[P-NV-24-1] 回復期脳卒中患者における生活意欲が自宅退院に与える影響
Keywords:脳卒中患者, 生活意欲, 自宅退院
【はじめに・目的】
リハビリテーション(以下リハ)において生活意欲がADL改善に影響することが報告されている。回復期リハ病棟では自宅退院が成果指標の一つとされており,自宅退院に影響する因子として退院時FIMや家族人数,介護力などが挙げられている。しかしながら,生活意欲が自宅退院に影響を与えるかどうかについて未だ明らかとなっていない。そこで本研究では回復期脳卒中患者を対象として生活意欲と自宅退院の関係を明らかにすることである。
【方法】
対象は脳卒中患者67名とし,採用基準は発症後30日以上経過した者,除外基準は重度の意識低下,指示理解が困難な者,不安定な全身状態により積極的なリハが行えない者とした。評価は主要項目として生活意欲の評価指標であるVitality index(以下VI),副次項目としてFIM運動項目,認知項目,Stroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)とし,それぞれの評価を発症から30日時点で実施した。
対象者を直接自宅に退院した群(以下自宅群)と自宅以外に退院した(以下施設群)の2群に分けた。先行研究を参考に①年齢,②入院日数,③VI,④FIM運動項目,⑤FIM認知項目,⑥SIAS,⑦同居人数の項目をそれぞれ転帰に影響を及ぼす変数として抽出した。統計分析は,まず単変量解析として変数を群間で比較した。その際,年齢,入院日数,同居人数に対しては対応のないt検定を,VI,FIM運動項目,認知項目,SIASに対してはMann-WhitneyのU検定をそれぞれ行った。さらに自宅退院因子を明らかにするために単変量解析にて有意差を認めた項目を説明変数に投入し,自宅退院か否かを目的変数としてロジスティック回帰分析を行った。その際,妥当性を高めるために変数増加法を用いた。すべての検定はFree JSTAT ver13.0 for Windowsを用い有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象者は自宅群が49名,施設群が18名であった。単変量解析の結果,VI,FIM運動項目,認知項目,SIAS,同居人数に有意差が認められた。また,単変量解析にて有意差が認められた5項目を説明変数としたロジスティック回帰分析の結果,VI(オッズ比1.81,p=0.048)と同居人数(オッズ比2.38,p=0.036)に有意差が認められた。このモデルの判別的中率は85.1%であった。
【結論】
ロジスティック回帰分析の結果,VIと同居人数が自宅退院に影響する因子として抽出された。発症30日時点ではVIが他の項目より有意に自宅退院の予測が可能であった。意欲はADLや身体機能の改善,介護負担感などに関連すると言われている。日常生活場面で対象者が能動的に参加することが,自宅環境で生活していくために重要となると考えられる。また,同居人数については,脳卒中患者を対象とした先行研究と同様の結果であった。脳卒中患者を対象とした場合,退院後に何らかの介助を要する者も多く,同居人数が重要な因子であると考えられる。
リハビリテーション(以下リハ)において生活意欲がADL改善に影響することが報告されている。回復期リハ病棟では自宅退院が成果指標の一つとされており,自宅退院に影響する因子として退院時FIMや家族人数,介護力などが挙げられている。しかしながら,生活意欲が自宅退院に影響を与えるかどうかについて未だ明らかとなっていない。そこで本研究では回復期脳卒中患者を対象として生活意欲と自宅退院の関係を明らかにすることである。
【方法】
対象は脳卒中患者67名とし,採用基準は発症後30日以上経過した者,除外基準は重度の意識低下,指示理解が困難な者,不安定な全身状態により積極的なリハが行えない者とした。評価は主要項目として生活意欲の評価指標であるVitality index(以下VI),副次項目としてFIM運動項目,認知項目,Stroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)とし,それぞれの評価を発症から30日時点で実施した。
対象者を直接自宅に退院した群(以下自宅群)と自宅以外に退院した(以下施設群)の2群に分けた。先行研究を参考に①年齢,②入院日数,③VI,④FIM運動項目,⑤FIM認知項目,⑥SIAS,⑦同居人数の項目をそれぞれ転帰に影響を及ぼす変数として抽出した。統計分析は,まず単変量解析として変数を群間で比較した。その際,年齢,入院日数,同居人数に対しては対応のないt検定を,VI,FIM運動項目,認知項目,SIASに対してはMann-WhitneyのU検定をそれぞれ行った。さらに自宅退院因子を明らかにするために単変量解析にて有意差を認めた項目を説明変数に投入し,自宅退院か否かを目的変数としてロジスティック回帰分析を行った。その際,妥当性を高めるために変数増加法を用いた。すべての検定はFree JSTAT ver13.0 for Windowsを用い有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象者は自宅群が49名,施設群が18名であった。単変量解析の結果,VI,FIM運動項目,認知項目,SIAS,同居人数に有意差が認められた。また,単変量解析にて有意差が認められた5項目を説明変数としたロジスティック回帰分析の結果,VI(オッズ比1.81,p=0.048)と同居人数(オッズ比2.38,p=0.036)に有意差が認められた。このモデルの判別的中率は85.1%であった。
【結論】
ロジスティック回帰分析の結果,VIと同居人数が自宅退院に影響する因子として抽出された。発症30日時点ではVIが他の項目より有意に自宅退院の予測が可能であった。意欲はADLや身体機能の改善,介護負担感などに関連すると言われている。日常生活場面で対象者が能動的に参加することが,自宅環境で生活していくために重要となると考えられる。また,同居人数については,脳卒中患者を対象とした先行研究と同様の結果であった。脳卒中患者を対象とした場合,退院後に何らかの介助を要する者も多く,同居人数が重要な因子であると考えられる。