第52回日本理学療法学術大会

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[P-NV-26] ポスター(神経)P26

2017年5月14日(日) 11:40 〜 12:40 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-26-5] Body mass indexと血清アルブミン値の組み合わせが機能回復に及ぼす影響
回復期脳卒中患者における検討

木村 鷹介1,2, 山田 実2, 石山 大介2, 西尾 尚倫2, 阿部 祐樹2, 田中 友也2, 佐藤 惇史2, 小山 真吾2, 音部 雄平2, 國枝 洋太3, 濱中 康治1, 田中 尚喜1, 室生 祥1 (1.JCHO東京新宿メディカルセンター, 2.筑波大学大学院人間総合科学研究科, 3.東京都済生会中央病院)

キーワード:脳卒中, 栄養状態, 機能回復

【はじめに,目的】脳卒中患者の機能回復を予測することは重要であり,先行研究では,年齢や認知機能など様々な因子が機能回復に関連すると報告されている。また,栄養状態も機能回復に関連する因子であり,その指標としてBody mass index(以下BMI)や血清アルブミン値(以下Alb)などが用いられている。しかし,BMIやAlbを単独で用いた先行研究では,機能回復に及ぼす影響について一定の見解は得られていない。近年,栄養状態の評価では複数の指標を組み合わせることが推奨されており,BMIとAlbについても組み合わせることでより鋭敏に栄養状態を捉えられる可能性がある。そこで,本研究の目的は,BMIとAlbの組み合わせが回復期脳卒中患者の機能回復に及ぼす影響を明らかにすることとした。


【方法】デザインは後ろ向き観察研究とした。対象は2011年4月から2016年3月の間に当院回復期病棟に入棟していた脳卒中患者253例とした(平均年齢68.9±12.3歳,男性67.2%)。包含基準は,一側性の大脳半球損傷であった者,発症前ADLが自立していた者,入棟時に経口摂取が可能であった者とした。除外基準は,入棟時のBMIが27.5kg/m2以上であった者,入棟中に医学的状態が増悪した者とした。調査項目は,入棟時のBMIとAlbに加えて年齢,性別,脳卒中の病型,脳の損傷側,発症から入棟までの日数,入棟期間,併存疾患,Brunnstrom stage,半側空間無視の有無,失語の有無,FIMとした。本研究では,BMIについては18.5kg/m2未満を低BMI,Albについては3.5g/dL未満を低Albと定義して2値化し,それぞれの組み合わせによって対象者を4群に分類した(Group1;低BMI×低Alb,Group2;低BMI×Alb正常,Group3;BMI正常×低Alb,Group4;BMI正常×Alb正常)。アウトカム指標にはMotor-FIM effectivenessを用いた。本研究では,Motor-FIM effectivenessの第1四分位以下を機能回復不良と定義した。統計解析では,従属変数にMotor-FIM effectivenessを,説明変数にBMIとAlbの組み合わせを,さらに調整変数に単変量解析にてp<.10であった項目を投入したロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った。


【結果】Group1は23名(76.1±10.5歳,男性52.2%),Group2は23名(72.0±11.4歳,60.9%),Group3は80名(71.7±11.5歳,70.0%),Group4は127名(65.1±11.2歳,69.2%)であった。全対象者におけるMotor-FIM effectiveness(平均値±標準偏差)は0.51±0.30であった。そのうち,Group1は0.30±0.21,Group2は0.38±0.22,Group3は0.46±0.27,Group4は0.60±0.30であった。ロジスティック回帰分析の結果,Group4をreferenceとした際に,Group1の調整済みオッズ比(95%CI,p値)は4.13(1.53-11.15,p<.01),Group2は2.69(1.03-7.08,p<.05),Group3は2.15(1.10-4.21,p<.05)であった。


【結論】脳卒中患者の機能回復は,低BMIと低Albを併せ持った場合に最も不良となる可能性が示された。