・初回車椅子乗車時ABMSII,初回歩行レベルであった。(P<0.05)
【結論】
急性期脳梗塞における先行研究では,単変量解析の結果ではNIHSS,神経症状増悪の有無,上肢・手指・下肢BRS,感覚障害,嚥下障害,高次脳機能障害,ABMSIIに統計学的有意差を認めている。急性期脳幹梗塞を対象とした本研究でも概ね同様の結果となった。このことから,急性期脳幹梗塞患者においてもこれらの因子が退院先に関連していると考えられる。本研究では,先行研究で項目に挙げていないTCT,MI,座位機能,歩行機能でも検討を行い,統計学上の有意差が認められた。また,本研究では,同居者の有無,入院前mRS,入院前介護保険の入院前生活の患者背景も検討したが,有意差を認めなかった。このことから,患者背景よりも機能障害や能力低下が退院先決定に関連していると考えられる。今回の結果から入院時NIHSS,神経症状増悪の有無,理学療法開始時の高次脳機能障害の有無,嚥下障害の有無,第5病日の上肢・手指・下肢BRS,TCT,MI,座位機能,理学療法開始時・初回車椅子乗車時ABMSII,初回歩行レベルが急性期脳幹梗塞患者において退院先に関連する因子であることが示唆された。
脳幹梗塞は運動麻痺,運動失調,感覚障害,嚥下障害などさまざまな症状を呈することや,進行型脳梗塞が多いなどの理由から発症早期からの退院先の決定に難渋することが多い。先行研究にて急性期脳梗塞患者の退院先に関連する因子の検討の報告は散見される。しかし,急性期脳幹梗塞患者のみで退院先を検討した報告は少ない。そこで今回,急性期脳幹梗塞患者の退院先に関連する因子の検討を行ったのでここに報告する。
【方法】
平成27年4月から平成28年9月に当院に入院した脳幹梗塞22例のうち退院先が自宅12例と回復期病院8例の計20例を対象とした。評価項目は年齢,性別,同居者の有無,入院前modified Rankin Scale(mRS),入院前介護保険,病型分類,病巣,入院時National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS),神経症状増悪の有無,理学療法開始時の高次脳機能障害・感覚障害・嚥下障害・運動失調の有無,第5病日の上肢・手指・下肢Brunnstrom Recovery Stage(BRS),Trunk Control Test(TCT),Motricity Index(MI),座位機能,理学療法開始時・初回車椅子乗車時のAbility for Basic Movement ScaleII(ABMSII),初回歩行レベルを挙げた。自宅群と回復期病院群の比較にはMann-WhitneyのU検定およびカイ二乗検定を行った。なお,統計学的有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
自宅群と回復期病院群の間で有意差を認めたものは,NIHSS,神経症状増悪の有無,高次脳機能障害の有無,嚥下障害の有無,上肢・手指・下肢BRS,TCT,MI,座位機能,理学療法開始時・初回車椅子乗車時ABMSII,初回歩行レベルであった。(P<0.05)
【結論】
急性期脳梗塞における先行研究では,単変量解析の結果ではNIHSS,神経症状増悪の有無,上肢・手指・下肢BRS,感覚障害,嚥下障害,高次脳機能障害,ABMSIIに統計学的有意差を認めている。急性期脳幹梗塞を対象とした本研究でも概ね同様の結果となった。このことから,急性期脳幹梗塞患者においてもこれらの因子が退院先に関連していると考えられる。本研究では,先行研究で項目に挙げていないTCT,MI,座位機能,歩行機能でも検討を行い,統計学上の有意差が認められた。また,本研究では,同居者の有無,入院前mRS,入院前介護保険の入院前生活の患者背景も検討したが,有意差を認めなかった。このことから,患者背景よりも機能障害や能力低下が退院先決定に関連していると考えられる。今回の結果から入院時NIHSS,神経症状増悪の有無,理学療法開始時の高次脳機能障害の有無,嚥下障害の有無,第5病日の上肢・手指・下肢BRS,TCT,MI,座位機能,理学療法開始時・初回車椅子乗車時ABMSII,初回歩行レベルが急性期脳幹梗塞患者において退院先に関連する因子であることが示唆された。