第52回日本理学療法学術大会

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日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-07] ポスター(神経)P07

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-07-2] 急性期脳梗塞患者の自宅退院に関わる因子の検討
発症後7病日のSIASによる比較

萬代 陽介, 福田 純, 永田 理沙, 熊谷 拓哉, 田中 健太, 月足 遥香, 勝田 祥平, 森 将志, 末次 智美, 村上 清司, 楠 正和 (嶋田病院)

キーワード:急性期, 機能評価, 脳梗塞

【はじめに,目的】

近年,急性期病棟の在院日数は短縮している。速やかに評価を行い適切な運動療法や後方支援を行うためにも早期からの予後予測はリハビリテーション(以下リハ)の重要な役割と言える。脳卒中患者に対するStroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)による評価は,理学療法診療ガイドライン2011,脳卒中治療ガイドライン2015により推奨されている。しかし,各点数に対して重みづけはされておらず同点数でも減点項目による機能の相違が予想される。本研究では急性期からの自宅退院における優先度の高いSIAS項目を明らかにすることである。

【方法】

平成28年5月より同年9月までに当院神経内科へ脳梗塞で入院し,リハを実施した52名とした。除外対象は入院中発症,重度認知症,意識障害,入院前FAC:1,自宅以外から入院,データ欠損とし,当院より自宅退院が可能であった18名(以下自宅群)と回復期病棟へ転棟となった10名(以下回復期群)の年齢・性別・同居者数・介入時FIM・入院前FAC・端坐位開始日数・リハ開始日数,急性期病棟在棟日数,入院時Alb,病型,藤島式嚥下グレードをカルテより収集し,発症7病日でのSIAS各項目の比較検討を行った。統計学的解析は自宅群と回復期群のSIAS総合点及びSIAS各項目でマンホイットニーのU検定を行った。統計解析はSPSSversion16を使用した。有意水準は5%未満とした。研究デザインは後ろ向き観察研究である。

【結果】

自宅群18名は平均年齢73.4±10.4歳 男性10名,同居者数3.1±1.8名,初回FIM運動項目38.9±15.0,初回FIM認知項目31.1±5.5,端坐位開始4.4±1.1日,リハ開始日数1.6±0.6日,急性期病棟在院日数15.5±3.2日,入院時Alb3.7±0.4g/dl,病型ラクナ5名,アテローム9名,心原性4名であった。回復期群10名は平均年齢80.5±10.9歳 男性7名,同居者数2.2±1.3名,初回FIM運動項目26.8±16.0,初回FIM認知項目23.0±10.6,端坐位開始5.4±1.1日,リハ開始日数1.5±0.5日,急性期病棟在院日数20.8±6.1日,入院時Alb3.7±0.4g/dl,病型ラクナ4名,アテローム3名,心原性3名であった。藤島式嚥下グレードは回復期群に経管栄養のみが2名存在したが他は全て経口摂取のみであった。自宅群と回復期群のSIAS各項目のマンホイットニーのU検定では総合点,運動項目,下肢筋緊張,下肢関節可動域,腹筋,握力で有意差を認めた。(P<0.05)その他の項目は有意差を認めなかった。

【結論】

脳梗塞患者発症7病日のSIASにおける自宅退院の可否には総合点,運動項目,下肢筋緊張,下肢関節可動域,腹筋,握力が影響する可能性が示唆された。本研究で視空間認知,垂直性,健側下肢筋力には有意差は見られなかった。これは7病日に評価を実施しており,重症例が意識障害や安静度制限により除外されたため,比較的軽症例での検討が行われているためと思われる。今後は重症度に応じて評価時期の検討を行う必要があると思われる。