The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-11] ポスター(神経)P11

Fri. May 12, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-11-4] 乳癌多発骨転移にてC1-C2頸髄不全麻痺を呈したが,化学療法・リハビリテーションにて著明な機能改善が得られ自宅退院に至った一症例

小南 由衣1, 岡田 希美1, 本間 有夏1, 笠島 俊彦2, 小川 基1 (1.JA北海道厚生連札幌厚生病院理学療法技術科, 2.JA北海道厚生連札幌厚生病院整形外科)

Keywords:頸髄損傷, がんのリハビリテーション, 骨転移

【はじめに,目的】

乳がんは若年女性のがん罹患率第1位を占めており,発症後10年以上経過しても遠隔転移を起こす可能性が高い。特に骨転移は約30%の患者で発症し,疼痛,骨折や脊髄圧迫などにてADL・QOLが損なわれることが多い。今回乳癌多発骨転移にてC1-C2不全麻痺を呈し予後不良と診断され,リハビリテーション介入によりADL再獲得と自宅退院に至った症例を経験したため報告する。


【方法】

症例は52歳女性。X年6月頚部痛にて近医受診,頸椎カラー処方の他に貧血を指摘され当院紹介された。外来精査中に意識消失・呼吸麻痺出現・体動困難となり即入した。右乳癌stageIV(T4N3M1),多発骨転移(脊椎・両肩甲骨・両上腕骨・両大腿骨・骨盤,Tokuhashi Score:6点)に伴うC1-C2脱臼骨折による頸髄不全麻痺,肺転移,右腋窩・鎖骨上リンパ節転移と診断され,ホルモン療法レトロゾールと分子標的薬デノスマブが開始された。併せて当院整形外科にて硬性頸椎カラー装着となり,7月から理学療法(以下PT)を開始した。PT介入時,ASIA分類C,MMTは下肢2~3/2,上肢2-/1だが日差変動があり,右下肢が比較的一定に筋力発揮が可能であった。感覚は四肢・体幹共に鈍麻し遠位で優位に重度であった。呼吸麻痺症状消失し,嚥下・排便感覚は保たれていた(FIM48点:運動13/認知35)。本人へは病状のみの簡単な告知に留まり,障害受容が未熟で自宅退院を強く希望された。関節拘縮予防と残存機能維持として介入を開始した。


【結果】

PT開始後徐々に麻痺症状の改善がみられた。28日目右上肢リンパ浮腫発症し,リンパマッサージと弾性スリーブ装着を開始した。PT開始51日目整形外科医師より離床練習許可あり,リクライニング車椅子移乗を臥位状態から開始し,バイタル変動を見ながらティルト角度を徐々に増加させた。68日目平行棒立ち上がり練習,101日目平行棒内歩行練習,125日目起き上がり・端坐位保持自立,147日目ピックアップウォーカー歩行練習,154日目階段昇降練習,168日目ロフストランド杖歩行練習,176日目初回外泊実施,183日目独歩練習,227日目退院前家屋訪問実施し家屋改修・福祉用具選定実施,232日目に作業療法も介入開始。最終的に,自宅内は独歩自立,FIM113点:運動78/認知35まで改善し,244日目自宅退院となった。治療中薬量・種類変更なく副作用もなかった。


【結論】

本症例は,当初は予後不良にて緩和ケアも検討されていたが,化学療法とリハビリテーションの併用に著明な機能改善を認め自宅退院が可能となった。ホルモン療法単独でCA15-3:212.1→180.5U/mlまで減少し腫瘍縮小と進行停滞に著効が得られ,分子標的薬にて頸椎亜脱臼位での骨硬化が得られ脊髄麻痺症状がショック期より順調に回復が認められた。この治療効果に合わせて,リスク管理に留意しながらも積極的にリハビリテーションを進めることでADLの再獲得が得られ,QOL向上に寄与することが可能であった。