The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本呼吸理学療法学会 » ポスター発表

[P-RS-05] ポスター(呼吸)P05

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本呼吸理学療法学会

[P-RS-05-1] 重症敗血症患者におけるICU関連筋力低下発症に対する早期集中リハビリテーションと通常治療との差異

中田 歩美香1, 西原 浩真1, 井澤 和大2, 瀬尾 龍太郎3, 北井 豪4, 岩田 健太郎1 (1.神戸市立医療センター中央市民病院リハビリテーション技術部, 2.神戸大学大学院保健学研究科, 3.神戸市立医療センター中央市民病院救急部, 4.クリーブランドクリニック循環器内科)

Keywords:敗血症, ICU関連筋力低下, 早期リハビリテーション

【はじめに,目的】

ICU関連筋力低下(ICUAW)はICU入室中に発症し,疾患の発症やその治療過程に随伴する他の要因によって定義できない四肢の筋力低下である。また,これは人工呼吸器装着期間が遷延している患者の約25%に発症し,人工呼吸器(MV)の離脱を遅延させ,死亡率の上昇とも関連がある。特に,敗血症や多臓器不全の患者においては,高率に合併することが知られている。先行研究では,ICUAWの予防や治療法の一つとして,早期離床が考えられている。しかし,その効果については明らかではない。本研究の目的は,挿管下人工呼吸器管理(IPPV)の敗血症患者におけるICUAW発症に対する早期集中リハと通常治療の差異について明らかにすることである。当院では2014年より専従PTによる早期集中リハビリテーション(リハ)を開始した。なお2013年,2014年とも無鎮静にて人工呼吸管理が行われている。

【方法】

対象は,2013年5~12月までの当院ICU入室患者でリハ介入した連続359例中,IPPV3日間以上の連続40例(通常治療群)と2014年5~12月までの当院ICU入室患者でリハ介入した連続460例中,IPPV3日間以上の連続61例(早期集中リハ群)の計101例である。101例中本研究における取り込み基準は敗血症患者,除外基準は死亡例・脳神経外科例である。検討項目は年齢,性別,RASS,APACHEIIスコア,daily ICU insulin,ICU入室中のPT実施単位数/ICU入室期間,離床開始日数,Ventilator-free days(VFD),リハ開始日数,離床開始日数,ICU滞在日数,在院日数,退院時独歩,そしてICUAW発症率である。これらの項目について両群間における比較検討を行った。統計学的手法にマンホイットニーのU検定とχ2条検定を用いた。有意差判定基準は5%とした。

【結果】

全101例中,最終解析対象は,通常治療群8例,早期集中リハ群11例であった。年齢,性別,APACHEIIスコア,daily ICU insulin,Ventilator-free days(VFD),ICU滞在日数,在院日数においては群間に差はなかった。早期集中リハ群は,通常治療群に比し,RASS(-0.18±0.40 vs. -1.56±1.88日,p=0.029),ICU入室中のPT実施単位数/ICU入室期間(1.14±0.36 vs. 0.64±0.19日,p<0.001)リハ開始(1.4±0.9 vs. 2.4±0.7日,p=0.02)及び離床開始日数(3.3±1.3 vs. 4.5±3.7日,p=0.004),退院時独歩(27.3% vs. 12.5%,p=0.01),ICUAW発症率(45.5% vs. 87.5%,p=0.03)に差を認めた。

【結論】

専従PT配置による早期集中リハは,通常治療に比し,人工呼吸管理下敗血症患者の退院時の歩行自立率の改善およびICUAWの抑制に寄与する可能性がある。