[P-RS-09-1] 市中肺炎患者の呼吸機能は再入院の予測因子となりうるか?
キーワード:市中肺炎, 呼吸機能, 予測因子
【はじめに,目的】
肺炎は日本人の死因順位別死亡数の第3位であり,高齢化にともない今後さらに増加すると考えられる。肺炎の中でも市中肺炎(CAP)が注目され,CAP患者の再入院率や死亡率はここ数十年間変化がなく,CAP患者の再入院を予防することが重要と考えられている。これまでCAP患者における再入院の影響因子は年齢,性別,BMI,肺炎重症度,身体機能などが挙げられているが,呼吸機能は検討されていない。そのため呼吸リハビリテーションを行う際の評価の一つであり,また効果判定の一つである呼吸機能が,CAP患者の再入院の予測因子となるかを検討することが必要であると考えた。
よって本研究はCAP患者の呼吸機能が再入院の予測因子であるかを明らかとすることを目的とした。
【方法】
調査期間は2014年4月~2017年8月である。対象はCAP患者120名(男性67名,女性53名,年齢80±9歳)とした。この際,中枢神経疾患,CAP以外の肺疾患の診断がついた者は対象から除外した。測定項目は年齢,性別,BMI,FIM,肺炎重症度としてCURB65 score,一秒率(FEV1%),%肺活量(%VC)とし,呼吸機能検査機器はミナト医科学株式会社製オートスパイロAS-307を使用した。その後,再入院までの期間を調査するためにフォローアップ期間は1年間とした。
統計学的解析は再入院の予測因子と考えられるFEV1%を正常群(FEV1%≧70%)と低下群(FEV1%<70%)に,%VCを正常群(%VC≧80%)と低下群(%VC<80%)の2群に分類し,Kaplan-meier法を用いた検討を行った。2群間の再入院までの日数検定はLog-rank testによる検討を行った。
その後,交絡因子を考慮し,再入院の予測因子の解析に再入院を従属変数,FEV1%,%VC,年齢,性別,BIM,CURB65 score,FIMを独立変数としたCox比例ハザードモデルによる検討を行った。解析にはSPSS statistics ver.22を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
再入院の発生率に関してはFEV1%,%VC低下群は正常群と比較し再入院までの日数が短い傾向が示された(Log-rank test P<0.001)。
次にCox比例ハザードモデルによる結果を次に示す(HR(95%CI,P値))。年齢1.02(0.98-1.06,P=0.44),性別0.87(0.48-1.57,p=0.64),BIM 1.11(1.01-1.21,p=0.03),CURB65 score 1.51(1.15-1.97,p=0.003),FIM 0.99(0.97-1.01,p=0.49),FEV1% 0.87(0.83-0.92,p<0.001),%VC 0.92(0.88-0.95,p<0.001)であった。
【結論】
再入院の予測因子であるBMI,FIM,CURB65 scoreは先行研究と同様に有意差を認め,今回新たにFEV1%と%VCが予測因子に抽出された。
FEV1%は努力呼気量を,%VCは肺コンプライアンスや呼吸筋力を反映し,咳嗽力と関係があり喀痰や細菌の排除に重要な因子である。そのため肺炎患者においても咳嗽力と関係しているFEV1%と%VCが再入院に影響することが考えられた。よってCAP患者において呼吸機能を改善させることは再入院予防のために重要であることが示唆された。
肺炎は日本人の死因順位別死亡数の第3位であり,高齢化にともない今後さらに増加すると考えられる。肺炎の中でも市中肺炎(CAP)が注目され,CAP患者の再入院率や死亡率はここ数十年間変化がなく,CAP患者の再入院を予防することが重要と考えられている。これまでCAP患者における再入院の影響因子は年齢,性別,BMI,肺炎重症度,身体機能などが挙げられているが,呼吸機能は検討されていない。そのため呼吸リハビリテーションを行う際の評価の一つであり,また効果判定の一つである呼吸機能が,CAP患者の再入院の予測因子となるかを検討することが必要であると考えた。
よって本研究はCAP患者の呼吸機能が再入院の予測因子であるかを明らかとすることを目的とした。
【方法】
調査期間は2014年4月~2017年8月である。対象はCAP患者120名(男性67名,女性53名,年齢80±9歳)とした。この際,中枢神経疾患,CAP以外の肺疾患の診断がついた者は対象から除外した。測定項目は年齢,性別,BMI,FIM,肺炎重症度としてCURB65 score,一秒率(FEV1%),%肺活量(%VC)とし,呼吸機能検査機器はミナト医科学株式会社製オートスパイロAS-307を使用した。その後,再入院までの期間を調査するためにフォローアップ期間は1年間とした。
統計学的解析は再入院の予測因子と考えられるFEV1%を正常群(FEV1%≧70%)と低下群(FEV1%<70%)に,%VCを正常群(%VC≧80%)と低下群(%VC<80%)の2群に分類し,Kaplan-meier法を用いた検討を行った。2群間の再入院までの日数検定はLog-rank testによる検討を行った。
その後,交絡因子を考慮し,再入院の予測因子の解析に再入院を従属変数,FEV1%,%VC,年齢,性別,BIM,CURB65 score,FIMを独立変数としたCox比例ハザードモデルによる検討を行った。解析にはSPSS statistics ver.22を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
再入院の発生率に関してはFEV1%,%VC低下群は正常群と比較し再入院までの日数が短い傾向が示された(Log-rank test P<0.001)。
次にCox比例ハザードモデルによる結果を次に示す(HR(95%CI,P値))。年齢1.02(0.98-1.06,P=0.44),性別0.87(0.48-1.57,p=0.64),BIM 1.11(1.01-1.21,p=0.03),CURB65 score 1.51(1.15-1.97,p=0.003),FIM 0.99(0.97-1.01,p=0.49),FEV1% 0.87(0.83-0.92,p<0.001),%VC 0.92(0.88-0.95,p<0.001)であった。
【結論】
再入院の予測因子であるBMI,FIM,CURB65 scoreは先行研究と同様に有意差を認め,今回新たにFEV1%と%VCが予測因子に抽出された。
FEV1%は努力呼気量を,%VCは肺コンプライアンスや呼吸筋力を反映し,咳嗽力と関係があり喀痰や細菌の排除に重要な因子である。そのため肺炎患者においても咳嗽力と関係しているFEV1%と%VCが再入院に影響することが考えられた。よってCAP患者において呼吸機能を改善させることは再入院予防のために重要であることが示唆された。