[P-NV-24-3] 回復期脳卒中患者を対象とした加速度活動量計の歩数検出精度の検討
Keywords:加速度活動量計, 脳卒中, 歩数検出精度
【はじめに,目的】
加速度活動量計を用いて一日の活動量を測定する方法は,多分野で報告され医学管理上の有用性が報告されている。1軸式加速度活動量計(スズケン ライフコーダGS:LC)と3軸式加速度活動量計(スズケンe-style2:ES2)は,歩行運動か否かで微小運動を判別し,エネルギー消費量を算出する性能から,正確に歩行運動を検出する必要がある。健常者での歩数検出精度は,1軸式に比べ3軸式加速度活動量計では低速度の歩行でも誤差が少ないと報告されるが,脳卒中患者での検討は少ない。今回,当院回復期病棟入棟した歩行可能な脳卒中患者に対して1軸式と3軸式加速度活動量計の歩数検出精度について検討したので報告する。
【方法】
2016年9月から10月に当院回復期病棟に入棟した脳卒中患者で,60mを軽度介助(FAC2)以上で歩行可能な21例(平均年齢71.5±9.9歳,男性15例,女性6例)に対し,LCとES2を腰ベルト(臍部下)に装着し,60mを至適速度にて歩行した。歩数の実測数と両活動量計の歩数カウンター数を計測し誤差率を算出した。また,歩行路の所定10m区間の歩行速度を算出した。(1)活動量計間の誤差率を対応のあるt検定を用いて比較した。(2)両活動量計の誤差率と歩行速度・12段階片麻痺機能検査との関連性をSpearmanの相関係数にて検討した。歩行速度が,50~59.9(50m/min)・60~69.9(60 m/min)・70~79(70 m/min)の対象者を3群に分類し,(3)各群の両活動量計誤差率を,既存平均誤差率と1標本t検定を用いて比較した。(4)活動量計毎に3群の誤差率を,Games-Howell検定を用い比較した。有意水準5%未満とし,統計処理はSPSSver.19を使用した。
【結果】
(1)LCとES2の誤差率に,有意差は認められなかった。(2)歩行速度とLC・ES2誤差率それぞれの間に高い負の相関が認められた(LC・ES2共にp<0.01)。下肢運動麻痺とLC・ES2誤差率それぞれの間に負の相関が認められた(LC・ES2共にp<0.05)。(3)LC・ES2誤差率共に,60m/min群で有意差が認められた(LC:p<0.05,ES2:p<0.05)。(4)ES2誤差率共に50m/minと60・70m/min間,60m/minと70m/min間に有意差が認められた(LC:p<0.05,ES2:50minと60min間はp<0.01,その他はp<0.05)。
【結論】本研究からは,3軸式加速度活動量計であるES2の歩数検出精度の優位性はみられなかった。複数の報告から,健常者は歩行速度60m/min以下で誤差が増大するとされるが,本対象の脳卒中患者では70m/min以下で誤差が増大した。また,70m/min以上では,JIS性能規定±3%以内と良好な結果であった。誤差が増大した要因として,下肢運動麻痺と誤差率に相関がみられた事から,脳卒中患者特有の歩容が影響した可能性がある。脳卒中患者の加速度活動量計の測定値と身体機能評価と相関がみられるとの報告もあるが,活動量の計測を目的とした場合,70m/min以下の脳卒中患者に対しては,同一患者への相対的な比較に留める事が望ましいと考える。
加速度活動量計を用いて一日の活動量を測定する方法は,多分野で報告され医学管理上の有用性が報告されている。1軸式加速度活動量計(スズケン ライフコーダGS:LC)と3軸式加速度活動量計(スズケンe-style2:ES2)は,歩行運動か否かで微小運動を判別し,エネルギー消費量を算出する性能から,正確に歩行運動を検出する必要がある。健常者での歩数検出精度は,1軸式に比べ3軸式加速度活動量計では低速度の歩行でも誤差が少ないと報告されるが,脳卒中患者での検討は少ない。今回,当院回復期病棟入棟した歩行可能な脳卒中患者に対して1軸式と3軸式加速度活動量計の歩数検出精度について検討したので報告する。
【方法】
2016年9月から10月に当院回復期病棟に入棟した脳卒中患者で,60mを軽度介助(FAC2)以上で歩行可能な21例(平均年齢71.5±9.9歳,男性15例,女性6例)に対し,LCとES2を腰ベルト(臍部下)に装着し,60mを至適速度にて歩行した。歩数の実測数と両活動量計の歩数カウンター数を計測し誤差率を算出した。また,歩行路の所定10m区間の歩行速度を算出した。(1)活動量計間の誤差率を対応のあるt検定を用いて比較した。(2)両活動量計の誤差率と歩行速度・12段階片麻痺機能検査との関連性をSpearmanの相関係数にて検討した。歩行速度が,50~59.9(50m/min)・60~69.9(60 m/min)・70~79(70 m/min)の対象者を3群に分類し,(3)各群の両活動量計誤差率を,既存平均誤差率と1標本t検定を用いて比較した。(4)活動量計毎に3群の誤差率を,Games-Howell検定を用い比較した。有意水準5%未満とし,統計処理はSPSSver.19を使用した。
【結果】
(1)LCとES2の誤差率に,有意差は認められなかった。(2)歩行速度とLC・ES2誤差率それぞれの間に高い負の相関が認められた(LC・ES2共にp<0.01)。下肢運動麻痺とLC・ES2誤差率それぞれの間に負の相関が認められた(LC・ES2共にp<0.05)。(3)LC・ES2誤差率共に,60m/min群で有意差が認められた(LC:p<0.05,ES2:p<0.05)。(4)ES2誤差率共に50m/minと60・70m/min間,60m/minと70m/min間に有意差が認められた(LC:p<0.05,ES2:50minと60min間はp<0.01,その他はp<0.05)。
【結論】本研究からは,3軸式加速度活動量計であるES2の歩数検出精度の優位性はみられなかった。複数の報告から,健常者は歩行速度60m/min以下で誤差が増大するとされるが,本対象の脳卒中患者では70m/min以下で誤差が増大した。また,70m/min以上では,JIS性能規定±3%以内と良好な結果であった。誤差が増大した要因として,下肢運動麻痺と誤差率に相関がみられた事から,脳卒中患者特有の歩容が影響した可能性がある。脳卒中患者の加速度活動量計の測定値と身体機能評価と相関がみられるとの報告もあるが,活動量の計測を目的とした場合,70m/min以下の脳卒中患者に対しては,同一患者への相対的な比較に留める事が望ましいと考える。