[P-RS-11-4] 胸郭柔軟性改善のための呼吸理学療法手技の違いが胸郭コンプライアンスに与える影響
キーワード:胸郭コンプライアンス, 胸郭柔軟性改善, 呼吸理学療法手技
【はじめに,目的】胸郭の柔軟性改善のために用いられる呼吸理学療法手技には,徒手的な胸郭可動域練習(呼吸介助法)や自動的な呼吸体操が挙げられる(呼吸リハビリテーションマニュアル第2版,照林社)。しかし,それらの効果を換気力学的に証明した報告はなく,実際に胸郭の柔軟性,特に胸郭コンプライアンスが改善するかについては明らかにされていない。本研究の目的は,徒手的な胸郭可動域練習及び自動的な呼吸体操の施行が胸郭コンプライアンス(Ccw)・肺コンプライアンス(CL)に与える即時効果について検討することである。
【方法】対象は健常成人6名(男性4名,年齢34.2±8.2歳,身長170±11.47cm,体重60.8±11.1kg)とした。呼吸体操は体幹や上肢の運動を組み合わせた自動的な運動とした。呼吸介助法は背臥位で対象者の上部・下部胸郭及び左右の胸郭を術者が他動的に圧迫する手技とした。各方法は呼吸リハビリテーションマニュアル第2版に準拠して行った。各手技は15分間実施し,実施前後でCcw及びCLを測定した。各測定は別の日に行い,測定順序はランダムとした。CcwとCLの測定方法は,座位にて気流阻止法を用いて行った。肺気量変化は,流量計(チェスト社製)を用いて測定した。胸腔内圧(Ppl)は食道バルーン法,口腔内圧(Pmo)はマウスピース内の圧を差圧トランスデューサー(チェスト社製)にて測定し,経肺圧はPmoからPplを引くことにより求めた。得られた圧及び肺気量変化をサンプリング周波数100HzでPCに取り込み,胸郭,肺の圧量曲線を描いた。測定した圧量曲線の機能的残機量(FRC)とFRC+0.5Lの2点を結んだ直線の傾きからCcw,CLを算出した。
【結果】呼吸介助法前後でCcw(0.27±0.06L/cmH2O:0.30±0.06L/cmH2O=呼吸介助法前:呼吸介助法後)は有意に増加し(p<0.05),呼吸体操前後でCcw(0.26±0.06L/cmH2O:0.27±0.04L/cmH2O=呼吸体操前:呼吸体操後)は有意な変化が認められなかった。また,CLは呼吸介助法前後(0.23±0.08L/cmH2O:0.21±0.06L/cmH2O),呼吸体操前後(0.22±0.06L/cmH2O:0.24±0.05L/cmH2O)で有意な変化は認められなかった。
【結論】健常人に対する呼吸体操の実施ではCcw,CLは変化せず,徒手的な胸郭可動域練習の実施でCcwが増加した。よって,徒手的な胸郭可動域練習は胸郭の柔軟性改善に有効ではないかと考えられた。
【方法】対象は健常成人6名(男性4名,年齢34.2±8.2歳,身長170±11.47cm,体重60.8±11.1kg)とした。呼吸体操は体幹や上肢の運動を組み合わせた自動的な運動とした。呼吸介助法は背臥位で対象者の上部・下部胸郭及び左右の胸郭を術者が他動的に圧迫する手技とした。各方法は呼吸リハビリテーションマニュアル第2版に準拠して行った。各手技は15分間実施し,実施前後でCcw及びCLを測定した。各測定は別の日に行い,測定順序はランダムとした。CcwとCLの測定方法は,座位にて気流阻止法を用いて行った。肺気量変化は,流量計(チェスト社製)を用いて測定した。胸腔内圧(Ppl)は食道バルーン法,口腔内圧(Pmo)はマウスピース内の圧を差圧トランスデューサー(チェスト社製)にて測定し,経肺圧はPmoからPplを引くことにより求めた。得られた圧及び肺気量変化をサンプリング周波数100HzでPCに取り込み,胸郭,肺の圧量曲線を描いた。測定した圧量曲線の機能的残機量(FRC)とFRC+0.5Lの2点を結んだ直線の傾きからCcw,CLを算出した。
【結果】呼吸介助法前後でCcw(0.27±0.06L/cmH2O:0.30±0.06L/cmH2O=呼吸介助法前:呼吸介助法後)は有意に増加し(p<0.05),呼吸体操前後でCcw(0.26±0.06L/cmH2O:0.27±0.04L/cmH2O=呼吸体操前:呼吸体操後)は有意な変化が認められなかった。また,CLは呼吸介助法前後(0.23±0.08L/cmH2O:0.21±0.06L/cmH2O),呼吸体操前後(0.22±0.06L/cmH2O:0.24±0.05L/cmH2O)で有意な変化は認められなかった。
【結論】健常人に対する呼吸体操の実施ではCcw,CLは変化せず,徒手的な胸郭可動域練習の実施でCcwが増加した。よって,徒手的な胸郭可動域練習は胸郭の柔軟性改善に有効ではないかと考えられた。