[P-NV-28-1] 精神疾患を合併した急性期脳卒中患者の身体的,社会的特徴について
Keywords:脳卒中, リハビリテーション, 精神疾患
【はじめに,目的】
近年,社会的情勢の変化により,うつ病を中心に精神疾患患者が増加している。当院でも精神疾患患者に対してリハビリテーションが介入することが多々ある。精神疾患を合併している患者は,患者要因,家族要因,医療スタッフの要因,外的環境の要因,病棟環境の要因のため退院が阻害されると言われているが,精神疾患を合併した脳卒中患者のリハビリテーション(以下:リハ)についての検討はなされていない。そこで,精神疾患を合併した脳卒中患者と,精神疾患のない脳卒中患者を比較し,身体的,社会的特徴を明らかにすることとした。
【方法】
調査期間は,2007年7月から2013年9月とした。当院脳神経外科に脳卒中で入院した患者のうち,理学療法を施行した785例を対象とした。なお,一過性脳虚血発作とくも膜下出血は除外とした。統合失調症またはうつ病にて当院精神科に通院歴のある18例を精神疾患群とした。精神疾患の既往歴のない脳卒中患者721例より,ランダムに抽出した49例をコントロール群とした。検討項目は診療録およびリハ診療録より年齢,性別,病型,在院日数,リハ実施日数,発症から入院までの日数,リハ開始時意識レベル,リハ終了時意識レベル,リハ開始時運動麻痺,リハ終了時運動麻痺,発症前ADL,退院時ADL,家族状況,経済状況,転帰についてデータを抽出した。意識レベルはJapan coma scale用いた。運動麻痺はBrunnstrom recovery stageを用い,上肢・手指・下肢を評価した。ADLの評価はmodified Rankin Scale(以下:mRS)を使用した。家族状況は独居,家族同居の2群,経済状況は,生活保護,問題なしの2群,転帰は自宅退院,リハ病院転院,施設転院の3群に群分けした。在院日数,リハ実施日数,意識レベル,運動麻痺,ADL,家族状況,経済状況,転帰について比較検討を行った。統計学的手法は,独立した対応のあるt検定とχ2検定にて行い,有意水準は5%とした。統計ソフトは,SPSS Statistics(ver.22)を使用した。
【結果】
年齢は精神疾患群68.3±10.6歳,コントロール群は71.0±9.7歳であった。精神疾患群の性別は男性7例,女性11例,コントロール群は男性34例,女性15例であった。精神疾患群の病型は脳出血6例,脳梗塞12例,コントロール群は脳出血16例,脳梗塞33例であった。在院日数,リハ実施日数,意識レベル,運動麻痺,家族状況,経済状況,転帰については有意差を認めなった。統計学的有意差を認めたのは,発症から入院までの日数(精神疾患群4.2±7.0日,コントロール群1.5±1.4日)と入院前mRS(精神疾患群1.2±1.6,コントロール群0.4±1.0)であった。
【結論】
精神疾患群とコントロール群の比較では,在院日数やリハ実施期間,意識レベル,運動麻痺,転帰などに明らかな差は認めなかった。しかし,発症から入院までの期間,入院前mRSに差が認められるという特徴が明らかとなった。
近年,社会的情勢の変化により,うつ病を中心に精神疾患患者が増加している。当院でも精神疾患患者に対してリハビリテーションが介入することが多々ある。精神疾患を合併している患者は,患者要因,家族要因,医療スタッフの要因,外的環境の要因,病棟環境の要因のため退院が阻害されると言われているが,精神疾患を合併した脳卒中患者のリハビリテーション(以下:リハ)についての検討はなされていない。そこで,精神疾患を合併した脳卒中患者と,精神疾患のない脳卒中患者を比較し,身体的,社会的特徴を明らかにすることとした。
【方法】
調査期間は,2007年7月から2013年9月とした。当院脳神経外科に脳卒中で入院した患者のうち,理学療法を施行した785例を対象とした。なお,一過性脳虚血発作とくも膜下出血は除外とした。統合失調症またはうつ病にて当院精神科に通院歴のある18例を精神疾患群とした。精神疾患の既往歴のない脳卒中患者721例より,ランダムに抽出した49例をコントロール群とした。検討項目は診療録およびリハ診療録より年齢,性別,病型,在院日数,リハ実施日数,発症から入院までの日数,リハ開始時意識レベル,リハ終了時意識レベル,リハ開始時運動麻痺,リハ終了時運動麻痺,発症前ADL,退院時ADL,家族状況,経済状況,転帰についてデータを抽出した。意識レベルはJapan coma scale用いた。運動麻痺はBrunnstrom recovery stageを用い,上肢・手指・下肢を評価した。ADLの評価はmodified Rankin Scale(以下:mRS)を使用した。家族状況は独居,家族同居の2群,経済状況は,生活保護,問題なしの2群,転帰は自宅退院,リハ病院転院,施設転院の3群に群分けした。在院日数,リハ実施日数,意識レベル,運動麻痺,ADL,家族状況,経済状況,転帰について比較検討を行った。統計学的手法は,独立した対応のあるt検定とχ2検定にて行い,有意水準は5%とした。統計ソフトは,SPSS Statistics(ver.22)を使用した。
【結果】
年齢は精神疾患群68.3±10.6歳,コントロール群は71.0±9.7歳であった。精神疾患群の性別は男性7例,女性11例,コントロール群は男性34例,女性15例であった。精神疾患群の病型は脳出血6例,脳梗塞12例,コントロール群は脳出血16例,脳梗塞33例であった。在院日数,リハ実施日数,意識レベル,運動麻痺,家族状況,経済状況,転帰については有意差を認めなった。統計学的有意差を認めたのは,発症から入院までの日数(精神疾患群4.2±7.0日,コントロール群1.5±1.4日)と入院前mRS(精神疾患群1.2±1.6,コントロール群0.4±1.0)であった。
【結論】
精神疾患群とコントロール群の比較では,在院日数やリハ実施期間,意識レベル,運動麻痺,転帰などに明らかな差は認めなかった。しかし,発症から入院までの期間,入院前mRSに差が認められるという特徴が明らかとなった。