The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本神経理学療法学会 » ポスター発表

[P-NV-30] ポスター(神経)P30

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本神経理学療法学会

[P-NV-30-5] 重症脳卒中患者の退院時ADLに影響を与える因子の検討

山田 恵美加1, 大川 雄一郎1, 池田 法子1, 神戸 晃男1, 鳥越 恵一郎2, 影近 謙治2 (1.金沢医科大学病院医療技術部心身機能回復技術部門リハチーム, 2.金沢医科大学病院運動機能病態学リハビリテーション科)

Keywords:脳卒中, ADL, 予測因子

【はじめに,目的】回復期病棟においてFunctional Independence Measure(以下FIM)を用い入院時と退院時の日常生活活動(以下ADL)変化を比較しリハビリテーション効果指標として検討したものは多く報告されているが,急性期病棟で発症早期からの退院時の長期的なFIMの検討を行ったものは少ない。今回,重症脳卒中患者の退院時のADLに影響を与える因子についてFIMを使用し検討したので報告する。

【方法】対象は,2009年10月~2016年2月の間に当院脳神経外科・神経内科に入院し,リハビリテーション処方がなされた初発の脳梗塞・脳出血患者で発症2週目でのFIM運動項目が50点未満であった43名(男性27名,女性16名,平均年齢66.7±12.3歳,病型は脳梗塞17名,脳出血26名)である。除外基準は①発症から2週時のFIMの運動項目(以下運動FIM)が50点以上,②重篤な合併症や併存症,③整形外科的疾患による著しい疼痛,④治療期間中に再発や麻痺の増悪,⑤治療期間中に外科的・内科的疾患により他科への転科・外科的治療・安静制限があったものとした。診療録より基礎情報,ADLの指標として発症日から2週と退院時の運動FIMスコアを抽出した。次にADL改善度として退院時の運動FIMスコアから2週の運動FIMスコアを引いて運動FIM利得(以下FIM利得)をそれぞれ算出し,FIMの高改善群・低改善群に分けた。次に,性別・年齢(70歳以上群・70歳未満群)・麻痺側・上下肢の運動麻痺の程度(分離群・非分離群)・病型別・高次脳機能障害の有無・深部感覚障害の有無・発症2週での認知FIM(20点以上・20点未満)により,FIM改善に差があるのかを比較検討した。統計処理は各因子と運動FIM改善度をカイ2乗検定を使用し,有意水準を5%未満とした。

【結果】運動FIMスコアの平均点は,発症から2週時で22.4±11.3点,退院時59.2±26.9点であった。FIM利得の平均点は36.8±22.5点であった。FIM利得と各因子では年齢に有意差(p<0.05)を認め,性別,高次脳機能障害の有無,2週時の認知FIMスコア,麻痺側,上肢運動麻痺,下肢運動麻痺,病型,深部感覚障害の有無では有意差を認めなかった。

【結論】発症から2週時の運動FIM得点は平均で36.8点程度の改善が認められた。今回の調査は2週時の運動FIMスコアが50点未満のセルフケア全介助群を対象としている。しかし,半数以上が退院時の運動FIMスコアが70点以上の運動FIM自立まで到達している。また,今回の結果ではADLの改善には年齢が最も影響していると考えられ,若年者において有意に改善がみられた。また,発症2週時の運動麻痺の程度や認知機能が低くともADLの改善が見込まれる事が示唆された。今後は症例数を増やし,年齢層別,高次脳機能障害の種類,病巣などさらなる検討を行っていく必要があると考える。