第52回日本理学療法学術大会

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日本呼吸理学療法学会 » ポスター発表

[P-RS-05] ポスター(呼吸)P05

2017年5月14日(日) 11:40 〜 12:40 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本呼吸理学療法学会

[P-RS-05-3] 高齢誤嚥性肺炎患者における48時間以内の早期離床の効果

上原 光司1, 重留 美咲1, 俵屋 章則1, 欅 篤2 (1.社会医療法人愛仁会高槻病院技術部リハビリテーション科, 2.社会医療法人愛仁会高槻病院診療部リハビリテーション科)

キーワード:誤嚥性肺炎, 早期離床, 経口摂取

【はじめに,目的】

現在日本人の死亡原因の中で,肺炎は年間12万人を超え2011年に脳血管疾患を抜いて,がん,心疾患に次ぐ第3位となった。また肺炎による死亡の内訳は,95%以上が65歳以上の高齢者で70%以上が誤嚥に関係していると言われている。そのため誤嚥性肺炎は再燃性で致死率も高く,高齢社会に伴い今後も増加すると予測され,当院でも増加傾向にある。近年では,理学療法士による早期のリハビリテーションは重度の誤嚥性肺炎の高齢者患者に対して,30日以内の院内死亡率減少に関連すると報告されるなど,誤嚥性肺炎患者にも不要な安静臥床による廃用症候群を予防するべく早期離床がすすめられている。そこで今回,理学療法士の行う早期離床が高齢誤嚥性肺炎患者にどのような影響を与えているか比較検討した。


【方法】

対象は,当院で誤嚥性肺炎と診断されリハビリテーションの依頼が入院後96時間以内にあった患者で,死亡退院患者,入院前から経管栄養患者,離床不能患者を除いた123名を診療録から後方視的に調査した。まず理学療法士が入院後48時間未満に離床(端座位)した群(早期群)と,48時間以降群(遅延群)の2群に分けた。そして年齢,性別,入院前環境(在宅生活),入院前要介護度(なし/支援~要介護5),入院前ADL(歩行可能割合),入院前嚥下状態(FOIS),肺炎重症度(A-DROP),入院時栄養状態(GNRI),経口摂取開始までの時間,退院時の3食経口摂取の可否,在院日数,転帰先などを比較した。統計学的検討には,Mann-WhitneyのU検定,またはχ2乗検定を行い5%未満をもって有意差ありと判断した。


【結果】

早期群69名(54%)で有意に高齢(85.2vs82.2;p<0.01)であったが,入院前環境,入院前要介護度,入院前ADLに有意な差は認めなかった。また肺炎重症度,入院前嚥下状態,入院時栄養状態に差は認めなかったが,早期群で経口摂取開始までの時間が有意に短く(58.3vs135.6;p<0.001),退院時の3食経口摂取の割合も多かった(78vs54;p<0.01)。さらに在院日数も短縮されていたことがわかった(17.9vs30.6;p<0.001)。


【結論】

理学療法士が入院後早期に介入し適切なリスク管理のもと安全に離床を行うことが,早期経口摂取開始や嚥下機能の維持,そして在院日数短縮にも影響を及ぼしていることが示唆された。