[P-RS-10-1] デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者への咳介助方法の違いによるCough Peak Flowの比較とその信頼性の検討
キーワード:デュシェンヌ型筋ジストロフィー, 咳のピークフローの信頼性, 咳介助方法
【はじめに,目的】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者における咳介助には,徒手介助や機械による咳介助(MI-E)がある。MI-Eは国内外のガイドラインで推奨されており,咳のピークフロー(CPF)が最も高いと結論付けられている。一方で,咳介助方法には,MI-Eの他に徒手介助やMI-Eに徒手介助を加えた咳介助(MAC)もあるが,これらの方法を用いてCPFを比較検討した報告は少ない。加えて,CPFの値はピークフローメータ(PFM)とMI-Eのディスプレイで示されるが,これらの測定値の信頼性を確認した報告が少ない。そこで,本研究の目的は,効果的な咳介助方法を得るためにすべての介助方法の測定値を比較すること,そしてCPFの信頼性を検討することである。
【方法】
対象は,当院入院中の気管切開していないDMD患者12名(機能障害度ステージVIII,年齢34±8歳)とした。効果的な咳介助を得る方法として,自力,徒手介助(呼気介助,吸気介助,全介助),MI-E,MACでのCPFを測定して比較した。自力と徒手介助のCPFは,PFM(フィリップス社製)に接続したスパイロメータ(AS507;ミナト社製)で測定し,MI-EとMACのCPFは,MI-Eの機器(カフアシストE70;フィリップス社製)に接続したスパイロメータで測定した。統計解析には,1元配置分散分析及び多重比較検定(Tukey法)を用いた。次に,CPFの信頼性を調べるために,徒手介助の際に表示されたPFMとスパイロメータのCPF,MI-Eの機器とスパイロメータのCPFの相対信頼性と絶対信頼性をSpearmanの順位相関係数検定とBlamd-Altman分析を用いて検討した。
【結果】
自力咳と咳介助におけるCPFは,自力59±35l/min,呼気介助113±32l/min,吸気介助170±30l/min,全介助224±62l/min,MI-E199±40l/min,MAC240±38l/minであった。多重比較の結果,自力と比べて呼気介助(P<0.05),吸気介助(P<0.01),全介助(P<0.01),MI-E(P<0.01),MAC(P<0.01)と有意な増加を認め,呼気介助と比べて吸気介助(P<0.05),全介助(P<0.01),MI-E(P<0.01),MAC(P<0.01)と有意な増加を認め,吸気介助に比べて全介助(P<0.05),MAC(P<0.01)で有意な増加を認めた。PFMとスパイロメータからのCPFの相関関係は,自力(r=0.93,P<0.05),呼気介助(r=0.97,P<0.05),吸気介助(r=0.8,P<0.05),全介助(r=0.96,P<0.05)であった。MI-EとスパイロメータからのCPFの相関関係は,MI-E(r=0.94,P<0.05),MAC(r=0.98,P<0.05)であった。Bland-Altman分析では,どちらの方法も比例誤差を認めず,PFMとスパイロメータからのCPFにのみ負の加算誤差が認められた。
【結論】
咳介助の比較では,ガイドラインで最もCPFが高いと言われているMI-EよりもMACや全介助の方がCPFが高かった。CPFの信頼性は,MI-EとPFMともに高い可能性が示唆された。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者における咳介助には,徒手介助や機械による咳介助(MI-E)がある。MI-Eは国内外のガイドラインで推奨されており,咳のピークフロー(CPF)が最も高いと結論付けられている。一方で,咳介助方法には,MI-Eの他に徒手介助やMI-Eに徒手介助を加えた咳介助(MAC)もあるが,これらの方法を用いてCPFを比較検討した報告は少ない。加えて,CPFの値はピークフローメータ(PFM)とMI-Eのディスプレイで示されるが,これらの測定値の信頼性を確認した報告が少ない。そこで,本研究の目的は,効果的な咳介助方法を得るためにすべての介助方法の測定値を比較すること,そしてCPFの信頼性を検討することである。
【方法】
対象は,当院入院中の気管切開していないDMD患者12名(機能障害度ステージVIII,年齢34±8歳)とした。効果的な咳介助を得る方法として,自力,徒手介助(呼気介助,吸気介助,全介助),MI-E,MACでのCPFを測定して比較した。自力と徒手介助のCPFは,PFM(フィリップス社製)に接続したスパイロメータ(AS507;ミナト社製)で測定し,MI-EとMACのCPFは,MI-Eの機器(カフアシストE70;フィリップス社製)に接続したスパイロメータで測定した。統計解析には,1元配置分散分析及び多重比較検定(Tukey法)を用いた。次に,CPFの信頼性を調べるために,徒手介助の際に表示されたPFMとスパイロメータのCPF,MI-Eの機器とスパイロメータのCPFの相対信頼性と絶対信頼性をSpearmanの順位相関係数検定とBlamd-Altman分析を用いて検討した。
【結果】
自力咳と咳介助におけるCPFは,自力59±35l/min,呼気介助113±32l/min,吸気介助170±30l/min,全介助224±62l/min,MI-E199±40l/min,MAC240±38l/minであった。多重比較の結果,自力と比べて呼気介助(P<0.05),吸気介助(P<0.01),全介助(P<0.01),MI-E(P<0.01),MAC(P<0.01)と有意な増加を認め,呼気介助と比べて吸気介助(P<0.05),全介助(P<0.01),MI-E(P<0.01),MAC(P<0.01)と有意な増加を認め,吸気介助に比べて全介助(P<0.05),MAC(P<0.01)で有意な増加を認めた。PFMとスパイロメータからのCPFの相関関係は,自力(r=0.93,P<0.05),呼気介助(r=0.97,P<0.05),吸気介助(r=0.8,P<0.05),全介助(r=0.96,P<0.05)であった。MI-EとスパイロメータからのCPFの相関関係は,MI-E(r=0.94,P<0.05),MAC(r=0.98,P<0.05)であった。Bland-Altman分析では,どちらの方法も比例誤差を認めず,PFMとスパイロメータからのCPFにのみ負の加算誤差が認められた。
【結論】
咳介助の比較では,ガイドラインで最もCPFが高いと言われているMI-EよりもMACや全介助の方がCPFが高かった。CPFの信頼性は,MI-EとPFMともに高い可能性が示唆された。