[P-RS-06-4] 脳卒中患者における気管切開後の臨床経過
気管切開チューブ抜去・閉塞に要する日数に着目して
キーワード:脳卒中, 意識レベル, 自己咳嗽
【はじめに】急性期における脳卒中患者においては,意識レベル低下,嚥下・咳嗽反射低下にて誤嚥性肺炎や上気道閉塞のリスクを認められる事がある。酸素化能改善,気道確保のため気管挿管,人工呼吸器管理が行われる。また,長期的な管理を要する,もしくは予測される場合は気管切開が行われる。諸家の報告においては,急性期での抜管,人工呼吸器離脱の報告は多く認められるが,気管切開後の気管切開チューブ抜去・閉塞における臨床経過の報告は少ない。今回,当院に入院した気管切開後の脳卒中患者において,閉塞練習開始時より気管切開チューブ抜去・閉塞までの臨床経過を比較した。気管切開チューブ抜去・閉塞に要する日数について関与する要素が認められたのでここに報告する。
【方法】2016年4月より9月に当院に入院した3名の気管切開後の脳卒中患者を対象とした。症例Aは40代前半,男性,診断名は脳幹梗塞。症例Bは40代後半,男性,診断名は小脳梗塞。症例Cは70代前半,女性,診断名はクモ膜下出血。気管切開に至った背景は,症例A・Bが発症直後からの意識レベル低下,症例Cは神経原性肺水腫による低酸素血症によるものであった。3症例ともに当院入院時は,酸素療法は必要なく室内気での管理,単管式の気管切開チューブ管理であった。閉塞練習開始時と気管切開チューブ抜去・閉塞時のJCS,SIAS-Motor(SIAS-M),SpO2,呼吸回数(RR),吸引回数,自己咳嗽を3症例にて比較検討した。
【結果】閉塞練習開始時,症例AはJCS1桁,SIAS-M(1-1a,2-1-0),SpO298%,RR14回/分,吸引回数6回/日,自己咳嗽も可能であった。症例B・CはJCS2桁,SIAS-Mは症例B(2-2,2-2-2),症例C(1-1c,1-1-0)。SpO298%,RR16回/分,吸引回数は症例Bは11回/日,症例Cは3回/日,自己咳嗽は困難であった。気管切開チューブ抜去・閉塞時に変化が認められたのは,吸引回数にて症例Aは2回/日,症例Bは3回/日,症例Cは2回/日と軽減し症例A・Bでは自己咳嗽能力の改善が認められた。閉塞練習を開始して気管切開チューブ抜去・閉塞までの日数は,症例Aが7日,症例Bは21日,症例Cは23日であり,閉塞練習開始時にJCS2桁,自己咳嗽が困難であった症例B・Cは3週間以上の日数を要した。
【結論】今回,比較検討した3症例において,閉塞練習開始より気管切開チューブ抜去・閉塞までに要する日数においては閉塞練習開始時の意識レベル,自己咳嗽能力が関与していることが考えられた。脳卒中患者においては,脳の損傷部位や大きさによって症状は異なってくるが,意識レベル低下,自己咳嗽能力低下した症例でも気管切開チューブ抜去・閉塞は決して不可能ではないことが示唆された。今後は症例数を増やし気管切開チューブ抜去・閉塞に必要な臨床指標を検討していければと考える。
【方法】2016年4月より9月に当院に入院した3名の気管切開後の脳卒中患者を対象とした。症例Aは40代前半,男性,診断名は脳幹梗塞。症例Bは40代後半,男性,診断名は小脳梗塞。症例Cは70代前半,女性,診断名はクモ膜下出血。気管切開に至った背景は,症例A・Bが発症直後からの意識レベル低下,症例Cは神経原性肺水腫による低酸素血症によるものであった。3症例ともに当院入院時は,酸素療法は必要なく室内気での管理,単管式の気管切開チューブ管理であった。閉塞練習開始時と気管切開チューブ抜去・閉塞時のJCS,SIAS-Motor(SIAS-M),SpO2,呼吸回数(RR),吸引回数,自己咳嗽を3症例にて比較検討した。
【結果】閉塞練習開始時,症例AはJCS1桁,SIAS-M(1-1a,2-1-0),SpO298%,RR14回/分,吸引回数6回/日,自己咳嗽も可能であった。症例B・CはJCS2桁,SIAS-Mは症例B(2-2,2-2-2),症例C(1-1c,1-1-0)。SpO298%,RR16回/分,吸引回数は症例Bは11回/日,症例Cは3回/日,自己咳嗽は困難であった。気管切開チューブ抜去・閉塞時に変化が認められたのは,吸引回数にて症例Aは2回/日,症例Bは3回/日,症例Cは2回/日と軽減し症例A・Bでは自己咳嗽能力の改善が認められた。閉塞練習を開始して気管切開チューブ抜去・閉塞までの日数は,症例Aが7日,症例Bは21日,症例Cは23日であり,閉塞練習開始時にJCS2桁,自己咳嗽が困難であった症例B・Cは3週間以上の日数を要した。
【結論】今回,比較検討した3症例において,閉塞練習開始より気管切開チューブ抜去・閉塞までに要する日数においては閉塞練習開始時の意識レベル,自己咳嗽能力が関与していることが考えられた。脳卒中患者においては,脳の損傷部位や大きさによって症状は異なってくるが,意識レベル低下,自己咳嗽能力低下した症例でも気管切開チューブ抜去・閉塞は決して不可能ではないことが示唆された。今後は症例数を増やし気管切開チューブ抜去・閉塞に必要な臨床指標を検討していければと考える。