[P-RS-07-4] 慢性閉塞性肺疾患患者の呼吸リハビリテーションにおける身体活動量の向上効果に影響する因子
キーワード:COPD, 呼吸リハビリテーション, 身体活動量
【はじめに,目的】
近年,慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)患者の不活動は,生命予後を下げることなどから,身体活動量(以下,PA)が重要視されている。呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)がPAを向上させることは,既に数多くの報告がされており,その向上効果については論を俟たない。しかしながら,PAの向上効果に影響を及ぼす因子についての報告は,我々が渉猟した限りない。本研究の目的は,COPD患者に対して行われた呼吸リハの効果のうちPAの向上効果に影響を及ぼす因子の検討をすることである。
【方法】
本研究は,安定期COPD患者15名を対象とした後方視的研究である。研究セッティングは,2010年1月~2016年5月までに約3か月間(1回/週,計12回)の呼吸リハプログラムを完遂したものとした。調査項目は,基本属性として年齢,性別,BMI,MRC,喫煙歴,肺機能は%VC,FEV1.0%,%FEV1.0,ATI,MVVを調査した。さらに,身体所見として,6分間歩行距離(以下,6MWD),SGRQ総点,膝伸展筋力,PAとした。喫煙歴は,Pack-yearsを用いて評価した。膝伸展筋力は,Hand-Held Dynamometer(アニマ社,μTasMT-1)にて測定した値から体重支持指数(以下,WBI)を算出した。PAは,3軸加速度計(スズケン社製,ライフコーダー)を用い,1日の平均歩数を算出した。なお,身体所見は呼吸リハ開始前と終了時に測定し,その差を変化量として代表値とした。検討項目は,呼吸リハ前後のPAの変化量に影響を与える因子とした。統計学的処理は,呼吸リハ前後のPAの変化量を従属変数,各調査項目を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。ソフトウェアはStatViewJ 5.0(SAS)を使用し,統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
対象の詳細は,平均年齢72.9±5.5歳(男性12名,女性3名,BMI21.1±4.1kg/m2)であった。MRCはgrade0が1名,grade1が4名,grade2が9名,grade3が1名であった。喫煙歴(pack-years)は66.5±39.2であった。肺機能は,%VC85.4±20.2,FEV1.0% 64.1±15.8,%FEV1.0 68.4±19.9,ATI 2.88±3.65,MVV 53.5±16.8であった。各身体所見の平均変化量は,6MWD 43.0±54.7m,SGRQ総点-7.3±9.8,WBI 9.8±11.2%,PA 1494.7±1761.3歩/日とすべての項目で改善を認めた。重回帰分析の結果,PAの向上効果に影響を与える因子として%VCのみが抽出された(β=0.56,P=0.02,R2=0.26)。
【結論】
先行研究による諸家らの報告では,運動制限の主因は換気障害とされている。本研究の対象疾患はCOPDであり,閉塞性の換気障害であることから気流閉塞の程度が影響すると思われた。しかしながら,本研究結果では換気予備能を示す%VCのみが抽出された。これは,PAが連続した運動ではないことから連続して動ける運動耐用能というより,休みながらでも動ける状態を反映したためと考える。臨床場面では,この点を注意した評価や治療戦略が必要であると考える。
近年,慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)患者の不活動は,生命予後を下げることなどから,身体活動量(以下,PA)が重要視されている。呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)がPAを向上させることは,既に数多くの報告がされており,その向上効果については論を俟たない。しかしながら,PAの向上効果に影響を及ぼす因子についての報告は,我々が渉猟した限りない。本研究の目的は,COPD患者に対して行われた呼吸リハの効果のうちPAの向上効果に影響を及ぼす因子の検討をすることである。
【方法】
本研究は,安定期COPD患者15名を対象とした後方視的研究である。研究セッティングは,2010年1月~2016年5月までに約3か月間(1回/週,計12回)の呼吸リハプログラムを完遂したものとした。調査項目は,基本属性として年齢,性別,BMI,MRC,喫煙歴,肺機能は%VC,FEV1.0%,%FEV1.0,ATI,MVVを調査した。さらに,身体所見として,6分間歩行距離(以下,6MWD),SGRQ総点,膝伸展筋力,PAとした。喫煙歴は,Pack-yearsを用いて評価した。膝伸展筋力は,Hand-Held Dynamometer(アニマ社,μTasMT-1)にて測定した値から体重支持指数(以下,WBI)を算出した。PAは,3軸加速度計(スズケン社製,ライフコーダー)を用い,1日の平均歩数を算出した。なお,身体所見は呼吸リハ開始前と終了時に測定し,その差を変化量として代表値とした。検討項目は,呼吸リハ前後のPAの変化量に影響を与える因子とした。統計学的処理は,呼吸リハ前後のPAの変化量を従属変数,各調査項目を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。ソフトウェアはStatViewJ 5.0(SAS)を使用し,統計学的有意水準は5%とした。
【結果】
対象の詳細は,平均年齢72.9±5.5歳(男性12名,女性3名,BMI21.1±4.1kg/m2)であった。MRCはgrade0が1名,grade1が4名,grade2が9名,grade3が1名であった。喫煙歴(pack-years)は66.5±39.2であった。肺機能は,%VC85.4±20.2,FEV1.0% 64.1±15.8,%FEV1.0 68.4±19.9,ATI 2.88±3.65,MVV 53.5±16.8であった。各身体所見の平均変化量は,6MWD 43.0±54.7m,SGRQ総点-7.3±9.8,WBI 9.8±11.2%,PA 1494.7±1761.3歩/日とすべての項目で改善を認めた。重回帰分析の結果,PAの向上効果に影響を与える因子として%VCのみが抽出された(β=0.56,P=0.02,R2=0.26)。
【結論】
先行研究による諸家らの報告では,運動制限の主因は換気障害とされている。本研究の対象疾患はCOPDであり,閉塞性の換気障害であることから気流閉塞の程度が影響すると思われた。しかしながら,本研究結果では換気予備能を示す%VCのみが抽出された。これは,PAが連続した運動ではないことから連続して動ける運動耐用能というより,休みながらでも動ける状態を反映したためと考える。臨床場面では,この点を注意した評価や治療戦略が必要であると考える。