The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-08] ポスター(神経)P08

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-08-5] 脳卒中患者における重症度別にみた発症から回復期病棟入院までの期間が在院日数,FIM利得,FIM効率に及ぼす影響

横木 貴史, 今田 健 (錦海リハビリテーション病院リハビリテーション技術部)

Keywords:脳卒中発症, 重症度, FIM

【はじめに,目的】

発症から回復期病棟入院までの日数は2006年以降,脳血管系,整形外科系,廃用症候群のいずれも短縮していると言われている。リハビリテーション科単科病院であり,回復期リハビリテーション病棟を有する当院においても,脳卒中発症から入院までの期間は短縮傾向にある。当院入院患者の退院時において,脳卒中発症から当院入院までの期間の違いにより在院日数やFIM利得,FIM効率に違いがあるのではないかと印象を持ち,関連性について検討した。

【方法】

対象は2015年4月から2016年7月までに退院した脳血管疾患患者151例であった。対象者のデータはカルテより在院日数,FIM利得,FIM効率を後方視的に調査した。脳卒中における回復期リハビリテーション病棟の入院基準が発症から2ヶ月以内であることから,対象者を発症から当院入院までの期間が31日未満と31日以上61日未満の2群に分類し,上記の項目について群間比較した。さらに,稲川らの先行研究に従い,入院時FIM運動項目総得点(以下,FIM-m)より3群(39点未満を重度群,39点以上78点未満を中等度群,78点以上を軽度群)に分類し,さらに各群を発症から当院入院までの期間が31日未満(以下,A群)と31日以上61日未満(以下,B群)の2群に分類し群間比較した。統計学的検定は正規性の検定をした後,2標本のt検定及びMann-WhitneyのU検定を行った。有意水準は1%未満とした。

【結果】

脳卒中発症から当院入院までの期間別の分布は,31日未満66例,31日以上61日未満85例であった。在院日数,FIM効率について,2群の間に有意差を認めた。重症度別の分布は,重度群54例(A群19例,B群35例),中等度群65例(A群27例,B群38例),軽度群32例(A群20例,B群12例)であった。重度群,軽度群における在院日数,FIM利得,FIM効率について,A群とB群の間に有意差は認められなかったが,中等度群では在院日数,FIM効率に有意差を認めた。

【考察】

中等度の脳卒中患者において,脳卒中発症から回復期病棟入院までの期間が在院日数,FIM利得に影響を及ぼすことが示唆された。急性期理学療法を経てADLが中等度介助にて可能となった患者においては,脳卒中を発症してから1ヶ月以内に回復期病棟へ入院しADL能力の向上を目的とした集中的な理学療法を実施する必要があると考えた。また,重度群においては,発症から1ヶ月以内に回復期病棟への入院を目指すことが自宅退院の可能性を広げる一因となるのではないかと考えた。

【結論】

中等度の脳卒中患者において発症から回復期病棟入院までの期間が在院日数,FIM利得に影響を及ぼすことが示唆された。脳血管疾患において,発症から回復期病棟入院までの期間が短いことはADLの改善が期待でき,在院日数の短縮につながる因子の一つであると考えた。