The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-10] ポスター(神経)P10

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-10-2] 回復期リハビリテーション病棟入院の脳梗塞者におけるBalance Evaluation Systems Testの反応性の検討

長谷川 智1,2, 幸地 大州1, 渡辺 真樹1, 柳澤 正1, 臼田 滋2 (1.公立七日市病院, 2.群馬大学大学院保健学研究科)

Keywords:回復期, BESTest, 反応性

【はじめに,目的】Balance Evaluation Systems Test(BESTest)はバランスをシステム理論に基づき6セクション(I.生体力学的制限,II.安定性限界/垂直性,III.予測姿勢制御,IV.姿勢反応,V.感覚適応,VI.歩行安定性)に分類したバランス評価指標である。BESTestにはMini-BESTestとBrief-BESTestの2種類の短縮版が開発されている。本研究の目的は,回復期リハビリテーション(リハ)病棟入院の脳梗塞者におけるBESTest,Mini-BESTest,Brief-BESTestの反応性を検討することである。

【方法】対象者は回復期リハ病棟入院の脳梗塞者21名(年齢75.1±11.0歳,男性12名,女性9名,入院期間76.5±50.3日)とした。測定は初期(入院後1ヵ月以内)と最終(退院前1ヵ月以内)の2回行い,測定項目はBrunnstrom Recovery Stage(BRS),BESTest,Mini-BESTest,Brief-BESTest,Berg Balance Scale(BBS),Functional Independence Measure(FIM)とした。統計学的検討は初期と最終の比較をBESTest各セクション,合計,Mini-BESTest,Brief-BESTest,BBS,FIMについては対応のあるt検定を用いて,BRSについてはWilcoxonの符号付順位検定を用いて行った(有意水準5%)。また,BESTest各セクション,合計,Mini-BESTest,Brief-BESTest,BBS,についてStandardized Response Mean(SRM)を算出した。SRMは2回の測定値の平均の差を2回の測定値の差の標準偏差で除して算出した。

【結果】初期測定時はBESTestセクションI65.4±28.1%,II81.0±23.2%,III59.3±28.6%,IV59.8±35.3%,V64.1±33.5%,VI45.8±32.6%,合計62.5±28.0%,Mini-BESTest13.1±7.5点,Brief-BESTest11.2±7.2点,BBS38.7±17.8点,FIM85.3±25.6点,BRS(中央値)上肢5,手指6,下肢5であった。最終測定時はBESTestセクションI77.1±25.7%,II88.7±15.1%,III69.0±26.7%,IV70.9±34.9%,V77.5±25.2%,VI62.1±35.2%,合計74.1±25.5%,Mini-BESTest17.0±7.6点,Brief-BESTest13.2±6.8点,BBS49.0±11.2点,FIM105.9±21.4点,BRS上肢6,手指6,下肢6であった。測定項目全てで初期に比較して最終において有意な増加を認めた。SRMはBESTestセクションI0.95,II0.57,III1.12,IV0.76,V0.90,VI0.92,合計1.41,Mini-BESTest1.32,Brief-BESTest0.68,BBS1.22であった。

【結論】回復期リハ病棟入院の脳梗塞者における反応性はBESTestセクションII,IV,Brief-BESTestは中等度であり,I,III,V,VI,合計,Mini-BESTest,BBSは高かった。反応性とはその評価指標が測定する構成概念の時間的変化における妥当性である。BESTest,Mini-BESTestはBBSよりもバランス能力の変化をとらえやすく,バランス能力を特徴化したり,介入の効果を客観化する上で有用である可能性が示唆された。今後は更に症例数を増やし詳細に検討する必要がある。