[P-RS-06-3] 長期人工呼吸管理下の脊髄損傷患者において起居動作を中心とした運動療法が効果を示した症例
キーワード:長期人工呼吸器管理, 脊髄損傷, 運動療法
【はじめに,目的】
C6頚髄損傷を受傷し,術後肺炎を合併した事により,4カ月人工呼吸器管理となったが,理学療法介入により抜管となった症例について報告する。
【方法】
80歳代男性,C6/7脱臼骨折およびC6頚髄損傷受傷し,A病院へ入院。同日後方徐圧固定術施行。受傷後54病日後B病院へ転院となる。A病院での経過として2病日目肺炎発症。5病日目にPT開始。C6以下Frankel分類A,人工呼吸器CPAP+PS,PEEP8,FiO2:0.5であった。7病日目にせん妄と診断され,離床を促された。9病日目に側臥位にて痰による気道閉塞あり,痰回収できず一時的にCPAとなるがすぐに蘇生される。33病日目状態安定し,一般病棟へ転棟となる。その後痰の喀出不良で気道閉塞が繰り返されるが,抜管に向けてSBT行われていた。転院時は両側胸水著明,低アルブミン血症を呈していた。人工呼吸管理SIMV+PS,PEEP6 FiO2:0.3,TV400ml 深呼吸600mlであった。身体機能はFrankel分類B,Zancoli分類右C6A,左C8Aであり,感覚はTh7まで認められた。56病日目に端座位練習実施。BP低下するが自覚症状なく介助にて端座位練習実施,深呼吸など促す。62病日目RH実施中に人工呼吸器外しO2:2L投与にて端座位練習実施。夜間不眠にて日中覚醒不良となり内服による調整開始。64病日目にVE施行し68病日目嚥下食開始となる。72病日目発熱し,誤嚥性肺炎疑われたが尿路感染と診断。食事は74病日目再開となる。88病日目VC780ml,FVC17%,FEV1.0:470ml,FEV1.0%:80%,筋力肩関節屈曲右2.0kg/左1.8kg。夜間の不眠持続しており,日中RH室への出療打診。102病日目出療開始となる。この時VC770ml,FVC18%,FEV1.0:500ml,FEV1.0%:79%,筋力肩屈曲右2.1kg/左1.8kgと著変なし。出療時は起居動作を中心とした全身運動を行なった。
【結果】
(出療前→出療後:138病日目)
VC770ml→1080ml,FVC18%→29%,FEV1.0:500ml→770ml,FEV1.0%:80%→98%,肩関節屈曲筋力右2.0kg→4.5kg,左1.8kg→5.4kg X-p・CTにおいて胸水減少も認められ肺病変も改善。また夜間不眠減少し,日中の覚醒状態は改善傾向であった。ADLは全介助であったが,寝返り動作は自立,端座位介助で10秒保持→見守りにて30秒保持可能,移乗動作全介助→中等度介助へ改善した。139病日目に夜間人工呼吸器もoffとなり,抜管となる。153病日目退院に向けて転棟となった。しかし自己喀痰の頻度は少なく吸引回数・痰量はほぼ一定して変化はなかった。
【結論】
長期人工呼吸器患者の抜管については一定の見解が得られていないが,離床が1つの手段と考えられている。本症例も離床は行っていたが,ベッド周囲を中心とした離床運動では呼吸・身体機能改善までは至らなかった。しかし出療し全身運動を中心とした運動療法介入にて呼吸・身体機能の改善が認められた。理学療法における運動療法によって改善し,抜管に至った症例であると考えられた。今後喀痰能力改善に向けアプローチが望まれる。
C6頚髄損傷を受傷し,術後肺炎を合併した事により,4カ月人工呼吸器管理となったが,理学療法介入により抜管となった症例について報告する。
【方法】
80歳代男性,C6/7脱臼骨折およびC6頚髄損傷受傷し,A病院へ入院。同日後方徐圧固定術施行。受傷後54病日後B病院へ転院となる。A病院での経過として2病日目肺炎発症。5病日目にPT開始。C6以下Frankel分類A,人工呼吸器CPAP+PS,PEEP8,FiO2:0.5であった。7病日目にせん妄と診断され,離床を促された。9病日目に側臥位にて痰による気道閉塞あり,痰回収できず一時的にCPAとなるがすぐに蘇生される。33病日目状態安定し,一般病棟へ転棟となる。その後痰の喀出不良で気道閉塞が繰り返されるが,抜管に向けてSBT行われていた。転院時は両側胸水著明,低アルブミン血症を呈していた。人工呼吸管理SIMV+PS,PEEP6 FiO2:0.3,TV400ml 深呼吸600mlであった。身体機能はFrankel分類B,Zancoli分類右C6A,左C8Aであり,感覚はTh7まで認められた。56病日目に端座位練習実施。BP低下するが自覚症状なく介助にて端座位練習実施,深呼吸など促す。62病日目RH実施中に人工呼吸器外しO2:2L投与にて端座位練習実施。夜間不眠にて日中覚醒不良となり内服による調整開始。64病日目にVE施行し68病日目嚥下食開始となる。72病日目発熱し,誤嚥性肺炎疑われたが尿路感染と診断。食事は74病日目再開となる。88病日目VC780ml,FVC17%,FEV1.0:470ml,FEV1.0%:80%,筋力肩関節屈曲右2.0kg/左1.8kg。夜間の不眠持続しており,日中RH室への出療打診。102病日目出療開始となる。この時VC770ml,FVC18%,FEV1.0:500ml,FEV1.0%:79%,筋力肩屈曲右2.1kg/左1.8kgと著変なし。出療時は起居動作を中心とした全身運動を行なった。
【結果】
(出療前→出療後:138病日目)
VC770ml→1080ml,FVC18%→29%,FEV1.0:500ml→770ml,FEV1.0%:80%→98%,肩関節屈曲筋力右2.0kg→4.5kg,左1.8kg→5.4kg X-p・CTにおいて胸水減少も認められ肺病変も改善。また夜間不眠減少し,日中の覚醒状態は改善傾向であった。ADLは全介助であったが,寝返り動作は自立,端座位介助で10秒保持→見守りにて30秒保持可能,移乗動作全介助→中等度介助へ改善した。139病日目に夜間人工呼吸器もoffとなり,抜管となる。153病日目退院に向けて転棟となった。しかし自己喀痰の頻度は少なく吸引回数・痰量はほぼ一定して変化はなかった。
【結論】
長期人工呼吸器患者の抜管については一定の見解が得られていないが,離床が1つの手段と考えられている。本症例も離床は行っていたが,ベッド周囲を中心とした離床運動では呼吸・身体機能改善までは至らなかった。しかし出療し全身運動を中心とした運動療法介入にて呼吸・身体機能の改善が認められた。理学療法における運動療法によって改善し,抜管に至った症例であると考えられた。今後喀痰能力改善に向けアプローチが望まれる。