[P-NV-10-3] Berg Balance Scale(BBS)を用いた回復期脳卒中患者の年代別退院時バランス能力影響要因の検討
キーワード:脳卒中, バランス, 回復期
【はじめに,目的】
脳卒中理学療法において,バランス障害の評価は極めて重要である。バランス能力は歩行や日常生活動作の自立との関連性も高く,その回復や帰結傾向の理解は,早期より予後予測を行う医療職種にとって重要な課題と考えられる。今回,回復期病棟に入院した脳卒中患者を対象とし,BBSを用いて退院時バランス能力に与える因子を対象者の年代を考慮して検証した。
【方法】
2009年1月から2016年9月までに当院回復期リハビリテーション病棟を退院した脳卒中患者709名のうち,入院時BBS満点者・測定困難者,合併症治療のために転院した者を除いた412名(平均年齢69.9±11.9歳)を対象とした。また59歳以下A群(78名),60歳~69歳B群(105名),70~79歳C群(133名),80~99歳D群(97名)の4群に分類した。
退院時BBS合計得点(entBBS)および入院・退院時のBBSの差(BBS利得)を従属変数とし,年齢,入院時Functional Independence Measure合計(inFIM),入院時FIM運動項目合計(FIMm),入院時FIM認知項目合計(FIMc),入院時BBS合計得点(inBBS),在院日数,発症~当院入院までの日数,入院時下肢Stroke Impairment Assessment Setの合計得点(SIAS)を独立変数とする重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。有意水準は5%とした。
【結果】
entBBSについて,全世代ではinBBS(β=0.46),年齢(-0.19),FIMm(0.32),在院日数(0.16),発症~当院入院までの日数(-0.08),SIAS(0.11)が採択され,調整済み決定係数(R2)は0.630であった。A群ではinBBS(0.42),FIMm(0.33)が採択され,R2は0.512であった。B群ではnBBS(0.48),FIMm(0.31)が採択され,R2は0.547であった。C群ではinBBS(0.58),inFIM(0.41),在院日数(0.17)が採択され,R2は0.646であった。D群ではinBBS(0.74),inFIM(0.26),在院日数(0.22)が採択され,R2は0.690であった。
BBS利得について,全世代ではinBBS(-0.93),年齢(-0.21),FIMm(0.36),在院日数(0.18),転棟日数(-0.08),SIAS(0.13)が採択され,R2は0.535であった。A群においてinBBS(-1.072),FIMm(0.21)が採択され,R2は0.807であった。B群ではinBBS(-0.96),FIMm(0.30)が採択され,R2は0.579であった。C群ではinBBS(-0.77),inFIM(0.52),在院日数(0.22)が採択され,R2は0.419であった。D群ではinBBS(-0.60),FIMm(0.47),在院日数(0.36)が採択され,R2は0.315であった。
【結論】
退院時バランス能力を予測する上で年齢によらず,入院時バランス能力や日常生活動作能力の把握が重要であることが示唆された。ただし,発症時の年齢により影響要因・程度は異なり,退院時バランス能力を予測する上で,年齢に応じ多要因考慮が重要である可能性が示唆された。1施設による検討であり限界はあるものの,入院時能力評価の結果を,退院時のバランス能力予測の一助とすることは臨床的な意義がある。今後は他の関連項目の調査も重要な課題と考える。
脳卒中理学療法において,バランス障害の評価は極めて重要である。バランス能力は歩行や日常生活動作の自立との関連性も高く,その回復や帰結傾向の理解は,早期より予後予測を行う医療職種にとって重要な課題と考えられる。今回,回復期病棟に入院した脳卒中患者を対象とし,BBSを用いて退院時バランス能力に与える因子を対象者の年代を考慮して検証した。
【方法】
2009年1月から2016年9月までに当院回復期リハビリテーション病棟を退院した脳卒中患者709名のうち,入院時BBS満点者・測定困難者,合併症治療のために転院した者を除いた412名(平均年齢69.9±11.9歳)を対象とした。また59歳以下A群(78名),60歳~69歳B群(105名),70~79歳C群(133名),80~99歳D群(97名)の4群に分類した。
退院時BBS合計得点(entBBS)および入院・退院時のBBSの差(BBS利得)を従属変数とし,年齢,入院時Functional Independence Measure合計(inFIM),入院時FIM運動項目合計(FIMm),入院時FIM認知項目合計(FIMc),入院時BBS合計得点(inBBS),在院日数,発症~当院入院までの日数,入院時下肢Stroke Impairment Assessment Setの合計得点(SIAS)を独立変数とする重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。有意水準は5%とした。
【結果】
entBBSについて,全世代ではinBBS(β=0.46),年齢(-0.19),FIMm(0.32),在院日数(0.16),発症~当院入院までの日数(-0.08),SIAS(0.11)が採択され,調整済み決定係数(R2)は0.630であった。A群ではinBBS(0.42),FIMm(0.33)が採択され,R2は0.512であった。B群ではnBBS(0.48),FIMm(0.31)が採択され,R2は0.547であった。C群ではinBBS(0.58),inFIM(0.41),在院日数(0.17)が採択され,R2は0.646であった。D群ではinBBS(0.74),inFIM(0.26),在院日数(0.22)が採択され,R2は0.690であった。
BBS利得について,全世代ではinBBS(-0.93),年齢(-0.21),FIMm(0.36),在院日数(0.18),転棟日数(-0.08),SIAS(0.13)が採択され,R2は0.535であった。A群においてinBBS(-1.072),FIMm(0.21)が採択され,R2は0.807であった。B群ではinBBS(-0.96),FIMm(0.30)が採択され,R2は0.579であった。C群ではinBBS(-0.77),inFIM(0.52),在院日数(0.22)が採択され,R2は0.419であった。D群ではinBBS(-0.60),FIMm(0.47),在院日数(0.36)が採択され,R2は0.315であった。
【結論】
退院時バランス能力を予測する上で年齢によらず,入院時バランス能力や日常生活動作能力の把握が重要であることが示唆された。ただし,発症時の年齢により影響要因・程度は異なり,退院時バランス能力を予測する上で,年齢に応じ多要因考慮が重要である可能性が示唆された。1施設による検討であり限界はあるものの,入院時能力評価の結果を,退院時のバランス能力予測の一助とすることは臨床的な意義がある。今後は他の関連項目の調査も重要な課題と考える。