The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

Presentation information

日本呼吸理学療法学会 » ポスター発表

[P-RS-07] ポスター(呼吸)P07

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本呼吸理学療法学会

[P-RS-07-3] 呼吸理学療法を実施したCOPDの諸項目の変化
GOLD分類2011のカテゴリー別にみた検討

白仁田 秀一1,2, 平川 史央里1,2, 小柳 泰亮1,2, 林 真一郎2,3, 渡辺 尚1,2 (1.長生堂渡辺医院, 2.NPOはがくれ呼吸ケアネット, 3.医療法人社団高邦会高木病院)

Keywords:慢性閉塞性肺疾患, 理学療法, 身体活動量

【はじめに,目的】

3ヶ月間の外来理学療法を施行したCOPDに対して,GOLD分類2011カテゴリー別に諸項目の変化を検討する。


【方法】

対象はCOPD121例,カテゴリーAは24例(年齢:70.0±7.4歳,BMI:23.1±3.3,日本語版Montreal Cognitive Assessmentが26点未満の軽度認知症(MCI)率:39%(7/18)),Bは41例(年齢:77.5±8.3歳,BMI:22.6±4.0,MCI率:68%(17/25)),Cは17例(年齢:67.4±11.6歳,BMI:22.3±3.4,MCI率:21%(3/14)),Dは39例(年齢:75.2±8.5歳,BMI:21.7±4.5,MCI率:79%(22/28))で,運動療法とコンディショニング,また可能な限りセルフマネージメント日誌と万歩計の管理を行った。除外対象は歩行に障害をきたす疾患を有するもの,指示理解力が乏しいものとした。MCIは全対象ではなく,無作為にて測定した。

測定項目は,症状はmodified Medical Research Council(mMRC),生活行動はLife Space Assessment(LSA),身体活動量(活動量)は国際標準化身体活動質問票(IPAQ),身体機能は膝伸展筋力/体重比(%膝伸展筋力)と6分間歩行距離(6MD),QOLはSt. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ),精神はHospital Anxiety and Depression scale(HADS)8点以上のうつ疑い率で検査した。


【結果】

AはLSA:90.9±13.3→100.9±17.2(p<0.01),IPAQ:905.6±853.6→1386.4±1196.1(p<0.01),mMRC:1.0±0.2→0.7±0.5(p<0.05),%膝伸展筋力:60.6±12.9→65.8±14.1(p<0.01),6MD:455.8±73.8→501.7±94.1(p<0.01),SGRQ:21.8±12.3→17.2±11.5(p<0.01),HADSうつ疑い率:33%→13%(p<0.05)。

BはLSA:70.4±24.4→76.9±21.7(p<0.01),IPAQ:320.8±423.4→462.7±524.8(p<0.01),mMRC:2.4±0.7→1.8±0.9(p<0.01),%膝伸展筋力:47.5±11.8→51.6±14.6(p<0.05),6MD:309.0±114.1→340.2±127.9(p<0.01),SGRQ:48.1±16.2→40.4±16.2(p<0.01),HADSうつ疑い率:41%→24%(p<0.05)。

CはLSA:95.2±15.4→101.6±15.4(p<0.01),IPAQ:1805.1±1710.4→2181.8±1879.4(p<0.05),mMRC:1.0±0.4→0.9±0.6(p=ns),%膝伸展筋力:57.1±15.4→63.4±15.3(p<0.01),6MD:402.9±63.9→457.6±57.5(p<0.01),SGRQ:34.3±17.3→30.4±17.9(p<0.01),HADSうつ疑い率:29%→18%(p=ns)。

DはLSA:62.5±28.7→67.6±26.0(p=ns),IPAQ:274.8±322.0→331.7±334.8(p=ns),mMRC:3.0±0.8→2.5±1.0(p<0.01),%膝伸展筋力:50.5±14.8→56.0±16.5(p<0.01),6MD:266.4±119.1→297.4±129.9(p<0.01),SGRQ:57.1±15.8→53.8±16.8(p<0.05),HADSうつ疑い率:44%→41%(p=ns)。


【結論】

症状,身体機能,QOLは全カテゴリーに改善が認められたが,活動量,生活行動,うつはDのみ変化はなかった。Dは初期より生活行動が狭く,MCIも多かった。また,生活行動やうつの改善が少なく,これらの問題はDの活動量の向上を困難とさせていたと推測される。活動量向上に向け,ABCからの理学療法が望まれるが,Dの活動量を補うために,身体機能などに効果があったDの理学療法の継続が重要であると考えられた。