The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-17] ポスター(神経)P17

Sat. May 13, 2017 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-17-3] 脳卒中発症から装具歩行練習開始までの日数と,回復期病棟退院時の歩行能力との関係

都志 翔太1, 木内 隆裕2, 土山 裕之1 (1.金沢脳神経外科病院リハビリテーション部, 2.森ノ宮医療大学保健医療学部理学療法学科)

Keywords:脳卒中, 装具療法, 歩行能力

【はじめに,目的】

脳卒中治療ガイドライン2015や理学療法診療ガイドライン第1版において,装具を使用した歩行練習(以下,装具歩行練習)が推奨されている。しかし,装具装着による即時変化に着目した報告が多く,発症早期からの継続的な装具歩行練習の効果は検証されていない。そこで本研究では,脳卒中発症後から装具歩行練習の開始までに要した日数が,回復期病棟退院時の歩行能力にどのように影響を与えているのかを検証することを目的とした。

【方法】

対象は2011年4月~2016年3月までの期間で当院入院後,下肢装具を作製した149例とした。対象者のうち,装具歩行練習が発症から1週間以内に開始された43例(A群),2週間以内に開始された49例(B群),2週間以降に開始された56例(C群)の3群に分類した。調査項目として,対象者属性(年齢・性別・疾患名),リハビリテーション(以下,リハ)開始日,発症から装具歩行練習開始までの日数,発症時の下肢Brunnstrom recovery stage(以下,BRS),退院時Functional Independence Measure(以下,FIM)歩行項目をカルテより後方視的にデータを抽出した。統計学的検討として,Kruskal-Wallis検定を用いた後Scheffe法による多重比較により3群間の退院時FIM歩行項目を比較した。また,運動麻痺の影響を考慮し,退院時FIM歩行項目に影響する因子を抽出するため重回帰分析を行い,退院時FIM歩行項目の回帰モデルを求めた。従属変数を年齢,リハ開始日,装具歩行開始日,発症時の下肢BRSとして回帰式に投入した。統計ソフトはJSTAT for Windowsを使用し,有意水準は5%未満とした。

【結果】

退院時FIM歩行項目は,A群5.7±0.1,B群5.0±0.2,C群4.1±0.2でA群とB群(p<0.05),A群とC群(p<0.01)で有意差を認めた。退院時FIM歩行項目と各変数との相関は,年齢(r=-0.39),リハ開始日(r=-0.15),装具歩行開始日(r=-0.25),発症時の下肢BRS(r=0.21)のいずれにおいても有意であった。重回帰分析の結果,退院時FIM歩行項目に影響する因子として全ての従属変数が選択され,推定された重回帰式の決定係数はR2=0.36であった。

【結論】

今回の調査から,装具歩行練習を早く開始する群ほど歩行能力が高く,本研究で抽出した因子では,退院時FIM歩行項目の36%を説明できた。