The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-27] ポスター(神経)P27

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-27-4] メンタルローテーション課題の画像提示時間と脳活動との関係

岡本 尚樹, 太田 拓也, 薦田 昭宏 (だいいちリハビリテーション病院)

Keywords:メンタルローテーション, 画像提示時間, 脳活動

【はじめに,目的】

メンタルローテーション(以下MR)は反応時間の速さと運動イメージ想起能力が実際の運動能力にも関与していると報告されている。楠元ら(2014)のMR反応時間と脳活動についての研究では運動イメージ想起には,時間的余裕を与える必要性も示唆されている。MRで運動イメージ想起を目的とする場合,画像提示時間の設定で一定の見解が得られていない為,今回脳機能イメージング手法を用いて課題提示時間の検討を行った。

【方法】

対象者は健常成人11名(男性5名,女性6名,年齢24.4±3.6歳)とした。脳血流酸素動態の測定には,ETG-4000(HITACHI社製光トポグラフィ装置)を使用した。プローブ1を前頭部に送光プローブ8本(T11~T18),受光プローブ7本(R11~R17)の計15本(3×5)22チャンネル(以下ch),プローブ2を頭頂部に送光プローブ8本(T21~T28)および受光プローブ8本(R21~R28)の計16本(4×4)24chを被験者の頭部に覆った。脳波測定法の国際10-20法におけるCz(正中中心部)の位置をプローブ2のT25とR26の間に設定した。MRは安静座位にてPC上に足部画像(足背・足底・内側・外側)40枚をランダム提示した。画像は時計回りに15°刻みで回転させ,各画像提示間に口頭で左右判断させた。MR画像提示間が1秒間のもの(条件A),5秒間のもの(条件B)の課題正答率を算出し,課題遂行時の脳活動測定を行った。安静5秒―遂行時―安静5秒とし遂行時の脳血流量を測定した。先行研究でMRの正答率がデータ解析に必要なのは80%とされており,条件Aで正答率80%以上が6名であり,この6名での条件AとBとの比較を行った。解析は,各chの酸素化ヘモグロビン(以下oxy-Hb)測定開始時の値を0とした時の相対的変化量(mM/mm)の平均値を算出し,paired t test用い有意水準は5%未満とした。

【結果】

正答率は条件Aで80%以上が6名(平均91.7±8.5%),80%以下が5名(平均61.0±10.1%)であった。条件Bでは全例80%以上(平均96.1±4.1%)であった。oxy-Hbではプローブ2(頭頂葉領域)では両条件に有意差を認めず,条件A,Bで同程度の活動を認めた。プローブ1はch6(左前頭葉領域)で条件Aに有意な脳血流量の増加を認めた(p<0.05)。

【考察】

諸家の報告よりMR課題には頭頂連合野や運動前野,前頭前野が関与し,身体イメージを基本にして運動イメージを想起していると言われている。両群間の頭頂葉に脳活動の有意差を認めなかったのは,MRは潜在的な感覚識別課題であり,頭頂連合野の活動は画像提示時間の要素は影響されない可能性が示唆される。しかし条件Aで前頭葉の活動が上昇していた。先行研究ではMRの脳活動の経時的変化で,370mscで前頭前野の活動が認められていたと報告されており,運動野を賦活する場合は短時間での処理が必要と考える。