第52回日本理学療法学術大会

講演情報

日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-05] ポスター(神経)P05

2017年5月12日(金) 12:50 〜 13:50 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-05-5] 拡散テンソル画像を用いた定量解析方法の検者間信頼性の検討

山本 敏雄1, 長谷川 七海1, 中村 正仁1, 辻 篤司2 (1.社会医療法人誠光会草津総合病院, 2.国立大学法人滋賀医科大学脳神経外科)

キーワード:脳卒中, MRI, 定量的評価

【はじめに,目的】

近年,核磁気共鳴画像の撮影方法の一つである拡散強調画像を利用した拡散テンソル画像(Diffusion Tensor Imegimg:DTI)の発達によって,従来視認不可能な構造であった脳の白質線維が可視化できるようになった。脳における拡散は白質線維による異方性があるので,条件を満たしたMRI撮像をおこないテンソル解析すると,白質路の画像化(color map:線維方向の違いの表示,白質の定量化(tractography:特定の白質路の抽出)や白質線維路による拡散異方性の程度が定量化(FA:異方性比率)できる。

DTIを用いた研究が多数認められるが,関心領域の位置や大きさ,またtractography数やFA値などの定量化の方法は様々である。今回,DTI関心領域(Region Of Interest:ROI)の定量解析を球状ROIやManual ROI,Tract-specific analysis(TSA)を用いてFA値を算出し,検者間の信頼性を検討したため報告する。


【方法】

検者は3名(臨床経験1年,3年,9年)の理学療法士が実施した。対象者は2013年3月から2014年5月までの間に,脳梗塞により入院してDTI撮影を行った患者8名と正常成人3名で行った。MRI装置・撮影条件はSigna EXCITE3.0T HD Ver23(GE製),12軸,FOV 240mm×240mm Slice数44枚TR/TE 12000/85.4secマトリックス128×128 Slice Thickness=3mmで行った。画像解析ソフトウェアは,東京大学医学部附属病院放射線科画像処理・解析研究室において開発された「dTV」と『Volume-One v.1.72』を使用し,皮質脊髄路を描出した。定量解析方法は,球状ROIの位置は大脳脚,大きさは3×3とした。Manual ROIの位置は大脳脚に手動にて設定した。TSAはROIを大脳脚と中心前回にて設定して描出したtractographyを同ソフトにてボクセル統計解析を施行した。統計学的分析には,級内相関係数(ICC2.1)を求めて計測の信頼性を検討した。判定基準は0.7以上にて信頼性が良好と判断した。


【結果】

ICC(2.1)にて定量解析方法による級内相関係数を算出した。級内相関係数は球形ROIのFA値は0.74(SEM0.06),Manual ROIのFA値は0.46(SEM0.06),TSAのFA値は0.72(SEM0.03)であった。


【結論】

本研究では,球形ROIとTSAのFA値は検者間の再現性は良好であった。ROI法は検査者の恣意が入りやすく,再現性の問題があるとされており,本研究でもManual ROIに再現性が認めなかった。TSAはバラツキが少なく恣意性が入りにくいため,最も有用であることが示唆された。