第52回日本理学療法学術大会

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日本呼吸理学療法学会 » ポスター発表

[P-RS-07] ポスター(呼吸)P07

2017年5月14日(日) 11:40 〜 12:40 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本呼吸理学療法学会

[P-RS-07-5] 長期酸素療法導入後の低酸素血症と酸素流量の再評価の必要性

岩本 純一1, 大曲 正樹1, 山本 敦也1, 柳田 頼英1, 千田 亜香1, 町口 輝1, 前村 優子1, 湯浅 圭史1, 有薗 信一2 (1.総合病院聖隷三方原病院, 2.聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部)

キーワード:LTOT, 酸素化評価, 長期

【はじめに】

長期酸素療法(LTOT)の酸素流量の設定には労作時と睡眠時の酸素化評価が重要である。LTOT導入後の労作時および睡眠時の酸素流量の評価は,定期的に実施されていないのが現状である。労作時の低酸素血症の評価は6分間歩行試験でのSpO2値の評価が必要であり,診療報酬で点数化されているが,理学療法士(PT)は現在算定要因から除外されている。

LTOT新規導入例を長期的にfollowした報告は少なく,どのような経過を辿っているか不明である。

【目的】

LTOT新規導入後,3ヶ月,6ヶ月時点での労作時および睡眠時の低酸素血症の有無を評価し,退院後にも酸素量の再評価が必要かを検討すること。

【方法】

対象は平成27年5月から平成28年3月の間に当院呼吸器内科にて新規LTOT導入され,6分間歩行試験,24時間パルスオキシメトリーを定期的に実施した連続22例である。

方法はLTOT導入後半年間の急性増悪の発生有無と6分間歩行試験,24時間パルスオキシメトリー(退院時,退院後3ヶ月,退院後6ヶ月)の結果を調査した。急性増悪発症した症例はその時点で脱落とした。

【結果】

対象者は年齢74.9±6.45歳,性別は男性21例,女性2例。身長161.2±5.9cm,BMI19.07±3.7kg/m2。基礎疾患はIP15例,COPD3例,過敏性肺炎1例,ANCA関連血管炎1例,肺切除後2例であった。全22例中15例(67%)が脱落となった。脱落理由は急性増悪12例(54%),検査への拒否3例(13%)であった。基礎疾患の急性増悪を認めたのは3ヶ月評価で9例,6ヶ月評価で3例であり,全例IPであった。IP15例中12例が急性増悪を来たしており,その他の疾患は急性増悪を認めなかった。

3ヶ月評価で6分間歩行試験および24時間パルスオキシメトリーを計測できた10例中,6例で酸素化悪化を認めた。そのうち5例に労作時の,1例に睡眠時の酸素化悪化を認めた。2例は労作時,睡眠時ともに酸素化悪化を認めた。1例は労作時と睡眠時ともに低酸素血症を認めず,LTOTが終了となった。

6ヶ月評価では,6分間歩行試験および24時間パルスオキシメトリーを計測できた7例中,6例に酸素化悪化を認めた。3例に労作時の,残りの3例に睡眠時の酸素化悪化を認めた。

【結論】

LTOT導入症例の54%が急性増悪による脱落を認めた。3ヶ月と6ヶ月評価で低酸素血症の悪化を認める症例が存在し,退院後3ヶ月より短い期間での評価が必要であると考えられた。長期followできた症例でも,酸素量の変更をせまられる症例が多い一方で,酸素化改善が認められ,LTOT終了となった症例もいた。そのため,LTOT導入後でも,PTが6分間歩行試験による労作時の低酸素血症の評価を行い,酸素流量の再検討を行う必要が有ると考えられる。